VW 新型ゴルフトゥーランTDI 試乗│日常で使いやすく飽きにくい“ワゴン風”ミニバン

“背が低い”や“横開き式”といった日本では不人気のジャンルに属するゴルフトゥーラン

日本の3列シートミニバンは、後席側にスライドドアを備えた背の高い車種が主力だ。ホンダ ジェイドやトヨタ プリウスαなど、背の低い横開き式ドアのミニバンもあるが、サッパリ売れていない。

VW(フォルクスワーゲン)ゴルフトゥーランは、全高が1670mmだから、ミニバンの中では背が低い。後席側のドアも横開き式だ。外観は天井を少し高めたワゴンにも見える。

つまり日本では不人気なタイプのミニバンだが、運転感覚は馴染みやすい。全長は4535mmに収まり、全幅は1830mmで少しワイドだが、Lサイズミニバンとなる同社のシャランに比べればコンパクトだ。最小回転半径も5.5mで、視線の高さも適度だから、全幅が1800mmを超える割に運転しやすい。感覚的にいえば同社SUVのティグアンに近い。

注意したいのは3列目のシートで、2列目の足元空間を広く取ると、実質的に3列目には座れない。

そこで2列目のスライド位置を前方に寄せる。具体的には、身長170cmの大人6名が乗車した状態で、2列目の膝先空間は握りコブシ1つ分だ。1列目の下側に十分な空間があるため、そこに足が収まり、2列目を前寄りに調節してもさほど窮屈には感じない。このポジションであれば、3列目の膝先にも握りコブシ半分程度の余裕ができて、大人もどうにか座れる。

>>新型ゴルフトゥーランTDIの内外装を画像でチェック

エンジン特性はティグアンTDI4モーションと等しい

このゴルフトゥーランに、直列4気筒2リッターのTDI(クリーンディーゼルターボエンジン搭載車)が設定された。最高出力は150馬力(3500~4000回転)、最大トルクは34.7kg-m(1750~3000回転)となる。このデータは、2018年10月9日に試乗レポートをお届けしたVW ティグアンTDI4モーションと等しい。

駆動方式は、ティグアンはSUVだから4WDを搭載するが、ゴルフトゥーランは前輪駆動の2WDだ。トランスミッションは、2組のクラッチを使うATのDSGで、ゴルフトゥーランは6速になる。

そこで今回は、ゴルフトゥーランTDIハイラインを試乗した。

ガソリンエンジンに親しんだユーザーにも扱いやすいディーゼルエンジン

発進すると、ティグアンと同じく、1500回転以下の駆動力の落ち込みが少し気になった。高速道路の巡航時には、燃費を節約すべく、ATが7速にシフトされてエンジン回転が下がる。この状態でアクセルペダルを軽く踏み増した時、ザワザワしたノイズと相まって、エンジン回転が伸び悩んだ。

それでも1800回転付近に達すると、最大トルクの発生領域に入るから、速度上昇が活発になる。3000回転前後はアクセル操作に対する反応が機敏で、そのまま加速を続けると、ATは4500回転でシフトアップした。

動力性能の高まり方は、ディーゼルエンジンの中では大人しい。アクセルペダルを踏み増した次の瞬間に、高い駆動力が溢れ出るような猛々しさはない。

その代わり吹き上がりは軽快で、少なくとも4500回転までは確実に回る。状況に応じて5000回転まで引っ張れるから、運転感覚はガソリンエンジンに近い。ディーゼル特有のエンジンノイズは若干気になるが、回転上昇が鈍いディーゼル独特のクセは抑えた。ガソリンエンジンに親しんだユーザーにも扱いやすい。

気になる燃費性能は?ガソリンエンジンとどっちがお得??

JC08モード燃費は19.3km/Lだ。ティグアンに1.4リッターのガソリンターボを搭載したTSIは18.5km/Lだから、燃費数値の差は0.8km/Lにとどまる。

それでもガソリンの使用燃料はレギュラーではなくプレミアムだから、1リットル当たりの燃料代は、ディーゼルの軽油が25~30円安い。

試乗したゴルフトゥーランTDIハイラインの価格は407万9000円で、ガソリンターボのTSIハイラインに比べると20万円高い。エコカー減税は、クリーンディーゼルが免税、ゴルフトゥーランのガソリンターボは減税だから、購入時に収める税額で7万3100円の差が生じた。これを20万円の価格差から差し引いた約13万円が、実質負担額の違いだ。

そこで実用燃費がJC08モードの85%、軽油価格が1リットル当たり130円、プレミアムガソリンが160円として計算すると、ディーゼルエンジンの1km当たりの走行コストは7.9円、ガソリンエンジンは10.2円になる。1km当たり2.3円の差だから、5~6万kmを走れば、燃料代の節約によって13万円の実質負担額を取り戻せる。

外観同様、少し背の高いワゴンを運転している感覚

ゴルフトゥーランTDIの運転感覚と燃費性能は、ディーゼルの個性が希薄だが、価格差も少額だからバランスは取れているわけだ。

車両重量は1630kgだからガソリンターボに比べて70kg重いが、カーブを曲がったり車線変更をする時に、車両の動きが鈍い印象はない。ボディがワイドでミニバンとしては天井を低く抑えたから、外観と同様、少し背の高いワゴンを運転している感覚だ。

VWのクルマは、ドイツ車の中では操舵に対する反応を少し鈍くしている。この適度な緩さが、運転のしやすさとリラックス感覚に結び付き、VWの個性になった。従ってVWのクルマ造りは、重心が少し高いミニバンボディとも相性が良い。

峠道などでは、ゴルフやパサートに比べてボディが大きめに傾くが、姿勢の変化が穏やかに進むから運転する楽しさを盛り上げる。このあたりは、日産 セレナやトヨタ ヴォクシーのような空間効率を追求する国産ミニバンとは明らかに違うところだ。

さまざまな機能をバランス良く共存させる、VWの世界観を巧みに表現

このようにゴルフトゥーランは運転の楽しいミニバンで、1/2列目のシートはとても快適だが、3列目は狭い。しかし片道30~45分程度なら、大人の多人数乗車も可能だ。1年に数回、短距離を多人数で移動するために天井の高い本格ミニバンを購入しても、機能を十分に生かせないだろう。ゴルフトゥーランのようなワゴン風のミニバンを選び、運転を楽しむ方が合理的という判断も成り立つ。

VWの持ち味は、肩肘を張らずに走りや居住性の良さを味わえることだ。使ってみると上質なのに、フロントマスクなどのデザインは控え目で、商品的な特徴をひけらかさない。

ゴルフトゥーランの性格も、このVWのイメージに似ている。ミニバンなのに外観はワゴン風で、少し地味に見える。その代わり日常生活の中で使いやすく、飽きにくい。クリーンディーゼルターボの走りも、面白みには欠けるが、運転しやすく違和感を生じにくい。

ゴルフトゥーランTDIは、さまざまな機能をバランス良く共存させる、VWの世界観を巧みに表現していた。

[筆者:渡辺 陽一郎 Photo:和田 清志]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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