嶋田智之の「お前ら分かってねぇなぁ」Vol.1|アルファロメオ ステルヴィオ編(1/3)

さまざまな輸入車に乗れる“JAIA”に初参加

2019年2月6日、日本自動車輸入組合 略称JAIA(以下、JAIA)が主催する「第39回JAIA輸入車試乗会」に初参加した。

JAIAはメルセデス・ベンツをはじめ、アウディやBMW、ランボルギーニやマクラーレンなどを含む数多くの輸入車の試乗会を毎年開催している。

今回、わたくし平成生まれの若手編集部員 野村が試乗させてもらったのは、アルファロメオの「ステルヴィオ 2.9 V6 BI-ターボ クアドリフォリオ(写真:左)」と「ステルヴィオ 2.0 ターボ Q4 スポーツパッケージ(写真:右)」の2台だ。

試乗当日にそこそこの雨が降るという不運なスタートだったが、幸運にもステルヴィオ スポーツパッケージが急遽空き、クアドリフォリオとスポーツパッケージの2台を試乗できることになった。

さらに今回は、昭和生まれの自動車評論家、嶋田 智之氏と同乗させていただけるという豪華なシチュエーション。ステルヴィオの魅力を手とり足とり教えていただきながらのドライブとなった。

>>どっちが好み? クアドリフォリオ/スポーツパッケージを画像で比較[31枚]

オートックワン編集部 野村(24)のプロフィール

オートックワン編集部員。18歳で車デビュー。過去に所有した車はトヨタ JZX90 チェイサー ツアラーV(MT)、MR-S(MT)日産 フェアレディZ 33型(MT)。AT車の経験はあまりない。オートックワン編集長から降りてきた「若手が輸入車に乗った印象を記事にしてほしい」というミッションのもと、JAIAへ初参加。

“実用的”なのはスポーツパッケージ、“楽しむ”ならクアドリフォリオ

結論から言うと、筆者的には「ステルヴィオ スポーツパッケージ」の方がしっくりときた。一言にまとめてしまえば、“ちょうどいい”と感じられるクルマだったからだ。“実用性”ならスポーツパッケージ、“楽しむ”なら「クアドリフォリオ」だと感じた。

というのもクアドリフォリオの510馬力に対して、スポーツパッケージは280馬力。クアドリフォリオ、スポーツパッケージの順に乗ったので、物足りなく感じるのかと思っていた。ところが実際に運転してみると、スポーツパッケージは十分過ぎるパワーだったのだ。加速、しなやかさ、ステアリングの反応、クルマの動作が自分のイメージした動きにほぼリンクしていく乗り心地は素晴らしいものだった。

とはいえ、クアドリフォリオが微妙だったかといえば全くそうではない。自分の予想を余裕で裏切ってきた。

SUVの概念を覆すクアドリフォリオのスポーティさを体感

試乗する前、正直なところ「そもそもSUVのステルヴィオは、楽しさ・刺激を感じられるクルマなのか?」と疑問を持っていた。そんな物知らずな気持ちが心の隅に芽生えたまま、クワドリフォリオに乗車し、さっそく西湘バイパスに向かい、合流車線へ。

その時だ。何処と無くハッキリしなかった心に衝撃が走った。アクセルを踏み込んだ瞬間、SUVという一言では片付けがたい加速、パワーに一瞬で心を奪われた。同時に、心の中でアルファロメオに謝罪した。

当たり前だ。クアドリフォリオには、2016年当時ニュルブルクリンクで量産4ドアセダンとして世界最速タイムを叩き出した「ジュリア・クアドリフォリオ」と共通の2.9リッターV6ツインターボエンジンが採用されており、最高出力510馬力/最大トルク600NmというSUVらしからぬ驚異のパワーを発揮する。しかもがちゃがちゃとチューンアップしたクルマにはない“大人”の加速力だ。

ステルヴィオ クアドリフォリオの魅力はなにもパワーだけではない。乗り心地も抜群だった。踏み込んだ時、一気にスピードは上がっているのに不思議とGを感じにくい。寂しい気もしたが乗り心地が快適なことに間違いはなかった。

さらに車線変更もしなやかにこなし、ステアリングも自分のイメージに近い反応をしてくれるため、コーナリングも快適だ。思わず公道だという事を忘れ、攻めたくなるほどに。

それもそのはず、クアドリフォリオのステアリングギア比は12:1という超クイックな設定。ちなみに、スバル WRX STI特別モデル「S208」のステアリングギア比が11:1。

何が言いたいかと言うと、スバルのSTI史上最高のスペックを持つ「S208」のステアリングギア比とほぼ同等なのだ。そりゃあステアリングを切るのが楽しいに決まっている。

ただ、クアドリフォリオには楽しいポイントがこれだけあったものの、筆者の場合このスペックのクルマを活かしきれる場面などほぼ無いに等しい。クアドリフォリオの“良さ”を持て余してしまうと思ったのである。

普段使いならスポーツパッケージで決まり!? 十分なスペックを兼ね備えたスポーツSUV

クアドリフォリオへの感動が止まぬまま、ステルヴィオ スポーツパッケージへと乗り換える。

乗った瞬間、第一印象が良かった。スポーツパッケージというだけあって、レーシングを感じさせる赤のスポーツレザーシートに、レザーステアリングが! 筆者的にはもはやこれだけで満足といってもいい。クアドリフォリオとは480万円近くの価格差があるものの、全くそれを感じさせない内装の上質感が強く印象に残った。

そしてパワーはクアドリフォリオよりも230馬力も少ない。この差が物足りなさを感じさせるのかと思ったが、全くそうではなかった。むしろ十分すぎるパワーだったのだ。またステアリングのキレ、加速、車線変更含め、感覚だけでいえばクアドリフォリオと同等レベルのしなやかさ・パワーを感じられた。

何よりも、運転していて“持て余している感”が無い。SUVでありながら、これだけ楽しく運転できる仕様になっていて、パワーも十分。筆者としては日常生活でも持て余すことなく楽しめるSUVとして、スポーツパッケージの方が好みのモデルだと実感した。

ステルヴィオは、普通のSUVでは満足できない人には是非オススメしたいモデルだ。圧倒的なスポーツSUVならクアドリフォリオ、日常生活での使い勝手が重視ならスポーツパッケージ。どちらも全高が1680mmあるため、乗った瞬間は視点が高くSUVに感じるものの、動き出すと一気にスポーティになる。そのため、数回自問自答した。「これSUVだよね?」と。今回初参加したJAIAで、まさかこんなにレベルの高いSUVに乗れるなんて思っていなかった。

>>ご意見番! 自動車評論家 嶋田 智之氏から見たステルヴィオとは[次ページへ続く]

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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