ポルシェ 911ターボカブリオレ 海外試乗レポート(2/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ポルシェ・ジャパン株式会社
ポルシェ 911ターボカブリオレ 海外試乗レポート
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専用デザインで構築された空力性能

リアスポイラー

すでに世界で好評を博している“ターボクーペ”のメカニカル・コンポーネンツを、やはり好評発売中のカレラ4カブリオレのオープンボディとドッキング――アウトラインとしてはそんな生い立ちの持ち主と言えるのが新しいターボカブリオレ。もっとも、クーペモデルに準じて0→100km/h加速は4秒を切り、最高速も300km/h超という圧倒的な高性能を狙うモデルであるだけに、ベースとなったクーペの場合以上に入念なリファインが図られているのが、専用の空力処理を施されたボディのデザインだ。

新しい911ターボカブリオレを生み出すに当たって開発陣が目指したのは、「ソフトトップを閉じた状態でクーペに匹敵する揚力係数を持たせる事」。そして、そうした目標達成のために実はこのモデルのリア・ウイングには独自のディバイスが与えられている。

120km/hに達すると、それまで格納されていたウイング部分がモーター駆動によって上昇をし、ボディ側ベース部分の造形と共に事実上の“二枚羽”を形成する、というのはクーペの場合と同様のプロセス。ただし、こちらカブリオレならではなのはこの可動ウイングの迫り出し量。クーペとは異なるルーフラインによる空気の流れを考慮した結果、この迫り出し量がクーペ+30mmの最大65mmとされたのがターボカブリオレのリアウイングなのだ。

イメージ

結果として、最高速度である310km/h(!)の時点では、リア・アクスルには27kgという値のダウンフォースが発生。一方のフロント・アクスル側は18kgのリフト(揚力)というデータとなるが、こうして「フロントが浮き気味」というバランスとしたのは意図的なものでもあるという。すなわち、エアロダイナミクスの効果が大きく現れる超高速域では、前述のチューニングによって“空力アンダーステア”の特性を発生。敢えて前輪を逃がし気味とする事で、高速走行時には危険なオーバーステアの発生を未然に回避する効果を狙っているというわけだ。

こうして、「リア・アクスルにダウンフォースが働く世界で唯一の量産型カブリオレ」というタイトルを手にすると同時に、もうひとつ誇るべき数字となっているのが空気抵抗係数=Cd値の小ささ。新しい911ターボカブリオレのそれは0.31という値。これは、流れるようなラインを描くルーフを備えるクーペ版ターボのそれと全くの同一値だ。

クーペをベースにオープン化、となれば、そこでは100kgを大きく超える重量増も止むを得ないというのが世の常識。が、このモデルの場合、昨今のポルシェの各オープン・モデルたちと同様、50km/hまでのスピードであれば走行中も開閉操作が可能な電動式ソフトトップを採用し、サイドシル部分には板厚がクーペの2倍という補強材を追加したりしたにも関わらず、その重量増はクーペ比でわずかに70kgという値に留まっている。ちなみにルーフシステム部分のみでは42kgという重量の内訳は、ルーフ骨格とトップ生地の合計が36kgでモーターが4kg、制御系が2kgとの事。すなわち純粋なボディ補強分は28kgに過ぎない計算で、そもそものポルシェのボディがいかに強靭、かつ効率の良い設計が施されているかが、これからも分かろうという事になる。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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