トヨタ 新型アクアクロスオーバー試乗レポート|ちょこっとSUVなアクアの魅力とは?(2/2)
- 筆者: まるも 亜希子
- カメラマン:茂呂幸正
標準アクアより重く、タイヤサイズが大きくなっても34.4km/Lの低燃費を実現
さて、アクアクロスオーバーのパワートレーンは標準のアクアと変わらず、1.5リッター直列4気筒のアトキンソンサイクルエンジン+THS IIのハイブリッド。今回はエンジンにもハイブリッドにも改良を施したというが、燃費をさらに良くする方向の制御系の最適化がメインの模様。
標準アクアより車重が10kg重くなり、タイヤも185/60R16と大きくなるクロスオーバーでも、燃費は標準アクアのG/Sと同様の34.4km/L(JC08モード)で、従来モデルのX-URBANの33.8km/Lより少しアップしている。
運転席からの視点は、「高いかな?いや気のせいかな?」というくらい。SUVらしいアップライトな視点を期待していると、拍子抜けするかもしれない。でも乗降性は、標準のアクアよりスムーズに感じた。やはり、30mmの地上高アップが効いているのだろう。
そして走り出すと、モーターだけの静かでなめらかなEVモードが時速50kmくらいまで続く。強く踏み込むと低速でもエンジンが加わって、元気いっぱいの加速がレスポンスよく引き出せる。ここまでは、標準のアクアとあまり変わらない印象だ。
でもほんの少し違いを感じたのは、そこからさらに高速域まで加速していくときで、俊敏さが際立つ標準アクアに比べると、アクアクロスオーバーはやや穏やかに速度が伸びていく印象。
カーブでもガッシリ踏ん張るというよりは、ジワリと荷重移動をさせていくようなイメージで、そんなところはちょっとSUVっぽい。このアクアクロスオーバーでは専用のチューニングを施しているというから、どちらかというとゴーカート感覚に近いキビキビとした走りが特徴の標準アクアに対して、もう少しおおらかな、大荷物を積んで走っても余裕が持てるような乗り味になっていると感じた。
満足度の高い内外装とSUV気分が味わえるマイルドな乗り味が魅力
ただ、乗り心地は路面の凹凸を拾いやすく、ヒョコヒョコとしてしまう場面があるのがちょっと残念。タイヤとの相性もありそうだが、もう少し落ち着いたフラット感が欲しいところ。
また、標準のアクアが最小回転半径4.8mなのに対して、アクアクロスオーバーは5.4mとかなり大きくなってしまうのも、取り回しを重視する人にはネックだ。
とはいえ、バッテリーを低い位置に搭載するハイブリッド車ならではの低重心な安定感はしっかりあるし、衝突回避支援パッケージのToyota Safety Sense C(トヨタセーフティセンス)も標準装備だし、静粛性も高い。そうした面から感じる快適性・安心感は文句なしだ。
そんなわけで、アクアクロスオーバーは個性的で満足度の高い内外装が、やっぱりいちばんの魅力。そして少し高い地上高と、SUV気分が味わえるマイルドな乗り味がくれる、心の余裕。ファミリーのファーストカーや、愛犬とのドライブが多い人にもオススメしたい。
[レポート:まるも亜希子/Photo:茂呂幸正]
トヨタ アクアクロスオーバー スペック(主要諸元)
トヨタ アクアクロスオーバー スペック(主要諸元) | ||
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価格 | 2,062,800円 | |
駆動方式 | FF・2WD | |
トランスミッション | CVT | |
全長 | 4,060mm | |
全幅(車幅) | 1,715mm | |
全高(車高) | 1,500mm | |
ホイールベース | 2,550mm | |
乗車定員 | 5名 | |
車両重量(車重) | 1,100kg | |
エンジン種類 | 直列4気筒 DOHC | |
排気量 | 1496cc | |
モーター種類 | 交流同期電動機/動力用 | |
エンジン最大出力 | 74ps(54kW)/4800rpm | |
エンジン最大トルク | 11.3kg-m(111Nm)/3600~4400rpm | |
モーター最大出力 | 61ps(45kW) | |
モーター最大トルク | 17.2kg-m(169Nm) | |
主電池 | ニッケル水素電池 | |
燃料タンク容量 | 37L | |
燃費消費率 | 34.4km/L[JC08モード燃費] |
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