BMW 新型 1シリーズ 海外試乗レポート／日下部 保雄(2/3)

あまりの乗り心地の良さと静粛性に驚く！

新型1シリーズのデザインは、写真などで見るよりもはるかに立体的だ。最新のBMWトレンドに則ったボディサイドまで周り込むヘッドライトの形状も違和感なく溶け込んでおり、ユーザーにも受け入れやすいものといえるだろう。サイドからリアにかけての面構成はダイナミックで、広げられたリアトレッドに見合って展開される骨太の造形が印象的だ。新しい1シリーズのデザインのハイライトでもあるだろう。

現行型と似たシルエットながら、よく見れば明らかに進化しているところが新型1シリーズのデザインの妙でもある。

インテリアも大きく変更されて、プレミアムモデルらしいインテリアになったと言ったら失礼か。コントロール類はすべてドライバーに向けられたBMWらしいタイトなコックピットは、i-Driveをはじめエンジンやステアリング制御を変えられるスイッチなどが効率的に配置されて、多様化する車両情報や制御関係のコントロールがしやすいように配慮されている。ちなみにリアシートのレッグルームは20㎜ほど広げられたので、ドライバーが特に大きな人でなければ幾分余裕ができたのもありがたい。更にラゲッジルームも拡大され、300～1200ℓまでの容積がある。これは現行型よりも30ℓ大きい。拡大された荷室を実際に使ってみると、予想以上に荷物の収まりがよい。

走り出すと驚いたのは、これが１シリーズかと思ったほど乗り心地が良く、また静かであったことだ。特に乗り心地に関しては、場面によっては5シリーズに勝るとも劣らない素晴らしさだったことをご報告しておこう。しかも試乗車はスポーティなM-Ｓportサスペンションを装着した18インチのランフラットタイヤを履いたモデルなのだからなおさらだ。M-Ｓportはスタンダードモデルに比べるとバネ、ダンパーともスポーティに固められたアシを持っている。しかし一般道などで良く遭遇する荒れた路面の通過の際にも、バネ下はよく動いているがバネ上は常にフラットに保たれているのだから恐れ入る。

静粛性もかなり向上しており、ロードノイズの遮断に優れた特性を発揮している。これが激しくうねりが連続するような路面でも変わりはなく、さすがに上下動は大きいが収束はぴたりと収まる。また悪路での衝撃も「角が丸い」という表現でお分かりいただけるだろうか。ガツンとしたショックを感じることはほとんどないのにはびっくりした。

このM-Sportサスペンションには、さらにアダプティブM サスペンションがオプションで設定されていて、こちらは可変制御のダンパーとなる。"コンフォート"と”スポーツ”ではダンパーの硬さが異なるが、この変わり目も顕著で、日常ではあまりないだろうと思われる波状路で明確にダンピングが変わり、"コンフォート"では上下収束に難儀していたのが、”スポーツ”ではぴたりと収まる。

もっとも、これは可変ダンパーを持たないM-SPORTサスペンションでもかなリ収束が優れているので、こちらを買っても後悔はしないだろう。