[試乗]ダイハツ トール&トヨタ ルーミー/タンクは、あの大ヒット軽自動車のノウハウがたっぷりつまっていた(3/3)

[試乗]ダイハツ トール&トヨタ ルーミー/タンクは、あの大ヒット軽自動車のノウハウがたっぷりつまっていた
<(左) トヨタ タンクカスタム G-T/(右)トヨタ ルーミーカスタム G-T>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 <ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 <トヨタ ルーミーカスタム G-T [FF/ボディカラー:ブラックマイカメタリックxレーザーブルークリスタルシャイン 2トーン]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 <(左) トヨタ ルーミーカスタム G-T/(右) トヨタ タンクカスタム G-T>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 <(左) ダイハツ トールG “SA II”/(右)トールカスタム Gターボ“SA II”>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 <(左) トヨタ タンクカスタム G-T/(右)トヨタ ルーミーカスタム G-T>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 <(左) ダイハツ トールG “SA II”/(右)トールカスタム Gターボ“SA II”>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎 画像ギャラリーはこちら

軽ほどではないが、ノンターボエンジンの動力性能にはやや不満が残る

<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<(左) ダイハツ トールG “SA II”/(右)トールカスタム Gターボ“SA II”>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎

エンジンとプラットフォームは、ダイハツ ブーン&トヨタ パッソをベースにしている。そのためにエンジンは直列3気筒の1リッターで、ノーマルタイプ(ノンターボ)と、ブーン&パッソには設定のないターボを用意した。

>>[画像120枚!]ダイハツ トール&トヨタ ルーミー/タンク フォトギャラリー

車両重量は標準ボディの2WDが1070kg。背の高いボディによって、ブーン&パッソを160kgほど上まわる。エンジンは少し高回転指向で、4000回転を超えた領域で加速力が活発化する。そのために登坂路などでは動力性能が足りない。アクセルペダルを少し踏んだだけでスロットルが大きめに開く制御を採用したので、運転を開始した時はあまり力不足を感じないが、しばらく走ると本来の性能に気付く。

ただしタントやN-BOXなど、背の高い軽自動車のノーマルエンジン搭載車と比べれば、多少の余裕を感じる。トール&ルーミー/タンクの車両重量はタントやN-BOXに比べて100kg以上重いが、排気量の拡大により、最大トルクも50%以上の上乗せになるからだ。

ターボは1.5リッター並みのパワフルさを誇るが、ノイズはやや高め

<トヨタ ルーミーカスタム G-T [FF/ボディカラー:ブラックマイカメタリックxレーザーブルークリスタルシャイン 2トーン]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎

ターボは当然ながら動力性能が高く、1.5リッターのノーマルエンジンに匹敵する。力不足は解消されるが、エンジンノイズが全般的に大きい。特に頻繁に使われる3000回転以下が耳障りで、2000回転付近では共鳴音が気になる。

このようにエンジンはノンターボとターボで一長一短だから、購入時には両車を乗り比べて判断すると良い。試乗コースの中に登坂路も含めておきたい。

重心が高めのため、カーブでは大きく車体が傾く

<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎

操舵に対する反応は鈍く抑えた。走行安定性を確保するには後輪の接地性を優先させる必要があり、相対的に前輪側の反応は鈍く、峠道などでは曲がりにくく感じる。またカーブを曲がる時にはボディが大きめに傾く。

これもブーン&パッソのプラットフォームを使った結果だろう。トール&ルーミー/タンクは前述のようにボディがブーン&パッソよりも160kgほど重く、全高は200mm以上高い。プラットフォームなどに補強を施したものの、高重心で重いボディを十分に支えきれない。

乗り心地には硬さを感じるが、ノンターボエンジン搭載車はターボに比べて少し柔らかい。タイヤが転がり抵抗を抑えた仕様で、指定空気圧も260kPaと高いために路上の細かなデコボコを伝えるが、車両全体の動きはゆったりとしている。その代わりカーブではターボよりもボディが大きく傾く。

一刻も早く、タント同様に”スマアシIII”の採用を

<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎

緊急自動ブレーキを作動できる安全装備は、ダイハツの軽自動車に幅広く使われるスマートアシストII(通称”スマアシII”)だ。赤外線レーザーと単眼カメラを備え、時速50kmを上限に作動する。緊急自動ブレーキは車両のみが対象で、歩行者は警報だけになる。

そこでタントは改良版のスマートアシストIIIを搭載した。時速50kmを上限に歩行者に対しても緊急自動ブレーキが作動して、車両については上限速度を時速80kmに高めた。この機能は早々にトール&ルーミー/タンクにも採用して欲しい。

良くも悪くも、軽ハイトワゴンの大ヒット作”タント”の特性に良く似ている

<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎

今は軽自動車の進歩が著しく、商品力がコンパクトカーを上まわった。そのために軽自動車の販売比率も増えて新車全体の35%前後に達する。2014年には40%を超えた。そこでダイハツは、軽自動車の技術をコンパクトカーに採用する開発を行っている。従来とは立場が逆転した。

トール&ルーミー/タンクは、まさにタントなどのノウハウを使って開発されたコンパクトカーだ。居住性や使い勝手が優れ、走行性能に不満を感じる商品特性まで受け継いでいるのは皮肉なところだが。

価格は標準ボディにノーマルエンジンを搭載したルーミー&タンクX・Sが152万8200円だから、タントX SA III(142万200円)と比べて約10万円の上乗せだ。ルーミー&タンクは、軽自動車に限りなく近いコンパクトカーだろう。

実はダイハツ、次世代小型車用プラットフォームを鋭意開発中なんだとか

<トヨタ タンクカスタム G-T [FF/ボディカラー:ブラックマイカメタリックxマゼンタベリーマイカメタリック 2トーン]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎

ダイハツ トール・トヨタ ルーミー・タンクの今後の課題は、軽自動車とは違うコンパクトカーならではの価値を高めること。そのためには走行性能と乗り心地の向上が必要になる。この点も視野に入れて、ダイハツは新しい小型車用のプラットフォームを開発中だ。

最近はスズキがプラットフォームの刷新でライバル車であるソリオの大幅な軽量化を行い、燃費と走行性能を向上させた。ソリオはまた乗り心地も良くなっている。

ダイハツが今後登場させる新しいプラットフォームを使った新型車で、この状況をどこまで追い上げられるかも注目される。

[レポート:渡辺陽一郎/Photo:和田清志]

>>ダイハツ トール&トヨタ ルーミー/タンク フォトギャラリー[画像120枚!]

DAIHATSU THOR G “SA II”[FF] 主要諸元

<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<(左) ダイハツ トールG “SA II”/(右)トールカスタム Gターボ“SA II”>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎

全長x全幅x全高:3700x1670x1735mm/ホイールベース:2490mm/車両重量:1070kg/乗車定員:5名/駆動方式:前輪駆動(FF)/エンジン種類:直列3気筒 DOHC 12V ガソリンエンジン/総排気量:996cc/最高出力:69ps(51kW)/6000rpm/最大トルク:9.4kg-m(92N・m)/4400rpm/トランスミッション:CVT(自動無段変速機)/燃料消費率:24.6km/L[JC08モード燃費]/タイヤサイズ:165/65R14/メーカー希望小売価格:1,684,800円[消費税込]

※撮影・試乗車はLEDヘッドランプ(64,800円)/LEDフォグランプ(21,600円)/コンフォートパック(22,680円)/イルミネーションパック(16,200円)/14インチアルミホイール(43,200円)/パノラマモニター&純正ナビ用アップグレードパック(45,360円)/ETC車載器(20,455円)/カーペットマット(27,713円)/9インチメモリーナビ(258,293円)/後席モニター(104,350円)等のメーカーオプション及びディーラーオプションを装着

<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<ダイハツ トールG “SA II” (オプション装着車) [FF/ボディカラー:ファインブルーマイカメタリック]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎
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<ダイハツ トールG “SA II”(オプション装着車)[FF]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<ダイハツ トールG “SA II”(オプション装着車)[FF]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<ダイハツ トールG “SA II”(オプション装着車)[FF]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<ダイハツ トールG “SA II”(オプション装着車)[FF]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎<ダイハツ トールG “SA II”(オプション装着車)[FF]>ダイハツトール・トヨタルーミー・タンク 試乗レポート/渡辺陽一郎
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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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