ダイハツ ハイゼットカーゴの燃費を計測|軽商用1BOXバンの実燃費ってどのくらい!?(4/5)
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:和田清志・オートックワン編集部
ダイハツ ハイゼットカーゴ 実燃費レポート|総合実燃費編
■ダイハツ ハイゼットカーゴ 総合実燃費:16.6km/L
より負荷の大きい走行モードではさらに燃費が悪くなる可能性も
ダイハツ ハイゼットカーゴを市街地・郊外路・高速道路とおよそ166kmほど走らせた結果、総合実燃費は16.6km/Lとなった。
朝の通勤ラッシュの中、エアコン稼働頻度も高くその分のロスも少なからずあった市街地区間が14.5km/Lと低め。
いっぽうで気温も適度に低めなうえ、渋滞どころか交通量もほとんどなく、また地形の起伏も比較的穏やかな郊外路で出した18.0km/L、ほぼ同様の条件で走った高速道路でも18.1km/Lとそれぞれ数値が伸びており、トータルでの数値向上に貢献した。
多様な使われ方をする軽商用車だけに、今回の16.6km/Lという数値も、使い方次第で大きく変わることが予想される。街中で走っては停めてを繰り返す小口配送のような使い方なら、市街地燃費記録の14.5km/Lが実燃費に近いだろう。いっぽうで比較的平坦な高速道路や信号の少ない郊外路を穏やかな速度域で走らせるなら、JC08モード燃費17.8km/Lに近い数値となることが今回のテストから見て取れる。
例えばもう少しハイペースに走る高速道路や郊外路、起伏のある山岳路を含む使い方、そして荷室に重い積載物を積んだ場合など、今回はテストが出来なかったが、実際の軽1BOXバンの使われ方としては良くあるモードだろう。いずれの場合もキャパが限られる660ccノンターボエンジンにはやや負荷が高く、その分燃費が落ちることも容易に想像出来る。
いずれにせよ、16.6km/Lという数値がダイハツ ハイゼットカーゴの実燃費の全てを表す訳ではないことは理解しておきたい。
ダイハツ ハイゼットカーゴとは
軽商用車にもいよいよ”スマアシ3”採用|自動ブレーキも装備
初代ハイゼットは1960年に登場。現行型ハイゼットカーゴで10代目となる。これはダイハツの現行モデルの中で一番長い歴史だという。
2017年11月に外観デザイン変更を伴う大規模なマイナーチェンジを実施。昨今軽乗用車でも標準装備化が進む衝突回避支援システム「スマートアシストIII」(通称”スマアシ3”)が4速ATモデルに採用されたことで話題を呼んだ。
今回のマイナーチェンジで新型ハイゼットカーゴに採用されたスマアシ3は「衝突警報機能(対車両・対歩行者)/衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者)」「車線逸脱警報機能」「誤発進抑制制御機能(前方・後方)」「先行車発進お知らせ機能」「オートハイビーム」などの多彩な機能が含まれる。世界最小のステレオカメラとソナーセンサーを用いて、小型かつ低コストで搭載することに成功した。
ちなみに今回の試乗車、ハイゼットカーゴ デラックス ”SA III”[2WD]の場合、スマアシ3がつかない「デラックス」に対し車両本体価格は129,600円高の1,155,600円。スマアシ3以外にもIR&UVカットガラスやアクティブセーフティ機能のVSC(横滑り防止装置)&TRC(空転抑制装置)、エマージェンシーストップシグナル(急ブレーキ時のハザードランプ自動点滅機能)などが加わる。
なお2018年5月にはトラック用に仕様を変えた「スマートアシストIII t」をハイゼットトラックにも設定。これにより軽オープンカー「コペン」を除くダイハツ車の全モデルでスマアシシリーズが搭載となった。
ハイゼットカーゴのエンジンラインナップはノンターボとターボの2種類を用意
エンジンは660ccノンターボと、同ターボの2機種を設定。それぞれ4速ATと5速MT、2WDと4WDの組み合わせを用意する。ノンターボモデルでJC08モード燃費17.8km/L~16.6km/L、ターボで18.8km/L~16.0km/Lをマークする。
ボディタイプはハイルーフと標準ルーフのほか、後部をトラックのようにした4人乗りオープンデッキ仕様の特装車「デッキバン」もラインナップ。なお前述の通り、衝突回避支援システム「スマートアシストIII」は4速ATモデルにのみ設定される。
軽商用車らしい芸コマなデザイン変更に”あっぱれ!”
ハイゼットカーゴのマイナーチェンジでは、デザインについても大幅に手が加わった。外装では、フロント周りの意匠を全面的に変更し存在感を増した。ヘッドランプのデザインも新しくなり、LEDライトの設定も加わった。いっぽうフロントバンパーの角部分の部品を黒い樹脂部品で別体化。万が一傷をつけても傷が目立ちにくく、さらに左右個別で交換することも可能となった。単なるデザイン性だけではなく、実利も兼ねた変更という点が商用車らしく、大いに評価したいポイントだ。
ボディカラーは標準カラーのホワイトとブライトシルバーメタリックに加え、カラーパックとしてファインミントメタリック(薄緑色)、ライトローズマイカメタリック(ピンク色)、ミストブルーメタリック(水色)、ブラックマイカメタリック、パールホワイトIIIの特別色も設定し、全7色ものラインナップを揃える。
内装はこれまでのグレー基調からブラック系に変更され上質さを増すとともに、メーターパネルのデザインも一新。マルチインフォメーションディスプレイを採用するなど視認性も向上している。
ハイゼットカーゴに強力なライバル! 「ホンダ N-VAN」との対決にも注目
なお、1999年の登場以来長らくモデルチェンジを実施せず生産を続けてきた軽1BOXのバモスシリーズを2018年5月に生産終了させたホンダだが、実質的な後継モデルとして2018年夏に新型軽商用車の「N-VAN」発売の予定をすでに明らかにしている。
(※商用仕様のアクティバンのみ6月現在も販売継続中)
こちらは大ヒット作の軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」とプラットフォームを共有するフロント横置きエンジン・FFの新開発モデル。運転席座面下(車体の中央部)にエンジンを縦置きし、後輪を駆動させる旧来の1BOXレイアウトとは明確に変えてきた。低床設計でかなり広い荷室空間も確保しているほか、シートアレンジやドア開口部の設計なども様々な工夫がみられる。またハイゼットカーゴの市街地燃費の項で記した、キャブオーバー型軽1BOXバン特有な運転席足元の窮屈さも解消されているはず。ホンダ N-VANは今後軽商用車の台風の目となりそうだ。軽商用車をご検討中なら、併せて注目しておいて損はない。
[Text:トクダトオル(オートックワン編集部)/Photo:和田 清志・オートックワン編集部]
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