スバル XVとインプレッサで雪の東北を縦断!AWD車で過酷な“非日常”と“日常”を体感(2/2)

  • 筆者: 山本 シンヤ
  • カメラマン:小林 岳夫・株式会社SUBARU
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二日目は安比高原から八甲田山周辺の峠道を抜けて、新青森駅を目指す約190kmの“一般道”である。

道中は雪、氷、舗装と様々な条件が混在する上に、路面自体も凹凸があり硬さも様々。このコース設定は「リアルワールドでこそ、本当の性能が解る」と言うスバルの自信の表れでもある。

それを日本で最も雪深いと言われている地域で体感…これが“過酷な日常”である。

試乗車はXVとインプレッサスポーツの2台で、タイヤはブリヂストンの最新スタッドレス「ブリザックVRX2」を履く。

雪深い地域とはいえ、さすがに幹線道路や高速道路は除雪済み。高速道路では当然アイサイトを使っての走行を行なった。

まっすぐ走らせることにこだわったSGPと舗装路面ではブロック剛性の高さが解りやすく、スタッドレス特有のステアリングを切り込んだ際のヨレやワンテンポ遅れるリア追従性なども極力抑えられているブリザックVRX2の相乗効果で、普段とほぼ変わらない走り。

富士重工業が作った軌道モーターカーを特別に見学

第一チェックポイントとなる「小坂鉄道レールパーク」に到着。ここには極寒の中で除雪作業用に使われてきたTMC200CSを始めとする旧富士重工製の車両が多数展示されている。

通常冬季(12月1日から3月31日)は営業を中止しているのだが、今回は特別に見学させてもらうことができた。

スバル(かつての富士重工業)は、2002年に鉄道車両事業を終了するまで、JR日光線の鶴田駅近くにあった宇都宮工場で、国鉄をはじめとする様々な鉄道会社の気動車、客車、電車、貨車に加え、事業用の軌道モーターカーの製造を行っていたのだ。今回訪れた小坂鉄道レールパークには、4両の軌道モーターカーと4両の客車が保管されている。

時間の都合で駆け足の見学となってしまったが、実は一日いても飽きない内容だった。

なお、小坂鉄道レールパークでは、JR東日本で寝台特急「あけぼの」として使用されていた車両に宿泊することもできるとのこと。今回は別件で参加できずに涙を流した鉄道マニアの編集長Tが、雪が解けた頃に追跡取材をしてくれるかも!?

小坂鉄道レールパーク

秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字古川20-9

http://kosaka-rp.com/

※12月1日から3月31日まで冬期間閉園

運転のしやすさにつながるXVの”視界の良さ”

十和田湖に続くワインディングに向かうにつれて、道はだんだん狭くなる上に、路面はどんどん雪深くなってきた。普通なら不安になるシチュエーションだが、こんな状況でもXVの安心感は変わらない。それはメカニカルな部分の信頼だけでなく“視界の良さ”も効いているはず。

道も風景も真っ白な中で瞬時に判断するには、本当にありがたい。ちなみにXVはインプレッサよりも着座位置が高いので、こういう条件ではより安心感が高い。

「まっすぐ走るクルマはコーナリングも優れる」と言ったのは、長年スバルの走りを鍛えてきた現STI(スバルテクニカインターナショナル)の辰己英治さんの言葉だが、XV/インプレッサは(当然無理は禁物だが)滑りやすい路面であってもドライバーの意図通りに素直に曲がってくれる。

新シャシー採用で雪上でもナットクの安心感

十和田湖畔で昼食をとった後は、XVからインプレッサスポーツに乗り換えて青森市を目指す。途中の奥入瀬渓流は氷に閉ざされており、滝が凍っていた。厳冬という過酷な環境の中でも、美しい自然を見ることができた。

ちなみに路面μの低い雪道の下りコーナーなどでは「アンダーが出たらどうしよう」とアウト側になかなか寄せられず、イン側を走る人が多いが、XV/インプレッサはタイヤからの情報も的確なため、アウト側ギリギリのラインでも余裕で寄せられる。つまり、クルマに対する信頼度や安心感が全然違うのだ。これはAWDを活かすシャシー、つまりSGPの実力であるといえる。

ただ、ハンドリングが滑らかになればなるほどパワートレインが気になってしまう。2リッターNAエンジンは十分以上のパフォーマンスと燃費のバランスは納得だが、リニアトロニックCVTは定常走行時は気にならないレベルになっているものの、今回の低μ路での発進時はややドライバーの意図よりも飛び出し感が強めに感じた。

とはいえ、この辺りは「まだまだCVTはしゃぶり尽せていない」とエンジニアも認識している部分なので、今後進化させてくれるに違いない。

せっかく青森まで来たのだから、日本有数の豪雪地帯として知られる酸ヶ湯温泉にも足を延ばしてみた。ここの名物は「ヒバ千人風呂」。その名の通り、千人入れるという大浴場(しかも混浴!)が有名なのだが、時間の都合で入浴はできなかったので、雰囲気だけ堪能。ここもまた、再訪したい”宿題リスト”に載せておかなければならない。

実際に乗ると解る、スバルが提唱する「安心と愉しさ」

そして最終目的地の新青森駅に到着。雪道の長時間ドライブは疲れも普段より多いが、むしろ「もっと乗っていたい」と思ったくらい。実際、スバルのスタッフに「このまま東京へ戻ってもいいかな?」と聞いたのは本当の話である(笑)。

クルマを信頼できると自然と走りも楽しくなってくる、そこがスバルの提唱する「安心と愉しさ」の本質なのだろう。これは決してカタログなどにスペックでは表わすことができないが、実際に乗ると確実に解るレベル。

スバルが考えるGT性能は「より安心して/より快適に/より遠くへ/より速く」がキーワードだが、今回の試乗でそれはどのスバル車にも宿っているDNAなんだと感じた。

[Text:山本 シンヤ/Photo:小林 岳夫・株式会社SUBARU]

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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