アウディ 電気自動車 A1 e-tron・A3 e-tron 試乗レポート／松下宏(3/3)

激しく動くタコメーターの針

Audi A3 e-tronは純粋な電気自動車で、三洋(パナソニック)製のリチウムイオン電池を26.5kW/h搭載している。モーターの最高出力は100kWと1.8Lエンジン並みだが、最大トルクは270N・mで3.0Lエンジンに近いような実力を持つ。電池の重さが影響してか、車両重量は1590kgもあるそうで、けっこう重い。ちなみにリーフの重量は1520kgだから、人間一人分くらい重くなっている。

ただ、動力性能も大きいので加速はAudi A1 e-tronよりもずっと力強いものになる。力強い加速がスムーズに伸びていくのはA1 e-tronと同じで、こちらは時速100kmに到達するのに11.2秒という。A1 e-tronより1秒遅いが、それでも十分な加速性能だ。

アクセルを踏み込むと、インパネ内に設けられたタコメーターの針が一気にレッドゾーンの中まで飛び込んで行き、アクセルを緩めると一気に逆側に触れてチャージ領域に入っていく。アクセルを緩めた瞬間に回生が始まる形だ。

回生の強さがドライバーの意志で選択できるのはA1 e-tronと同じである。将来的にはブレーキ回生も行うことになるようだが、現在の段階ではブレーキ回生は行っていない。ブレーキ回生は違和感があるので現在は検討中ということのようだ。

乗るとやっぱり「アウディ」らしい

コーナーを曲がるときの安定性の高さはやはりアウディらしいもの。安心してコーナーに入り、気持ち良く駆け抜けていくことができる。この感覚はやはりアウディならではいうべきだろう。

 今回の試乗会は箱根ターンパイクを借り切って行われたが、その全線を走れるわけではなく、頂上の大観山から下って片道2.7kmくらいの地点までを往復するコース。これを2回繰り返しただけだから、e-tronの魅力を存分に味わえたというほどではないが、多くの人にe-tronを体験してもらうということから考えると、これも仕方ないだろう。

発売予定時期は一切未定だが

アウディはスポーツカーのR8をベースにしたAudi R8 e-tronの投入をすでに表明しているが、今回のA1 e-tronとA3 e-tronについてはまだ技術スタディの段階で、日本導入はもちろんのこと、本国での発売もまだ決まっていない。

でもアウディが描く環境戦略では、ガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、レンジエクステンダー、電気自動車、燃料電池自動車という具合に、クルマの電気系の進化が描かれているので、そう遠くない時期に市販に移されるのは間違いないだろう。

【参考記事】 

■アウディ、ターンパイクで電気自動車「e-tron」の試乗会を実施[2011年11月22日]

■アウディ、R8 e-tronの開発工場を初公開[2011年5月19日]

■アウディ、電気自動車の試験プロジェクトをミュンヘンで開始[2010年9月14日]

■アウディ、フランクフルトモーターショーでEV車「アウディ e-tron」を発表[2009年9月16日]

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