スマート 新型フォーツー カブリオ エレクトリックドライブ(ED) 試乗レポート|“このサイズでこの走り!”というサプライズ

  • 筆者: 九島 辰也
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
スマート 新型フォーツー カブリオ エレクトリックドライブ(ED) 試乗レポート|“このサイズでこの走り!”というサプライズ
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新型スマートEVはドイツやフランス、そして北米で急速に拡がるEV市場がターゲット

日本の税制度もそうだが、電気自動車すなわちEVが優遇される国や都市は今も増えている。デンマーク・コペンハーゲンに行った時はその違いに驚いた。EVは朝の通勤ラッシュにバスレーンを走ることを許されたり、国の管理する充電設備は無料で使えたりする。まぁ、直近それがどう変化しているかわからないが、少なくとも数年前はそんなだった。おかげでコペンハーゲンではEVの日産リーフや三菱 i-MiEV(アイミーブ)ばかり目にした。

先日のダイムラーのプレゼンテーションでは、いまドイツやフランスでEVマーケットが急成長していると語られた。デンマークやオランダも進んではいるが、そもそもマーケットが小さいことから商売的にはそれほど注力していないようだ。それよりも、ドイツ、フランス、それとアメリカ、カナダの拡大するマーケットに期待を寄せている。

話を聞いたのは、スマート新型フォーツー エレクトリックドライブ(ED)の国際試乗会である。6月の終わりに、スイス・ジュネーブの街中にあるアートギャラリーの倉庫で、それは行われた。

主に都市部での利用を想定し、航続可能距離はおよそ200キロ以内

2017年7月からヨーロッパで発売すると告知されたスマートのEVモデルは、スマートフォーツークーペと同カブリオ、それと4ドアのスマートフォーフォー。どれにも小型化された最新のリチウムイオン電池が床下に積まれる。

ダイムラーが用意した試乗車は、スマート新型フォーツーカブリオ エレクトリックドライブだった。ビジュアル的にフォトジェニックということなのだろうか。なので、レポートはこのクルマを中心に進める。

最初に気になるフル充電での走行距離だが、カブリオは155km、クーペが160kmとなる。カブリオは車両重量が重くなる分距離は短くなるが、従来の145kmというアナウンスよりは長くなった。ただ、これを日本のJC08モードに置き換えると長くなる。従来型は181kmだったことから約10%の向上は予想できる。200km弱といったところか。もちろん、このクルマの場合コンセプトがシティコミューターなので、テスラのような「500km!」という数字は目指していない。

また次に気になる充電時間は、0から80%を一般家庭の電源で充電した場合、EU圏(英国を含む)は6時間、アメリカは13時間、一般的な公共の充電システムではEU圏で3時間30分、英国やアメリカでは2時間30分と説明がなされた。ちなみに、日本導入は未定だそうだから、日本の充電システムでそのくらいかという情報は今回はない。

いま日本はプラグインハイブリッド(PHEV)にグッと引き寄せられているが、都市部の移動には電気自動車が優れているという機運が高まれば、自ずとスマート・エレクトリックドライブのニーズも高まるであろう。

ちなみに、充電システムに関しては興味深い話があった。2018年春に導入する予定の“急速”充電システムは、80%までの充電なら45分以下で終わらせるという。プロダクトマネージャーのルーベン・ランプ氏のプレゼンテーションではそこをしきりに強調していたことから、自信の強さを感じさせられる。きっともうほとんど完成されているのであろう。

EVらしからぬ自然な発進、そしてEVらしい力強い加速感

スマート新型フォーツー カブリオ エレクトリックドライブ(ED)のスペックは、モーターの最高出力が60kW(82hp)、最大トルクは160Nmを発生させる。0−60km/h加速は4.9秒。最高速度は130km/hとなる。今回それをジュネーブ近郊のレマン湖を臨みながらドライブしたが、かなり気持ちいいものだった。カブリオのトップを開けてのオープンエアモータリングは格別である。ルーフは二段階で、後ろまで開けることもルーフ部分だけスライドして使うこともできる。まぁ、めちゃめちゃ開放感があるわけではないが、風を感じられるのはいい。

また、エレクトリックドライブに限らずスマートを運転するといつも思うのは、キャビンの広さ。全長2.7m以下のクルマを動かしているという感覚はなく、不思議なほどゆったりとしていられる。この辺はまさにダイムラーマジック。小さくてもプレミアム感は高い。

エレクトリックドライブとしての走りの特徴は、アクセルが敏感でないこと。それなりに踏みしろがあることで、ちょっと踏んでいきなり大トルクが立ち上がることはない。ガソリンエンジンから乗り換えてもスッと違和感なく入れる仕上がりだ。がしかし、走り出せばグイグイとモーターが加速する。中間加速以上はEVの恩恵をそのまま得ている。あとは“このサイズでこの走り!”という驚きを抱き続ける。

といったスマート新型フォーツー カブリオ エレクトリックドライブとの対面であったが、ちょっと寂しいのはまだ日本導入が決定されていないこと。我々消費者としては選択肢が増えるのは嬉しいので、ぜひこのクルマもそこに加えてもらいたいと思う次第である。

[Text:九島辰也/Photo:メルセデス・ベンツ日本]

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九島 辰也
筆者九島 辰也

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX」副編集長、「アメリカンSUV」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON」副編集長なども経験。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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