嶋田智之の「お前ら分かってねぇなぁ」Vol.1|アルファロメオ ステルヴィオ編(2/3)

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ご意見番! 自動車評論家 嶋田 智之氏から見たステルヴィオとは

編集部 野村くんがこれまでどれくらいSUVというカテゴリーのクルマに乗ったことがあるのかは全く判らないのですけど、ステルヴィオが“普通のSUVとはちょっと違うぞ”っていう感じのクルマであることは充分に感じ取れたのではないかな? なんて思っています。

というのも、Nくんはこのレポートの中で一応はSUVであることや車高が高いことについてちょっとだけ触れているけど、全体を通してみるとまるでスポーツカーの試乗記であるかのよう。

SUVとしての使い勝手だとか居住性だとかについては見向きもしてない感じすら受けるからです。たぶんホントは現場でそういうところも見て触れて感じてあれこれ考えたとは思うのですけど、印象として強く残ったのは“走り”に関するところばかり……だったのでしょ?

そうなのです。ステルヴィオとはそういうクルマなのです。そういう気持ちにさせられちゃうクルマなのです。今回、野村くんのレポートを読ませていただいて“んっ?”と思ったから自分がこれまで書いたステルヴィオに関する試乗記を全て読み直してみたのだけど、全くもって似たようなものでした。ほとんどが走りの楽しさについてまくし立ててるようなもので、荷室容量がどうとかシートアレンジがどうとか、僕も見向きもしていませんでした。

“快適”なのは走りだけではなく室内空間も

罪滅ぼし代わりに一応ここで触れておくと、ラゲッジ容量は525リッターと数値の上では平均的といえば平均的ですが、家族4人とかでちょっとした旅行に行くには全く問題ないレベルですし、リアシートを倒さなくてもゴルフバッグ2つを重ねれば積み込めます。そのリアシートは4:2:4の分割可倒式だからアレンジを上手く使いこなせば結構実用的。

リアシートの広さについて触れておくと、平均的な日本人の大人3人がそれほど窮屈でなく座れますし、2人だったら楽々。スタイリングに凝っていることもあって天井高が高いとはいえないけど、シートバックの角度が上手いぐらいに寝かされているので、これまた平均的な日本人だったら頭周りが狭いなーと感じることはないでしょう。そう、SUVとしての使い勝手に不足はないのです。

エンジンはフェラーリゆずり!?

で、本題です。……と、すらっと“こっちが本題”といえちゃうところがステルヴィオの性格を表しているなぁとまたしても感じちゃうのですが、そう、本題。走りのテイスト、です。

野村くんは自分自身では自己申告してないですけど、500psのパワーには慣れている人ですよね。にも関わらず510psのクアドリフォリオじゃなくて280psのスタンダード版が気に入ったというところが、ステルヴィオについての無視できないポイントのひとつだと思います。

というのも、クアドリフォリオは確かに刺激的。何せ搭載しているエンジンは、フェラーリ由来。フェラーリ出身のエンジニアが関わったことだけは公表されていますが、ぶっちゃけ、表沙汰にはなってないですけど、基本設計としてはフェラーリ・カリフォルニアTのV8ユニットから2気筒分を切り離したようなもの。ボアもストロークも一緒です。パワー感にもトルク感にも不満なんて全く感じる余地がありませんし、奏でるサウンドなんて、そりゃもう気持ちが蕩けちゃうほどなのです。当然めちゃめちゃ速いし、積極的に走りを堪能したくなっちゃうモデルなのです。

それでも280psの2リッター直4エンジンのモデルがいいなと感じられるのは、1台のクルマとしてのまとまりが素晴らしく良好だから、だと思うのです。走っていて物足りなさを感じることがないのは、まずエンジンのレスポンスが判りやすく気持ちいいこと。鋭すぎないから、凄い! という感覚に邪魔されることなく味わえる、といえばいいのかな。それからトルクの出し方がとっても巧みで、ドライバーがアクセルペダルをちょっと踏むと反応よくスムーズにスッと充分なチカラを与えてくれる。ドバッ! と持て余すほど噴出させたりはしない。それが“意のまま”感につながっているのです。

普段使いなら、やはりスポーツパッケージ?

そしてもうひとつは8速ATとのマッチングの良さ。オートで走っているときにはエンジンの美味しい領域を上手く使わせてくれるし、パドルで積極的にギアを切り替えて走っているときには歯切れのいい変速を見せてくれて、爽快な気分になれる。そうしたところがキレのいいハンドリングと気持ちよくハーモニーしているわけです。パッケージとして秀逸なのですよね。

いや、クアドリフォリオがダメと言っているわけではないのですよ。走りの面においては、あらゆる部分が2リッターモデルの一段以上高いところにありますし、しっかりバランスも取れています。けれど、普段使いということを前提にしたら、過剰といえば過剰。考えてみてください。毎日どこにでも乗っていくのであれば、スーパーカーよりも適度+アルファぐらいのスポーティなモデルの方が気負わないでいられる分だけ自然に楽しめる、でしょう?

なので、SUVにスーパーカーを求めるのであればクアドリフォリオ、スポーツカーを求めるのであれば2リッター直4モデル。僕はそんなふうに考えています。きっと野村くんも同じ、でしょ?

今どきのSUVにはクルマとしての動きが鈍いものはほぼなくなって、押し並べてちゃんと曲がるようになりましたし、スポーティな味つけのモデルも増えてきています。けれど、まるで本格的なスポーツカーやスーパーカーについて語るようなお話を単一モデルの中で繰り広げられるところまで来たっていうのは、考えてみたら凄いことだと思います。アルファロメオ畏るべし、ですね。

>>初めてのJAIAを終えて[次ページへ続く]

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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