トヨタ ヤリスWRCにはヴィッツの血が流れていた | 両車を画像で徹底比較

  • 筆者: オートックワン 編集部

トヨタの最新レーシングカー、ベースはなんと「ヴィッツ」!?

今季、トヨタはWRC(世界ラリー選手権)に参戦している。

WRCとは、特別に封鎖された一般の公道を舞台に、一定の区間内を走るタイムを競う「ラリー」という自動車競技の世界選手権。世界中の自動車メーカーが、自社のラリーカー(ラリー用の競技用自動車)を用いて参戦し、「公道最速のドライバー・クルマ」を決める為にトップレベルの戦いが繰り広げられている。また、荒れた公道を全開で走ることから、マシンの耐久性やメカニックチームの整備力も欠かせない要素。クルマの速さだけでなく、チームの総合力が試される競技といえる。

厳しい戦いが繰り広げられているWRCに「世界のトヨタ」が挑むからには、イチから全て専用設計された特別仕様のラリーカーが用意されているのだろう、と思う読者もいらっしゃることだろうが、そうではない。

トヨタがWRCで用いているラリーカー「ヤリスWRC」のベースとなっているのは、私達がよく街で見かける同社の小型車「ヴィッツ」。日本でも販売されている普通の市販車をベースとしたクルマでWRCに参戦している。

名前に「ヤリス」「ヴィッツ」という違いがある理由は、欧州を始めとする海外でヴィッツはヤリスという名前で販売されているから。その関係で、ラリーカーの名前がヤリスWRCとなっている訳だ。

ちなみに、WRCはそもそも市販車をベースとしたラリーカー同士で争われる競技であるため、WRCに参戦している他のメーカーも、ラリーカーのベース車両は自社の市販車から選定している。

◆【画像】見れば見るほど瓜二つ!? ラリーカーとヴィッツを見比べる

ヤリスWRCには速く走るための工夫が盛りだくさん

ここで、ヤリスWRCとヴィッツの見た目の違いを見ていきたい。

外装の違い

まずひと目見て分かるポイントは、ボディ全体に取り付けられたエアロパーツの数々。これらのパーツは、走行中タイヤを地面に押し付ける力(ダウンフォース)を強めることで、駆動力を路面により強く伝えるために備わっている。

ヘッドライト横のネコの髭のようなエアロパーツや、大型のエアロウイングに目が行くが、他にも細やかなパーツが多数取り付けられているので、観察すればするほど様々な発見があるだろう。

また、ボンネット上面やタイヤの前後に穴が空いたスペースが設けられている。これらは、過酷な走行でエンジンやブレーキから発せられた熱を効率的に逃がす為に開けられたたもの。日常ではありえないスピードで走行するラリーカーは、メカニカル部分から発生する熱も尋常ではない。そのため、予め対策が打たれているのだ。

内装の違い

ヤリスWRCとヴィッツの内装を比較した時、真っ先に気づく違いとしては、後席の有無があるだろう。

ヤリスWRCの場合後席は取り外されており、代わりに「ロールケージ」と呼ばれるパイプが組まれている。これは、スポーツ走行によって車体に加わる衝撃から、クルマの骨格を守るために加えられた補強材。このような装備があることで、競技中に万が一事故が発生した場合でも、ドライバーの安全を守ることができる。

一方、市販車のヴィッツには3人掛けの後席が備わっており、荷室をフラットにすることで768L(2WD仕様)の空間が出現する。

ステアリングも、ヤリスWRCとヴィッツではやはり大きく異なっている。

ヤリスWRCは、ステアリングに至るまでグラム単位の軽量化が図られており、極めてシンプルなデザインとなっている。ヴィッツはクルマの運転に慣れていない人にも親しみやすい、丸みを帯びたデザインが特徴だ。また、手元でオーディオ操作ができるステアリングスイッチが選択できる点も見逃せない。

ヤリスWRCのスペックは ヴィッツと比べて「ケタ違い」

ベース車両こそ普通のヴィッツであるものの、ヤリスWRCの運動性能はモンスター級のハイスペックとなっている。

ヤリスWRCの最高出力は380馬力以上、最大トルクは425Nm以上を発揮する。これは日本で市販されているヴィッツ(1.0 Fの2WD仕様)の最高出力69馬力、最大トルク92Nmと比べると、4倍以上も強力だ。

全長はヤリスWRCが4,085mm、ヴィッツが3,945mmと、クルマの大きさは両車ほぼ変わらない。このことを考えると、ヤリスWRCが市販車サイズのボディにどれだけ高性能なパワートレインを搭載しているかが分かる。

「ヤリスWRC」「ヴィッツ」スペック比較

 

ヤリスWRC 2018年仕様トヨタ ヴィッツ1.0 F[2WD]

全長

4,085mm(空力パーツ込)

3,945mm

全幅

1,875mm

1,695mm

全高

調整可能

1,500mm

ホイールベース

2,511mm

2,510mm

車両重量

1,190kg(最低重量)

970kg

エンジン

直列4気筒直噴ターボエンジン

直列3気筒DOHC

排気量

1,600cc

996cc

最高出力

380馬力以上

69馬力

最大トルク

425Nm以上

92Nm

トランスミッション

油圧式6速シフト

CVT

駆動方式

4WD

2WD

現在トヨタはチーム間で争われるマニュファクチャラー選手権で首位

2018年シーズン、トヨタはWRCに3台のヤリスWRCで参戦している。

参戦ドライバーとコ・ドライバー(道案内役)は、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #7号車)、オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(#8号車)、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(#9号車)の3組。

直近に行われたWRC第11戦 ラリー・グレートブリテン では、ラトバラ選手が2位、ラッピ選手が3位に入賞するする力走を披露。年間を通じた成績がメーカー単位で表彰されるマニュファクチャラー選手権において、トヨタは首位となる活躍を見せている。

WRCファンだけでなく、ヴィッツオーナーの胸も熱くさせるヤリスWRCの活躍に、今後も注目だ。

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筆者オートックワン 編集部
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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