トヨタ プレミオ/アリオン 試乗レポート
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:原田淳
プレミオ&アリオンがマイナーチェンジ。 エクステリア変更など魅力アップ!
ミニバンの影響を最も大きく受けて売れ行きが伸び悩んでいるのがミドルクラスのファミリーセダン。メーカーによってはこのクラスの車種を自然消滅させる例もあり、全体としては苦戦が続いている。そんな中で検討を見せる数少ない車種がプレミオとアリオンの姉妹車だ。昨年1年間の販売台数を見ても、それぞれ3万数千台ずつを販売しており、安定した実績を残している。
そうした実績を背景に、今年1月に実施したマイナーチェンジでは外観デザインに手を加えるとともに、さまざまな面で魅力アップを図っており、一段と商品力を高めてきた。
3列シートのミニバンに一定の魅力があるのは確かだが、誰も彼もがミニバンを選ぶことはない。多人数乗車の機会が少ないユーザーなら、ミニバンではなくきっちりしたセダンのほうが適している。しかもプレミオ/アリオンにはリクライニングするリヤシートが備えられており、使い勝手の面ではステーションワゴン並みのセダンなのだ。
プレミオはエレガントで力強いスタイルに、アリオンはスポーティで洗練されたスタイルに。
外観デザインは前後のランプ回りを中心に手が加えられた。フロントはバンパー、ラジエターグリル、ヘッドランプなどが変更され、リヤもコンビネーションランプのデザインが変更されている。プレミオとアリオンではユーザー層がやや異なることもあって、プレミオではエレガントさと力強さを融合したスタイルに、またアリオンはスポーティで洗練されたスタイルに仕上げている。
このほかアルミホイールデザインを新しくするとともに、新しいボディカラーを設定したことなども注目点となる。
インテリア回りでは内装の配色を明るめの色調に変更したほか、装備の充実化が図られた。快適装備は車速感応式ドアロック、ガラスプリントアンテナ、花粉除去クリーンフィルター、天井照明付きバニティミラーなどが採用された。さらにオプションのDVDボイスナビを最新仕様のG-BOOK対応型にしたほか、グレードに応じてより充実した装備が用意されている。
1.8Lは余裕の走り。市街地から高速クルージングまで過不足なし。
1.8Lは余裕の走り。市街地から高速クルージングまで過不足なし。 プレミオ アリオン プレミオ/アリオンには1.5L、1.8L、2Lの3機種のエンジンが搭載されており、動力性能は従来と変わらないが、1.8Lと2Lは環境性能を向上させて低排出ガス車としての認定を受けた。特に1.8Lはすでに達成している燃費基準と合わせてグリーン税制の適用が受けられるようになっている。
3機種のうち主力となるのは1.8L。可変バルブタイミング機構のVVT-iを採用したハイメカツインカムで、97kW/170N・mの必要十分な動力性能を発揮する。車両重量が1200kg前後と比較的軽く作られているので、走りには余裕さえ感じられる。市街地から高速クルージングまで過不足ない走りといっていい。
2Lエンジンは直噴仕様でスーパーCVTと組み合わされ、滑らかで余裕十分の走りを示してくれる。アクセルを踏み込んでいったときの切れ目のない加速フィールは、CVTならではの気持ちよさだ。1.5Lエンジンは従来から経済性の高さが特筆される。
どちらもオススメは中間グレードの1.8Lモデルだ。
プレミオとアリオンにはそれぞれに対応するグレードが設定されているが、微妙な装備や仕様の違いがあって価格はアリオンのほうが心持ち安めの設定。グレードによって2万円から6万円の違いだが、装備を加味して考えたら、実質的には全く同じ価格であると考えていいだろう。
1.5Lエンジンの搭載車なら150万円台からあるが、さすがに装備が貧弱でお勧めしにくい。経済性に割り切った人向きのグレードといえる。お勧めグレードとなるのはプレミオなら1.8XのLパッケージ、アリオンならA18のGパッケージだ。これらのモデルを選べば、オプション装備はカーナビをどうするかで迷う程度ですむ。
残念なのはSRSサイドエアバッグがオプションでも設定されていないこと。プレミオ/アリオンでは限られたグレードだけのオプション設定になっているが、トヨタには全グレードへの標準装備化を望みたい。
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