LC/NSX/GT-Rを徹底比較 ~日本が誇る憧れの高性能スポーツカー~(4/4)

LC/NSX/GT-Rを徹底比較 ~日本が誇る憧れの高性能スポーツカー~
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【LC】ハイブリッドはメリハリのある回転感覚が魅力でLサイズクーペでも走りは軽快

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LC500hが搭載するV型6気筒3.5リッターエンジンをベースにしたハイブリッドは、実用回転域のトルクが高く、幅広い回転域でパワフルだ。新開発されたマルチステージハイブリッドトランスミッションが採用され、無段変速を基本としながら、4速ATの併用により10速のステップ変速を行える。

GS450hなどが採用するハイブリッドにもパドルシフトが装着されて疑似変速は可能だが、これに比べてレクサス LC500hはメリハリがあり、高回転域まで使う走り方をしても楽しい。5000回転を超える領域の加速も活発だ。

V型8気筒5リッターエンジンは、低回転域から大排気量らしい力強い加速を見せる。レクサスRC FのV8 5リッターは、3600回転でセカンダリーエアインテークが開いた時の吸気音変化が大きく、子供っぽい印象だが、LC500では相応にノイズが響くものの洗練されている。エンジン回転数と動力性能が直線的に伸びる感覚は、自然吸気ノーマルエンジンならでの魅力だ。

走行安定性も高い。操舵に対して忠実に曲がり、後輪の接地性も優れている。V8とハイブリッドを比べると、ハイブリッドは後輪の横滑りが若干拡大しやすい。開発者は「ハイブリッドは車両重量が60kgほど重く、後部に駆動用リチウムイオン電池を搭載するため、慣性の影響に違いが生じた」という。

Sパッケージには、LDHとして、ステアリングギヤ比の可変機能/後輪操舵/トルセン式LSDを装着した。レクサス RC350 FスポーツのLDHは制御が極端で操舵に対する反応が過敏になり、中低速域の危険回避では後輪の接地性も甘くなりやすいが、LCは違和感を抑えた。スポーツ+モードでは足まわりが硬めの設定になって機敏に向きを変えるが、走行安定性の弊害はほとんど生じない。後輪が横滑りを生じた時は後輪操舵の動きを感じるが不都合はない。機能を幅広く洗練させた。

少し気になったのは乗り心地だ。日本車としては十分に快適だが、価格が1300万円に達する豪華指向のクーペになることを考えると、もう少し重厚感が欲しい。路上の細かなデコボコは吸収するが、段差を乗り越えた時などは、コンフォートモードでもショックの伝わり方に角張った印象がある。この傾向はV8エンジン搭載車が若干強い。開発者も「乗り心地の進化は今後の課題」という。また動力性能が高いので、4WDを採用することも考えたい。

市街地での乗り心地は改善の余地を残すが、走りの満足度は全般的に高い。特に車両重量が2トン前後に達しながら、峠道を軽快に走れるのは基本性能が高いためだろう。豪華指向のクーペでありながら、車両と一体になった運転感覚を満喫できる。

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【NSX】モーター駆動の働きで次元の異なるスポーツ走行を満喫

ホンダ NSXホンダ NSX

NSXの動力性能は、今回取り上げた3車種の中でも特に優れている。ツインターボの装着による高い基本性能に加えて、モーター駆動の効果が大きい。巡航中にアクセルペダルを深く踏み込むと、瞬発力の高いモーターがフルに力を発揮して一気に速度を上げる。それはまさにスイッチを入れ替えたような感覚で、回転が上昇したことによって速度を高めるエンジンの加速とは質が異なる。新しい運転感覚といっても大げさではない。

またクワイエットモードで、燃料の消費量を抑えた静かな走りも可能とする。この時はアクセル操作に対する反応も機敏ではないが、エンジンを停止させてモーター駆動だけで走ると、新世代のスーパースポーツカーであることを実感できる。

全高が1215mmと低く、全幅が1940mmとワイドなミッドシップスポーツだから、走行安定性は抜群に高い。クワイエット/スポーツモードでは安定重視の設定で、良く曲がり後輪の接地性も優れている。

スポーツ+モードにすると前輪側のツインモーターの駆動力制御(トルクベクタリング)で操舵に対する反応が機敏になり、少し不自然ではあるが鋭く曲がる。この時にタイミングを見計らってアクセルペダルを深く踏み込むと、後輪を少し横滑りさせることも可能だが、バランスが良いのはあくまでもスポーツモードだ。

乗り心地は少し硬い。しなやかさが欲しいとも感じるが、それを補えるほど安定性と旋回性能が高い。ただし価格も2370万円に達するから、乗り心地を一層熟成させる余地はあるだろう。

NSXは前述のように納期が呆れるほど長く、実質的に購入の困難なクルマだ。顧客を長々と待たせるなら、納車された時には、想像以上に優れたクルマに仕上げている必要がある。せめて「待った甲斐があった」と思わせなければ、顧客に失礼だ。

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【GT-R】国産のスーパースポーツカーの標準となり得る主力車種

日産 GT-R(2017年モデル)日産 GT-R(2017年モデル)

GT-Rのエンジンは低回転域から十分な駆動力を発生するが、回転の上昇に伴って加速のボリューム感が明確に増してくる。最近の自然吸気エンジンに近いターボとは性格が異なり、過給器の存在を意識させる。

最高出力が570馬力、最大トルクは65kg-mとあって、ターボの効果がフルに発揮される3500~5000回転付近の加速力は迫力満点だ。エンジンの回転感覚が分かりやすく、マニュアル操作時にも変速タイミングを把握しやすい。高性能エンジンを操る実感が強まる。

操舵感はガッシリと骨太で、1700kgを超えるボディを確実に曲げる感覚が伝わり、路面の状態も把握しやすい。

4WDとの相乗効果で走行安定性も高く、確実に曲がって後輪の踏ん張り感も申し分ない。感覚的には軽快とはいえず、ボディの重さも相応に意識させるが、舵角に応じて車両を確実に曲げる頼もしさがある。

GT-Rの特徴は、スポーツ性の高さと併せて安心感が高いことだ。高速道路を走行中に水たまりに入ったり、カーブを曲がりながらブレーキを踏むような操作を強いられた時でも挙動の乱れが小さい。これはスーパースポーツカーに共通する特徴だが、GT-Rは特にこの傾向が強い。

価格はLCやNSXに比べると安く抑えているから、安定性の優れた実用車としてGT-Rを選ぶこともできるだろう。

乗り心地は発売当初に比べると大幅に改善されたが、それでもLCやNSXに比べると硬く感じる。ターボを意識させるエンジンも含めて古典的だが、そこもGT-Rの魅力だ。

国産スーパースポーツカーの基準はGT-Rだと思う。日産 スカイラインやフーガはインフィニティのエンブレムを装着したが、GT-Rが「日産」のエンブレムを装着することは国産車の証ということ。だからこそ、安全装備を含めて着実に進化させて欲しい。

 LCのスポーツ性は、NSXやGT-Rほど強くないが、質感/快適性/安全装備に力を入れた。今後は乗り心地を熟成させると、魅力が一層際立つ。

NSXはハイブリッド4WDとしたことで、次元の違う新たなスーパースポーツカーの世界を築いた。ただしホンダが開発と製造を行う工業製品だから、購入を希望する顧客には、不便を感じさせずに供給できる体制は整えて欲しい。

今は軽自動車が一番の売れ筋で、コンパクトカーやミニバンを含めて実用指向の車種が販売の中心を占める。スポーツカーは売れ行きが低調で、海外でも好調とはいい難い。

しかしクルマの走行性能を進化させるのは、今も昔もスポーツカーだ。

各メーカーとも、この3車種で育てた走りの技術をコンパクトカーや軽自動車にも反映させて欲しい。そうなれば今回取り上げた3車種は、自動車産業にとって大切な役割を担う。それはスーパースポーツカーに乗るプライドも高めることだろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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