3列シート版レクサス RX450hL試乗レポート|北米のニーズに応えた7人乗りSUVは日本でも通用するのか!?

マツダ CX-8に続け!?レクサス RXに3列シート版が登場

日本唯一のプレミアムブランドである「レクサス」。セダンの“LS”、クーペの“LC”と言うブランドを象徴する2つのフラッグシップモデルが話題となっているものの、実際の販売台数をけん引しているのは、クロスオーバーSUVモデルたちである。

いまのところレクサスのクロスオーバーSUVはRXとNXのみだが、間もなく末っ子の“UX”が登場予定。また、2018年1月のデトロイトショーではクロスオーバーSUVのフラッグシップを示唆するコンセプトモデル“LF-1リミットレス”もお披露目されるなど、今後もSUVが主力となるのは間違いないだろう。

そんな中、RXに新たなモデルが追加された。それが3列シートモデル仕様の“RX450hL”だ。これはメインマーケットである北米の多人数乗りモデルのトレンドが、ミニバンからSUVにシフトしていることに対応したモデルだ。ちなみにレクサスにはラダーフレーム式を採用する本格クロカンSUVの“LX”、“GX”に3列シートモデルがラインアップされているが、やはりクロスオーバーSUVにも3列シート車が必要だと考えたのだろう。

また、日本市場ではマツダ CX-8のクリーンヒットで3列シートSUV市場が開拓され始めていることも相まって、実に絶妙な導入タイミングだったと思う。

>>じっくり見ないと判らない、3列シートになったRXを画像で見る

3列シートになったことで乗り心地が良くなった!?

レクサス RX450hLがどんな車かはこのあと語るとして、さっそくRX450hLに試乗してみよう。

既存モデルの2列シート版レクサス RXのパワートレインは、ガソリン車やFFもラインアップされているが、3列シート版のRX450hLでは、 V6-3.5L+モーターのハイブリッドで駆動方式は電気式四輪駆動の「E-four」のみ。

車両重量は2240kgと2列シートモデルより100kg増加しているが、エンジン262ps/355Nm+フロントモーター167ps/335Nm+リアモーター68ps/139Nmと元々動力性能は余裕があったため、重量増による影響はそれほど感じない。

ただ、それよりも現行モデルでだいぶ良くなったとは言うものの、LS/LCのマルチステージハイブリッドを知ってしまった現在だと、エンジン回転と車速上昇のズレやラバーバンドフィールが気になってしまうのも事実である。

走りの部分では3列シート化に合わせた最適化をしているようだが、2列シートモデルよりも操舵フィールは自然でカッチリしている。その反面、乗り心地は細かな凹凸に対して神経質な性格なのは2列シートモデル譲りだが、3列シート分の重さが功を奏しているのか、落ち着きが増しているように感じた。

つまりRX450hLは、より大人っぽさがプラスされ、RXシリーズのトップグレードにふさわしい乗り味になっている。恐らくサードシート追加のためにリア周りを中心に補強がプラスされているはずだが、それが走りにも影響しているのだろう。

追加された3列目は使えるのか否か、それが問題だ

3列シートはこども用・緊急用と割り切らないと使えない

RX450hLのインテリアは、インパネ周りやフロントの運転席/助手席シート周りは2列シート仕様と同じだが、セカンドシートは左右席の独立感を高めたデザインの物に変更されているのと、サードシートの乗り降りのためにワンタッチの前倒機能がプラスされている。そして3列目は専用空調操作パネル(左右独立の温度設定/吹き出し口制御が可能)など、快適性にもこだわっている。

前席から後ろへ向かって高さを段々に配置する“シアターレイアウト”を採用するものの、肝心な居住性は...。3列目はシート自体が小ぶりで薄手な上にヘッドクリアランスとレッグスペースが最小限、体育座りに近い着座姿勢、そして大きめのセカンドシートによる強い圧迫感により、大人だとかなり窮屈だ。3列目シートに人を乗せるのは、こども用もしくは緊急用と割り切ったほうがいいかもしれない。

ただ、何かあった時の“+2”の拡張性はありがたいのも事実である。ラゲッジスペースは3列目のシートを収納しなくても中型のスーツケースなら平積できるスペースを用意。ちなみに3列シートは電動格納式なのも嬉しい所だ。更に2列目も倒すと、段差の少ないフラットフロアになるなど収納性・利便性は非常に高い。

デザイン的には“後付け感”がやや気になる

レクサス RXにサードシートを搭載するにあたり、既存の2列シートモデルに対してリアオーバーハングを110mm延長した。延長されたルーフラインや角度が立てられたリアピラー部、ルーフレールの採用など専用デザインになっているが、ホイールベースは2790mmと2列シートモデルから変更はない。

RX450hLのデザインは2列シートモデルに対して落ち着きある印象がプラスされているものの、スポーティなフロントセクションに対してややアンバランスな印象を受けてしまうのがちょっと残念な所。この辺りの造り分けについても、実質的な兄弟モデルであるマツダ CX-5(2列シート)とCX-8(3列シート)は上手だと思う。

RX450hLの価格は769万円。立ち位置的にはRXシリーズのトップモデルだが、3列シート版の人気次第ではガソリン車などバリエーションの追加もあるかもしれない。

[Text:山本シンヤ/Photo:島村栄二]

レクサス RX450hLの主要スペック

レクサス RX450hLの主要スペック
車種名RX

グレード

450hL

駆動方式

AWD(E-Four)

トランスミッション

電気式無段変速機

価格(消費税込)

7,690,000円

JC08モード燃費

17.8km/L

全長

5,000mm

全幅(車幅)

1,895mm

全高(車高)

1,725mm

ホイールベース

2,790mm

乗車定員

7人

車両重量(車重)

2,240kg

エンジン

V型6気筒

排気量

3,456cc

エンジン最高出力

193kW(262PS)/6,000rpm

エンジン最大トルク

335N・m(34.2kgf・m)/4,600rpm

モーター最高出力

フロント:123kW(167PS)

リア:50kW(68PS)

モーター最大トルク

フロント:335N・m(34.2kgf・m)

リア:139N・m(14.2kgf・m)

燃料

無鉛プレミアムガソリン

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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