メルセデス・ベンツ 新型Gクラス試乗|これぞ最強オフローダー!40年目の進化で全てが激変

メルセデス・ベンツのSUVの原点が、登場40年目にして初のフルモデルチェンジ!

昨今、クロスオーバーSUVの人気が高く、メルセデス・ベンツも大小様々なモデルがラインアップされているが、その原点は軍用車両だったゲレンデヴァーゲンを民生用にアレンジした「Gクラス」である。

1979年に登場して以降、基本コンポーネントやオフロードが本拠地と言うコンセプトを一切変えることなく進化・熟成を遂げてきたが、登場40年目を迎える2018年に初のフルモデルチェンジが実施された。

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試乗の前に新型Gクラスをおさらい

マイナーチェンジ!?と思うほどエクステリアの変化はないがボディサイズが拡大

エクステリアはスクエアなフォルム、丸型ヘッドライト、張り出したフェンダーなど一目でGクラスと解るデザインを踏襲しながらも、最新のメルセデス・ベンツのデザインアイコンを上手に融合。

パッと見ると「マイナーチェンジ?」と勘違いしてしまう人もいるかもしれないが、ボディサイズを見ると、新型は全長4873×全幅1931×全高1966mm、ホイールベース2890mmと、従来型と比べると全長+148mm、全幅+71mm、全高-4mm、ホイールベース+40mmと全高以外でボディサイズが拡大されている。ちなみにサイドから見た時のリアオーバーハングの長さが新旧を見分けるポイントかも!?

インテリアは新デザインのインパネなどを採用し全面刷新

一方、インテリアは12.3インチワイド液晶画面を2枚用いたメーター周りを含めた新デザインのインパネ周り、シート形状、マテリアルなど、キープコンセプトのエクステリアに対して全面刷新されている。それでも、インパネセンターにレイアウトされるフロント/センター/リアのデファレンシャルロック用の3つのボタンや、助手席に取り付けられたアシストグリップは従来型と変わらない。居住性も拡大されており、特に後席のレッグスペースは15cmアップと大きく改善されている。

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エンジンはV8 4リッター直噴ツインターボエンジンのみ

パワートレインは現時点ではV8 4リッター直噴ツインターボエンジンのみで、G550が422ps/610Nm、AMG G63が585ps/850Nmのパフォーマンスを誇る。

最新エンジンらしく2個のターボチャージャーはシリンダーバンクの内側配置により、ハイパワーと俊敏なレスポンスを実現。更に気筒休止機構も備えられ、環境性能や燃費性能も大きく改善。トランスミッションはどちらも9速ATの組み合わせ、もちろん伝統のローレンジ付きだ。

また、AWDシステムは従来型同様フルタイム式だが、前後駆動力配分は初代の50:50に対して40:60に変更。オンロードの俊敏性とトランクションを重視したそうだ。

シャシーは伝統のラダーフレーム構造を継承しながらも全面的に刷新、ボディもアルミや高張力/超高張力鋼板を最適採用することで約170kg軽量化をしながらも約55%のねじり剛性アップを実現している。

サスペンションをリジットからダブルウィッシュボーンに変更

サスペンションはフロントがリジットからダブルウィッシュボーンに変更。これはオンロード性能のために避けて通れなかった道のようだが、サスペンションアームのレイアウトを工夫し、ロアアームを高い位置にレイアウトすることでロードクリアランス不足を回避。

一方、リアはリジット式を継承するが、従来型の3リンクから5リンクに進化。ホイールの正確な位置決めを可能にすることで、オンロード性能向上にも大きく寄与している。

更にステアリングギアボックスもボールナット式からラック&ピニオン式に、パワステも油圧式から電動式へと変更。実はこの変更はオンロード性能のレベルアップのためだけでなく、最新の運転支援システムへの対応と言う意味合いもあるそうだ。

このように「見た目不変」、「中身刷新」の新型の実力はどうなのか? 今回、新旧を同条件で比較することができた。

乗り心地や静粛性が激変!G550とAMG G63の走りの差は?

ドアロックを解除した時の「バシャッ」と言う音、重めでドッシリとして握り応えのドアハンドル(数少ない従来モデルからの流用部品の一つ)を操作して運転席に乗り込んでドアを閉めた時の「ガシャン」と言う音。実はこれ、従来モデルと全く同じ。この徹底したこだわりに思わずニヤッとしてしまう。

まずはG550、試乗車はオプションのAMGライン付だ。オンロードを走って驚いたのは、心地よいダルさを持ちながらも正確無比なステアリング系、ラダーフレームであることをほとんど感じさせない一体感のあるハンドリングと直進安定性だ。高級SUVに恥じないスムーズかつやさしい乗り心地や、静粛性の高さなどはもはや激変レベルである。

Gクラスには不似合なワインディングを走らせてもその印象は変わらず。操作に忠実に反応する上にタイヤからの情報もシッカリと伝わってくるのと、前後バランスや4輪の接地性の高さ、上手にコントロールされているロールなどから狙い通りのラインをトレース可能。オンロード主体のプレミアムクロスオーバーSUVと比べても全く引けを取らないレベルだ。

一方、Mercedes-AMG G63はG550よりも引き締められたフットワーク系が与えられ、ロールもより抑えられており、決して機敏ではないがコーナリングが楽しいと感じるレベルである。それでいながら硬さはなく、しなやかさや快適性はむしろG550を上回るレベル。

585ps/850NmのV8 4リッター直噴ツインターボは、アクセル全開では空が見えるかと思うくらいのダッシュ力と加速Gで、スポーツカー顔負けのパフォーマンスを持つ。個人的にはクルマのバランスと言う意味ではG550のほうが優れていると思うが、AMG G63を選びたくなる“魔力”があるのも事実である。

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新型Gクラスの驚異的な進化に思わず出た本音

様々なウィークポイントを許容しながらドライバーが上手に走らせることもGクラスの旨味の一つと言う意見も解らなくはないが、語弊を恐れずに言うならば、全てに遅れや緩さがある従来型と比べてしまうと、「従来型は壊れているのでは?」と思ってしまうくらいの進化である(笑)。

ただ、いくらオンロード性能が良くなっても、肝心なオフロード性能が劣ってしまっては意味がない。オンロードでの余りの激変ぶりに少し心配したものの、それは単なる取り越し苦労であった。

オフロードの実力はいかに!?

今回は富士ヶ嶺オフロードの特設コースで新型G550を体感したが、ここを走る限りは悪路走破性は新旧変わらない。ちなみに数値的には登坂能力は45度、最大走破斜度35度、最低地上高241mm、デバーチャーアングル30度、アプローチアングル31度、ランプブレークオーバーアングル26度と、従来モデル同等もしくはそれ以上の性能を備えている。

ただ、モーグルなどで2輪が浮いてしまうような状況では従来モデルは捻じれを感じるが、新型はミシリとも言わない。また、オンロード走行のための独立式のフロントサスペンションも十分なストロークが確保されているし、ラック&ピニオンのステアリングも細かい操作に対してシビアに感じることもない。

驚いたのはオフロードでも快適性が高いことで、同じ岩山などの凹凸を超える際でもクルマが大きく揺すられることもないし、伝わってくるショックも優しい。ただ、ゆっくり歩くような速度で進む状況では、従来型と比べると新型はスロットルレスポンスがやや機敏すぎに感じる部分も…。

とは言え、悠々と難解なコースを誰でも安心して走り抜けられる姿を見て、「これが40年の進化なのか」と実感した。もちろん、この進化に賛否があるのも重々承知だが、オンロードとオフロード性能をこれだけ高次元で両立できたのは驚異的としか言いようがない。つまり、新型Gクラスはいつでも、どこでも、誰でもその卓越した性能を簡単に味わうことが可能な「最強のマルチパフォーマンスカー」と言っていいと思う。

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[Text:山本 シンヤ/Photo:古閑 章郎]

【動画】新型Gクラスが豪雨の中で本格オフローダーの実力を試す!

新型Gクラスの主要スペック

G550(欧州参考値)Mercedes-AMG G63(欧州参考値)

全長

4817mm

4873mm

全幅

1931mm

1984mm

全高

1969mm

1966mm

ホイールベース

2890mm

2890mm

エンジン

M176・DOHC V型8気筒 ツインターボチャージャー付

M177・DOHC V型8気筒 ツインターボチャージャー付

排気量

3982cc

3982cc

最高出力

310kW(422PS)/5250~5500rpm

430kW(585PS)/6000rpm

最大トルク

610Nm(62.2kgm)/2000~4750rpm

850Nm(86.7kgm)/2500~3500rpm

トランスミッション

電子制御9速A/T

電子制御9速A/T

駆動方式

四輪駆動(4WD)

四輪駆動(4WD)

価格(消費税込)

1562万円

2035万円

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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