日産 新型エクストレイル[2013年12月フルモデルチェンジ]新型車解説/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部・日産自動車
ハイブリッドの投入は1年後、それまでは従来のクリーンディーゼルを継続販売
まず、日産 新型エクストレイルのバリエーション構成だが、エンジンは直列4気筒の2リッター、ガソリンエンジンのみ。ハイブリッドも予定されているが、登場するのは約1年後で、それまでは従来型のクリーンディーゼルターボ搭載車を継続販売するという。つまり新型のディーゼルは、当面は用意されないと考えられる。
駆動方式は前輪駆動の2WDと4WD。グレードは4WDにのみ、ベーシックな「20S」が設定され、主力の「20X」では2WDと4WDを選択できる。
そして「20X」には、2列シートと3列シートの仕様があり、それぞれに衝突回避の支援機能を備えた”エマージェンシーブレーキパッケージ”装着車も用意した。
さらに外装パーツなどを充実させた「20X エクストリーマーX」も、幅広く設定されている。
つまりエクストレイルで考えるべき選択は、2WDと4WD、2列シートと3列シート、エマージェンシーブレーキパッケージの有無、「20X」と「20X エクストリーマーX」という点だろう。
ベーシックな「20S」は、低価格ではあるが、装備がシンプルでエマージェンシーブレーキパッケージなども装着できない。選択肢からはずして良いと思う。
ならば2WDと4WDの選択だが、車両価格は4WDが20万550円高い。18万円程度で4WDが備わるSUVもあるが、エクストレイルの4WDには、アドバンスドヒルディセントコンロールも装着される。滑りやすい急な斜面を下る時、時速4~15kmの範囲で速度を設定すると、車両側が4輪を独立制動しながら安定して走れる機能だ。悪路の横滑り防止装置ともいえる。この機能まで加味すると、約20万円の上乗せでも割高ではない。
そもそもSUVは基本的に悪路を走るためのクルマで、エクストレイルは最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)も205mmを確保したから、4WDを選ぶのが筋だろう。不意の降雪に見舞われ、SUVが登坂路で立ち往生したのでは情けないということもある。駆動方式は4WDを推奨したい。
3列シート車の設定もあり、用途に応じて選択肢がさらに広がった
シートの配列はどうか。2列シートの乗車定員は5名だが、3列シートであれば7名に増える。あくまでもSUVの3列目だから、荷室に装着された補助席と考えるべきだ。ミニバンのような快適性はないが、短距離の移動に限れば多人数の乗車も可能になる。
3列目シートの装着に伴う価格アップは7万350円。生産を終えたヴァンガードの4万2000円に比べて高価だが、エクストレイルの場合、2列シート車のリアシートにはスライド機能が付かないが、3列になるとこれが加わる。3列シートが一概に割高とはいえない。
ただし、2列シートには防水フレキシブルラゲッジの機能が備わる。荷室をボードによって棚のようにアレンジするもの。3列シートでは防水加工が施されるだけなので、使い方に適したタイプを選びたい。
次はエマージェンシーブレーキパッケージの選択を考える。カメラを使った衝突回避の支援機能だ。時速10~80kmで走行中、先行車に衝突する危険が生じると警報を発し、衝突不可避の時には自動的に緊急ブレーキも作動させる。時速10~60kmの時には歩行者にも反応する。カメラ方式だから車線逸脱の警報も行い、進入禁止の標識を見落として進入しようとした時も警報を発する。
装着に伴う価格アップは7万7700円。スバルのアイサイトやレーダー方式と違って、作動する速度の上限は時速80km。車間距離を自動制御するクルーズコントロールの機能も持たないが、7万7700円であれば割安な安全装備だろう。
オプションでは、リアカメラによって後方の車両を検知して、2車線道路などで並走車両に気付かずレーンチェンジを開始すると、警報を発する機能なども装着できる。充実した安全装備は新型エクストレイルの特徴でもあるから、積極的に選びたい。
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