メルセデス・ベンツ 新型Sクラスに試乗|走り・内装…全てが神レベル! これが本物の贅沢(2/2)

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軽い操舵感、ビシッと決まる直進安定性はまさに完璧!

巡航を始めるともう、それはさすがのひとこと。3速以上に入ってからはSクラスの持つ、ラグジュアリー力(りょく)が遺憾なく発揮され始める。

有り余るパワーを淑やかなヴェールで包み、“余裕”とか“ゆとり”なんていう、まるで違う言葉に翻訳して、運転手に大事な贈り物みたいにそっと届けるのだ。室内はフラットに保たれ、圧巻の静粛性は“高級車”と呼ぶにふさわしい。それでいて、加速の懐はどこまでも深く、滔々とトルクが湧いて出る様は底の見えない井戸を覗き込むような、どこか得体の知れない魔力さえ想像させるほど。

ステアリングはふわっと回せるほど実に軽い。しかし、直進安定性は完璧だし、ループ橋のようなRが連続する場面でもブレることはない。このピッタリ来る感じを、ここまでの軽い操舵感で実現するのはなかなか難しいと思う。ともすれば単にフワフワになってしまって、直進安定性も旋回性能も、双方を殺してしまうことが多いからだ。

超大柄ボディでありながら、大きさを感じさせないドライブフィール

さらに今回、ロングボディーを軸に展開されていく新型Sクラスにおいてさすがと唸ったのが5.2メートルを超える全長、1.9メートルを超える全幅を誇る巨体ながらの圧巻の見切りの良さ、また、小回りの良さ。

メルセデス・ベンツはどのクルマに乗っても運転席からの見切りが抜群。よって、クルマを大きく感じることがなく、取り回しが実にストレスフリーなのだ。タイヤの切れ角も大きく、今、他の自動車メーカーでここまで切れる乗用車は他にないかもしれない。切れるから、駐車もしやすいし、タイトな曲がり角だって怖くないのだ。

全車速追従型クルーズコントロール、ディストロニック・プラスの仕上がりも見事だ。Sクラスのみ、操作方式が他のモデルと異なり、ステアリング・スイッチでの操作とはなるが直感的に使いやすいことに変わりはない。機能も至極ナチュラルで、特に減速時、ブレーキを抜きつつ停止位置に合わせてくれるテクニックは拍手モノ。車線内の偏りもなく、機能に頼り切っても恐怖感を感じさせないレベルにきっちりと到達している。

これらの走行性能に付いてくるのが弩級ロマンティック・内装だ。

この最上級の”バランス感”こそが、Sクラスの神髄だ!

Sクラスを作る人は、きっと「本物の贅沢とは何か」というのを、よく知っている人ではないかな、といつも思う。こうあればいいな、と思う機能が必ず入っているし、シートなどに施された精緻なレザーワークは、モード界でも通ずるレベルの細工がなされている。室内外ともにライト類はじわっと光量を出すように設定されているし、なんといってもステアリングから伸びるコラム類まで全部ベージュになっている。

いくら内装が淡色でも、レバー類まで最初から内装に合わせて用意されていることは滅多にない。これだけで上品さ3割増だ。

ショーファー仕様(オプション)のリアシートはエアバッグ式のシートベルトやフワフワのヘッドレストが用意されて、これまた贅沢。エグゼクティブの心をしっかりと掴んで離さない工夫は、さすがメルセデス・ベンツ、と力技を見せられた気分だ。

コンサバだけどババ臭くない。柔らかいけどユルくない。静かだけど退屈じゃない。

このバランス感覚、まさに神レベルだ。

【Text:今井優杏 Photo:島村栄二】

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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