「エルグランド」に次期モデルはある!? Lクラス高級ミニバン市場を生みだしたパイオニアの次なる任務は中国市場の開拓か

画像ギャラリーはこちら

つい10年前くらいまでは各社からあれだけたくさんラインナップされていたミニバンだが、近年はその数を急激に減らしている。1990年代から続く老舗ブランドの「トヨタ エスティマ」は2019年末にモデル消滅。「ホンダ オデッセイ」も2021年末に惜しまれつつ廃止となる見込みだ。そんな中で今も頑張っているのが「日産 エルグランド」だ。こちらも初代は1997年のデビューで、Lクラスの高級ミニバン市場を開拓した立役者だったが、近年は後発の「トヨタ アルファード」に完敗の状態にある。果たして次期モデルはあるのだろうか。日産関係者などの情報を探ってみた。

目次[開く][閉じる]
  1. トヨタも太刀打ちできず! 初代エルグランドの大ヒットは偉大なる功績だった!
  2. トヨタがホンキの対抗車「アルファード」を投入! 2代目エルグランド以降は後追いを続けることに
  3. 現行型は2010年に登場、デビュー11年を迎えたベテランモデルもいずれ自然消滅となるのか
  4. 新型エルグランドが動き出すのは2023年以降! デリカD:5との兄弟車が水面下で企画されている!?

トヨタも太刀打ちできず! 初代エルグランドの大ヒットは偉大なる功績だった!

日産 エルグランドは、同社の1BOX上級ワゴン車「キャラバン コーチ」と兄弟車「ホーミー コーチ」の市場を受け継ぎ、新たにミニバンスタイルとして1997年に誕生した高級モデルだ。

同時期にはファミリーミニバンの草分けである「バネットセレナ」(のちの「セレナ」)の兄貴分である3代目「ラルゴ」(1993年~1999年)もやはり高級モデルとして発展していたが、こちらの市場も併せて引き継ぐこととなった。

当時のミニバンや1BOX系ワゴンは商用車との兼用モデルも多かったが、エルグランドは初代モデルから一貫して乗用車専用とし、他のモデルと大きく差別化。V6エンジンを搭載し、当時のSUV「テラノ」と同等の四輪駆動システムも設定するなど、走行性能の高さも自慢だった。

従来にないスタイルが支持され、初代エルグランドは大ヒット。ライバルのトヨタ グランビア/グランドハイエース(欧州向けの商用バンをベースに乗用車化したモデルだった)も最後まで太刀打ちできないままだったのは、当時のトヨタ対日産の構図の中でもなかなか珍しい例であった。

トヨタがホンキの対抗車「アルファード」を投入! 2代目エルグランド以降は後追いを続けることに

こうした歴史的経緯もあり、トヨタは2002年、完全なる後追いの対抗車となる初代「アルファード」を投入するに至った。しかもトヨタは、同時期にフルモデルチェンジした2代目エルグランド(E51型)の発表翌日を狙い意識的にデビューさせたのだから、よほどの自信があったに違いない。

事実、トヨタの緻密なマーケティングが功を奏し、以降の高級ミニバン市場の勢力図は完全に逆転していったのはご存じの通りだ。

日産はせっかく初代エルグランドで大きな市場を開拓したにもかかわらず、結果としてごっそりとユーザーを持っていかれてしまったのは、実に残念な限りである。

現行型は2010年に登場、デビュー11年を迎えたベテランモデルもいずれ自然消滅となるのか

現行型の3代目エルグランド(E52型)は2010年に登場。初代、2代目と続いた後輪駆動(FR)ベースから前輪駆動(FF)ベースに移行し、SUV「ムラーノ」や上級セダン「ティアナ」などと共通のプラットフォームに進化した。低床化され、全高もダウンしたことで、走行性能をさらに向上させたのが自慢だった。

しかし同様の低床レイアウトの「エスティマ」を別に持つトヨタは、2008年登場の2代目、そして2015年登場の3代目共にあえて低床化せず、迫力のスタイルを発展させることで、むしろますますユーザーからの支持を高めていったのは皮肉なことだった。エルグランド風のヘッドライトデザインを持つ兄弟車「ヴェルファイア」まで用意する念の入れようは、あまりにもエグかった…。

トヨタはさらに、アルファードを中国をはじめとするアジア市場にも投入。新たなスタイルの高級車としてそのマーケットを益々拡大中である。

新型エルグランドが動き出すのは2023年以降! デリカD:5との兄弟車が水面下で企画されている!?

日産は2010年に登場させたE52型エルグランドを、デビュー11年が経過した今もマイナーチェンジを重ねながら継続販売中。デザインや先進運転支援機能などは年を追うごとにアップデートされているものの、昨今需要が拡大している日産自慢のハイブリッドシステム“e-POWER”が追加されるようなこともなく、このままでは自然消滅していきそうな勢いだ。

もはや国内市場ではとうに勝負がついてしまった感のあるエルグランドだが、アルファードの例にあるように、中国市場を基盤にニューモデルを投入する余地は残されている。いまだ販売台数を拡大し続ける巨大な中国市場だが、日産も国産車ブランドの中ではかなり強いシェアの基盤を持っている。

日本市場専用モデルだったがゆえに、長くモデルチェンジできずにいた現行エルグランドも、中国に活路を見出せば次期モデルも期待出来る。

アライアンスを組む「三菱 デリカD:5」との兄弟関係でニューモデルを開発か

アライアンスを組む三菱では、Lクラスミニバン「デリカD:5」のフルモデルチェンジを検討しているとの情報がある。しかし三菱の国内市場規模だけでは採算性も厳しい。同社が得意とする東南アジア市場まで視野が広がっているはずだ。そして開発プランの陰には、間違いなく日産の兄弟車の存在が隠されている。

2021年11月時点では、両社の中期経営計画の中にLクラスミニバンの名はまだ記されていない。次の発表対象となる2023年以降にリスト入りしている可能性は大いに残されている。

次期エルグランドとデリカD:5は、e-POWERやPHEV、そしてEV化をも想定した電動化専用モデルとなることだろう。

初代アルファードとの対決から実に20年越しとなる日産のリベンジ。大いに期待したい!

[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:島村 栄二・MOTA編集部・NISSAN・MITSUBISHI]

日産/エルグランド
日産 エルグランドカタログを見る
新車価格:
408.2万円837.9万円
中古価格:
28.8万円578.1万円

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

検索ワード

トクダ トオル(MOTA)
筆者トクダ トオル(MOTA)

昭和44年生まれ。週末は愛車に乗って(時に鉄道に乗って)家族とともにドライブやキャンプを楽しむ1児のパパ。自動車メディアに携わるようになってから15年余りが経過。乗り換えに悩むユーザーの目線に立った平易なコンテンツ作りを常に意識し続けている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

日産 エルグランドの最新自動車ニュース/記事

日産のカタログ情報 日産 エルグランドのカタログ情報 日産の中古車検索 日産 エルグランドの中古車検索 日産の記事一覧 日産 エルグランドの記事一覧 日産のニュース一覧 日産 エルグランドのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる