強いHonda愛ゆえのアツい<NSX論>/ホンダ 新型NSX 試乗レポート(3/4)

強いHonda愛ゆえのアツい<NSX論>/ホンダ 新型NSX 試乗レポート
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ハイブリッドらしい新たなエクスペリエンス、クワイエット・モード

ホンダ 新型NSX 公道試乗レポート/河口まなぶ

そういう意味では、新型NSXのクワイエット・モードは実に説得力があるし、新たなエクスペリエンスかもしれない。圧倒的な存在感を持つスーパースポーツがほぼ無音で走りだす様はとても新鮮で、むしろ大きな音を撒き散らすより圧巻。このモードは、走り始めをフロントモーターで行ない、その後エンジンが作動しても可能な限りサウンドも抑える、ハイブリッドのNSXだからこそ実現されているモードだ。

最近のスーパースポーツは、眉をひそめるような排気音を出すものが多いが、そうした中で新型NSXがクワイエット・モードを備えたことは高く評価できる。特に街中や住宅街では、自分だけが気持ちよければ良いわけではない。そうした時にこのクワイエット・モードは活きてくる。ハイブリッドとモーターという構成が最大限に活きるのはまさにこの時だ。

これがアキュラのいちラインナップと考えるなら合点がいく

ホンダ 新型NSX 公道試乗レポート/河口まなぶ

メカニズムのディテールの話はこのくらいにしておこう。

新型NSXのインテリアは、我々同業者だけでなく画像を見た一般の人からも多くの不評も買っていて、僕もあまり好印象は覚えなかった。

目の前に鎮座するステアリングホイールは、ホンダが送り出す現代のスーパースポーツのそれというより、フィットやステップワゴンと変わらない雰囲気。加飾も妙にギラギラして安っぽい・・・

と、ここまで書いてわかったのは、Hのマークが似合わないのだ。なるほどここに、ホンダの高級車ブランド[Acura](アキュラ)の“A”マークが入れば納得がいく。そうすると、全てのデザインに、なるほどと思えてくる。エクステリアのあの感じもなるほど、北米市場を中心に支持されるアキュラ・テイストの体現といえば了解できる。

その意味では、かつての初代NSXを受けての歴史や伝統や過去の細かな云々とは関係なく、これはアキュラのラインナップの1つ、と思うとうなずける。

異次元の走りを得るために我慢を強いる、のならまだしも

ホンダ 新型NSX 公道試乗レポート/河口まなぶ

もう一度、走りの話に少しだけ戻ろう。

たとえ数々の不満があったとしても、それがとにかく走りのために一生懸命になったからこその結果だったら納得がいく。誰がどう見ても速いタイムを刻む必要があったらハイブリッドを備えたとか、重いボトルを置くと外れてしまう簡易型のドリンクホルダーしかつけられなかったとか、軽量化のためにフロントにリフトアップ機構がつけられなかったとか(ちょっとした段差越えでかなり気を遣う)、電動格納ミラーも涙を飲んで不採用にしたとか・・・でも実際はそのためではない。

買い物をした時に新型NSXのトランクルームに、生ものや精密機器を入れてはいけない。あまりの熱で食べ物は温められ、機械は壊れるかと思うほど熱される。僕もカメラバックを入れて思わず焦ったほどだ。もっともそれも、走りに徹底的にこだわったのならば仕方ないが、トランクが衝撃的に熱くなることに相応しいほどのこだわりは、走りに反映されているかわからない。

生産方法に、販売スタイルに、初代のようなイノベーションはあるか

ホンダ 新型NSX 公道試乗レポート/河口まなぶホンダ 新型NSX 公道試乗レポート/河口まなぶ

次は初代NSXの話に少しだけ戻ろう。

このクルマは、クルマそのものを世に送り出すだけでなく、このクルマを中心としたひとつの生態系(エコシステム)を作り上げるような意味合いがあった。

当時は専用の工場を作り、ここで匠による手作りをして、専売店舗へ専用トランスポーター(ガラス張りの積載車!)で送り出して販売し、オーナーズイベントを行なってドライビングやその他を感じ取ってもらい、ヤレてきたらリフレッシュプランで新車並みに戻してまた楽しむ・・・というような世界観を作ろう、という気概があった。

それらのいくつかはバブルの崩壊を前に崩壊し、立ちいかなくなった部分もあったが、理想は高く目指す頂(いただき)はとびきり高いものだったことは間違いない。

そうした部分で新型NSXはどこを目指しているのだろう? この点についてもホンダからの説明は曖昧模糊としている。

アメリカで専用の工場を作ったことは噂に聞いているが、その他は特にユニークな点はあるのだろうか? フェラーリやマクラーレンのショールームとは全く異なる、何か新たな販売を行なっているような話もきかない。それらと戦うのに、通常のアキュラ店、まして日本では軽自動車と同じホンダ・カーズ販売店で、他のモデルと同じように売るのだろうか?

>>ホンダ 新型 NSX フォトギャラリー[画像80枚超]

新型NSXは僕にとって、想定内のスーパースポーツだった

ホンダ 新型NSX 公道試乗レポート/河口まなぶ

初代NSXは、ニュー・スポーツのX=未知数であり、実際のプロダクトでも世のスーパーカーを驚かせるだけの未知数を確かに示してみせた。が、新型のニュー・スポーツ・エクスペリエンスとは、何を指すのだろう?

先に記したクワイエット・モードか、はたまた異次元のハンドリングか。

ちなみに最近体験した新たなエクスペリエンスでいうなら、排気音も振動もないのに強烈な加速を生み出すEV、テスラのデュアルモーターはかなり印象的で衝撃的だった。ではNSXに、そういう部分はあるかと考えると、インパクトはそれほど強くはない。

ならば現代のクルマにふさわしく、IoT(Internet of Things ~モノのインターネット~)の先駆けとして新たな世界観を構築することや、SNSとの連携や、AI(人工知能)を用いて新たなユーザーインターフェースを手にいれたとかに期待もするが、残念ながらまだそこには達していない。あるいは自動運転につながる先進技術を搭載した安全装備が、スポーツドライビングを邪魔しないスーパースポーツとして存在感を示すとか・・・。

そうした想像は全て当てはまらない。だから残酷な言い方をするのだけれど、その意味では新型NSXは僕にとって、想定内のスーパースポーツだ。

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河口 まなぶ
筆者河口 まなぶ

1970年生まれ。大学卒業後、出版社のアルバイトをしたのちフリーランスの自動ライターとなる。1997年に日本自動車ジャーナリスト協会会員となり、自動車専門誌への寄稿が増え、プレイステーション「グランツーリスモ」の解説も担当。現在、自動車雑誌を中心に一般誌やwebで自動車ジャーナリストとして活躍。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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