アウディ 電気自動車 A1 e-tron・A3 e-tron 試乗レポート/松下宏(2/3)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:オートックワン編集部・Audi AG
レンジエクステンダーEVの仕上がりは上々
最初に試乗したのはAudi A1 e-tronだ。
せっかくのレンジエクステンダーなので、エンジンがかかる瞬間も確かめたいと思い、電気の消費が多くなるような走り方をしようかと思ったが、そんな心配は無用だった。すでに何人もが試乗した後だったので、電池の残量が少なくなっていて、走り出すとすぐにエンジンが始動してしまった。
なので、ひとまずクルマを停止させて電気モーターだけで走るEV走行を試すことにした。ボタンを押してシステムを始動させると、インパネ内の液晶画面に航続可能距離などの表示が出て、スタンバイ状態にあることが分かる。リーフのようにスタンバイ状態を知らせる音がしたほうが分かりやすいように思う。
ゆっくり走り出すと無音のままだ。直線でアクセルを踏み込むとロードノイズが入ってくると同時に、ロータリーエンジンが回り始める。エンジンは後方に搭載されているので、運転席に座っているとほとんど気にならないレベルの騒音だ。試乗の後で車外でロータリーエンジンの音を聞いたら、それなりに大きな音がしていた。このあたりは市販されるときには対策が取られるはずだ。
切れ間のないスムーズな加速に酔いしれる
アクセルを踏み込んだときの加速は速い。ギアチェンジの段差もなく、切れ目のないスムーズな加速がつながっていく。
アウディの資料によると、時速100kmまでは10.2秒で加速し、最高速は時速130kmに達するというが、貸し切り状態にしてクローズドの箱根ターンパイクとはいえ、そこまでの走りを確かめることはできない。ただ、瞬間最高出力が75kW、最大トルクが240N・mに達するモーターの実力は相当なもの。電池の搭載で重くなっているとはいえ、A1のボディを引っ張るのに十分な実力だ。
A1 e-tronはセンタートンネルとリヤシート下にT字型に電池が搭載されている。低い位置に重い電池を搭載することで、重量バランスに優れたクルマになっているため、コーナリングの安定感はとても高いレベルにある。日産リーフもそうした特長を持つが、リーフに比べて格段にスポーティなイメージだ。
ロータリーエンジンは発電専用
エネルギーの回生はステアリングホイールに設けられたパドルを操作して回生の強さを5段階に調整できる。好みや走行条件に応じて切り換えて走る仕組みだ。
12kW/hの容量を持つリチウムイオン電池は200V電源から3時間ほどでフル充電にできる。フル充電にしても電気だけで走れる距離は50km程度と短いが、電気を使った後はロータリーが回って発電するので、航続距離は250kmを超える。
ロータリーエンジンの出力は駆動力として使われることがなく、発電のためにしか使われないが、発電した電気で12リットルの燃料がなくなるまで走れるので250kmから300kmくらいの距離を走れるのだ。これも電気自動車のひとつの形といえるだろう。
※Audi A1 e-tronのスペックは画像をクリック!
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