売れ筋国産コンパクトカー 徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
これまでの不満点の解消を図った
新しいヴィッツがどういうクルマになるのか、とても興味があったのだが、ひとことでいうと、先代の不満点の解消を図ったのがまず一点。さらに、クラストップの燃費の達成と、女性的イメージの払拭にあったようだ。
先代の不満点については、ラゲッジスペースの拡大をはじめ、散見された安っぽさの払拭や、燃費追求により損なわれていた動力性能の向上などが図られている。
女性的イメージの払拭が、成功するかどうかわからないが、これまで関心を持ってもらえなかった層からも興味を持ってもらえることだろう。
もちろん女性ユーザーを軽視したわけではなく、ニーズに応え個性を細分化した多彩なラインアップや、17色という豊富なボディカラーが揃えられているのは、ヴィッツならでは。
ただし、大々的にアピールしているアイドリングストップ機構装着車が、実はごく一部のグレードでしか選べないなど、行き届いていない部分も見て取れる。そのあたり、ゆくゆく改善されていくことに期待したい。
抜きん出た完成度
ひとめでスイフトとわかるという点ではいいのだが、見た目の印象が先代から変わらなさすぎた感もあり、せっかくフルモデルチェンジしたのに、いまひとつそのインパクトが薄いことが、まず惜しまれる。
ただし、内容的にはスズキの評価を一気に高めた先代モデルに対しても、全面的に大きく洗練されており、その完成度の高さはヴィッツやマーチに対して一歩抜きん出ている印象がある。
反面、ラインアップのパリエーションについては、もう少し何かあってもいいような気もする。
ボディカラーの選択肢についても、もう少し欲しいところだ。これについては、たとえば先代のスイフトにおいて、上質で明るい配色としたインテリアのモデルを販売したものの、あまり売れなかったため、現行モデルでは見送ったという事情もあるようだ。
当時とは事情も変わっていることだし、スイフトにもジュエラやボレロのような仕様のモデルがあってもいいかもしれない。
パイクカー的な味わいを気軽に楽しめる
タイ生産であることに対し、必要以上にネガティブイメージがついてまわってしまっている現行マーチだが、もっとクルマとしての本質を見るべきではないかと思う。
いちコンパクトカーとして見たマーチは、愛らしいデザインを持ち、低燃費でよく走り、ユーティリティにも優れるという、万能性の高いクルマに違いない。それが比較的低価格で提供されていることをヨシとしてもいいのではないか。
むしろ、横滑り防止装置やテレスコピックの設定がない点など、基本的な部分を見直して欲しい箇所がいくつか見受けられた。
一方でマーチには、従来と同じくパイクカー的な味わいのあるボレロのような仕様のモデルがあることも、あらためてお伝えしておきたい。
ベースが12Xグレードに限られるため、装備面での制約があるのは否めないが、オーテックジャパン扱いのクルマながら、保証等はベース車と同等に受けることができる。こうしたクルマを気軽に楽しめるよう設定されているところがよい。
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