ダイハツ 新型 ムーヴ・ムーヴカスタム 試乗レポート/渡辺陽一郎(5/6)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:小林岳夫
骨太な走りはコンパクトカーを超えた
次はムーヴ カスタム RS ハイパー SA(価格は166万8600円)に試乗。
ターボの装着で最高出力は64馬力(6400回転)、最大トルクは9.4kg-m(3200回転)に高まる。最大トルクはノーマルエンジンの154%に達し、発生回転数は実用域の3200回転だから、加速感はまったく違う。動力性能は1リッターのノーマルエンジンに匹敵し、軽くアクセルを踏んでいれば必要な加速力が得られる。
先のムーヴ X SAと同様、ボディやサスペンションの取り付け剛性を高め、タイヤも異なるから走行安定性は高い。装着タイヤは15インチ(165/55R15)で、銘柄はブリヂストン・エコピアEP150。X SAの14インチに比べると、ワイドになって扁平率が下がり、カーブを曲がったり車線変更する時の踏ん張り感が強まった。骨太な乗り味で、これもコンパクトカーと同等か、それ以上のレベルだ。
ただし乗り心地は、14インチに比べると硬めになる。開発者によれば「タイヤに合わせて足まわりは少し柔軟な設定にした」とのこと。なので粗さはないが、大きめの段差を乗り越えた時などは、ショックを相応に伝える。
ムーヴ カスタムが、これまで以上に均整の取れたスタイリングとなったワケ
居住性やシートアレンジなどは先に述べたムーヴ X SAと基本的に同じだが、ムーヴカスタムでは外観のデザインに注目したい。通常は標準ボディのデザインを進めてから、フロントマスクなどが異なるカスタムを手掛けるが、新型ムーヴは逆の手法を取った。カスタムをデザインして、これをベースに標準ボディを造った。
その効果を感じるのは、フロントマスクとボディサイドのバランスだ。特にボディサイドは、1475mmというミライースなどを含めて全車共通の全幅の中で、フェンダーを強く張り出させたように見せている。標準ボディを先にデザインしたら、ここまで凝った存在感のある造形にはならなかっただろう。ムーヴカスタムのサイドビューは軽自動車には見えず、鋭角的なフロントマスクとのバランスも良い。標準ボディを先に開発すると、顔だけが妙にイカツイ感じになるが、新型のムーヴカスタムはボディ全体の均整が取れている。
そしてムーヴ カスタム RS ハイパー SAでは、カスタム全車に装着されるLEDヘッドランプ&クリアランスランプに加え、グリルの下側やフォグランプの脇にもLEDのイルミネーションが装着される。
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