オジサン世代のシビックショックを繰り返さないで!ホンダにおけるフィットとシビックの関係(2/3)

オジサン世代のシビックショックを繰り返さないで!ホンダにおけるフィットとシビックの関係
画像ギャラリーはこちら

法人需要を捉えきれなかった外観と安全装備

ホンダ フィット(2017年マイチェンモデル)リア

先代型と現行型を比べると、最も大きく変わったのは外観だ。

先代フィットのフロントマスクは、ヘッドランプのサイズを大きく見せる比較的平凡なデザインだったが、現行型はヘッドランプを薄型にした。今日のホンダ車に共通する形状だ。ボディサイドではサイドウインドーの下端が後ろに向けて大きく持ち上がり、前後のドアには強いキャラクターラインが入る。

これらの効果により、先代型に比べて躍動感と存在感を強めたが、ツールとして使われるコンパクトカーでは個性的なデザインが敬遠される傾向もある。特にコンパクトカーは法人が営業車として利用することも多く、目立つ外観は裏目に出やすい。

外観の変更で先代型に比べると後方視界が悪くなったこともマイナス要因だ。

装備については、先ごろマイナーチェンジを受けるまで、緊急自動ブレーキのシティブレーキアクティブシステムが、ほかの車種に比べて見劣りした。歩行者を検知できず、車両に対する作動速度の上限も時速30kmと低い。トヨタのアクアやヴィッツが採用するToyota Safety Sense C(トヨタセーフティセンスC)も歩行者を検知できないが、最近は軽自動車の方が充実している。

現行ムーヴは2015年のマイナーチェンジでスマートアシストIIを採用。警報に限られるが、歩行者を検知できるようになった。(※2017年8月1日のマイナーチェンジでムーヴはスマートアシストIII採用で歩行者でも緊急ブレーキ対応)

この頃からフィットの安全装備の遅れが目立ち始め、売れ行きを下げる要因になっている。この挽回も踏まえて、先のマイナーチェンジではホンダセンシングを採用した。

>>ホンダ 新型フィット タイプ別を写真でみる(画像45枚)

ライバルは味方にもいた。意外性のないカニバリゼーション。

ホンダ 新型N-BOXホンダ N-WGN

ライバル車の動向も見逃せない。2011年の末にはフィットハイブリッドのライバル車としてアクアが発売され、フィットが落ち込んだ2015年には国内のベストセラーカーになった。2012年9月に発売された日産ノートは、この時点ではハイブリッドのe-POWERを加えていないが、フィットとライバル争いを展開していた。

そして同じホンダのN-BOXもフィットの売れ行きに影響を与えている。背の高い空間効率の優れたボディによって車内はフィットよりも広く、自転車などを積みやすい。現行N-BOXが本格的な販売を開始したのは2012年1月以降だが、3年後の2015年にも18万4920台を売って軽自動車の販売1位になっている。

2016年は18万6367台だから、フィットの11万9846台/10万5662台に比べると圧倒的に多い。販売店からも「N-BOXが定番の軽自動車になり、フィットから乗り替えるお客様が増えた」という声が聞かれる。

さらに2012年11月にはN-ONE、2013年11月にはN-WGNも加わり、日本国内で販売されるホンダ車の約半数が軽自動車になった。軽自動車に偏った新車投入と販売戦略も、フィットの売れ行きを下降させた要因だ。

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

検索ワード

渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

ホンダ フィットの最新自動車ニュース/記事

ホンダのカタログ情報 ホンダ フィットのカタログ情報 ホンダの中古車検索 ホンダ フィットの中古車検索 ホンダの記事一覧 ホンダ フィットの記事一覧 ホンダのニュース一覧 ホンダ フィットのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる