ルノー 新型 カングー ゼン 6MT[1.2ターボ] 試乗レポート/藤島知子(4/4)
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:茂呂幸正・オートックワン編集部(カングージャンボリー会場)
クルマと対話しながら走れるカングーの持ち味は健在
燃費向上というと、走る楽しさが犠牲になっていないか気になっていたが、クルマと対話しながら走れる操縦性の良さもカングーの持ち味でもある。そのあたりでは、シフトはショートストロークで操作ができる心地よさが得られており、アクセルやブレーキ、クラッチペダルは少ない運動量で気軽に扱えるものになっている。低回転でトルクを発生するメリットはMTの扱い易さにも生きていて、「久しぶりのMT車だけど運転できるかな?」と不安をもつドライバーでも、坂道発進で右足がブレーキペダルからアクセルペダルへと踏み換えるわずかな瞬間に起こる坂道逆行をサポートする『ヒルスタートアシスト』が付いているので安心感も高い。
さらに、今回新たに滑りやすい路面でスリップし始めたタイヤにトルクを与えることで、グリップするように促す『エクステンデッドグリップ』を装備。これはプジョーが3008や欧州仕様の2008にも採用している技術と同様のもので、雪や泥などの悪路を走れる心強い機能が追加されたことは嬉しい。4駆モデルの設定がないカングーだけに、普段は前輪駆動で低燃費かつ軽快に走れる車でありながら、いざという時には頼りになる機能なので、降雪地帯のユーザーには歓迎されることだろう。
カングーの普遍的価値はそのままに時代に即した仕様へと進化
今回の試乗では、街乗りから高速道路を使い、途中で走りの撮影や置き撮りをする流れだったが、ルノー 新型 カングー ゼン 6MTの実質的な燃費は12km/L程度で走ることができた。荷物の積み方や走り方にもよるが、心掛け次第ではもう少し燃費を伸ばすこともできると思う。
また、日常ユースからロングドライブまでの道のりを多彩に楽しみたいクルマであるだけに、座り心地が良く疲れにくいと定評があるファブリックシートや、バスのハンドルを握って走っているような見晴らしのいい運転席のドライブ感覚が何だか楽しい。
時代に合わせてパワートレーンや装備を刷新しながらも、カングーらしさは健在。普遍的な価値をいかに受け継いでいくかが、今後の進化におけるキーワードとなっていきそうだ。
[レポート:藤島知子]
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