日産 キャシュカイ 海外試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:日産自動車株式会社
日産 キャシュカイ 海外試乗レポート
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想像していたよりも遥かに優しい“セダンライク”な乗り味

走行

スペインは陽光まばゆいバロセロナで開催された今回の国際試乗会は、本来はヨーロッパのメディア向けのイベント。そんなところに、日本からの参加者が「細々と潜り込む」というカタチで実現となったため、残念ながらテスト車両に日本導入が予想されるCVT仕様の用意は見られなかった。2リッターのガソリンモデルをFWDシャシーとの組み合わせ。同じくディーゼルモデルを4WDシャシーとの組み合わせで乗った事をまずはお断りしておきたい。

ガチッと剛性感の高いドアハンドルを引いてドライバーズシートへと乗り込むと、アイポイントがちょっと高めで見晴らし感はなかなか良好。センターパネル下部に設けられた空調コントロールとステアリング・ホイール上に点在するスイッチ類の使い勝手は今ひとつだが、それ以外の操作性/視認性はまずまず優秀。初めて乗り込んでも迷うことなく取り扱いが出来る。

およそ1.3トンという重量に対し、140psガソリンエンジン+6速MTというパワーパックを搭載するFWD仕様の加速感はなかなか軽快。実際、0→100km/h加速タイムはほぼ10秒でこなすというから、日常シーンで交通の流れをリードするのも容易い作業。シフトフィールがなかなか良く、静粛性も高いという感覚的なポイントも、もちろんそんな好印象を生み出す一因だ。

これに対し、230kg近く重い重量の持ち主であるディーゼルの4WD仕様は、さすがに軽快感では差を付けられる。320Nmという最大トルク値は196Nmのガソリンエンジンよりも5割以上も大きく、それゆえ加速力そのものには不満なし。が、アクセル操作に対するレスポンスはやや鈍いし、何よりエンジンの回転フィールそのものが重々しい。アイドリング時のノイズの大きさや低回転域からアクセルペダルを深く踏み込んだ際のノック音も、正直「日本市場にこのまま導入されたらばかなりの文句が出そうだナ」という水準にあると言わざるを得ない。

いずれのモデルでもフットワークのテイストは、路面凹凸を拾った際のショックが想像していたよりも遥かに優しい印象だった。ディーゼルの試乗車は17インチのシューズを履いていたが、16インチを履くガソリンモデルに対して乗り心地面でのマイナスは特には感じなかった。着座位置の高さもあってロール感は多少大きいが、あくまでも“セダンライク”なこの乗り味ならば毎日の通勤の足としても不満を抱く人は居ないはず。一方で、おおきなうねり路面を高速で通過したりすると、揺れのダンピング(収まり)はやや甘め。今回はひとり乗り状態だったが「フル乗車+フル積載」といったシーンではやや心配だ。

ブラシレス・モーター採用の最新のEPS(電動パワーステアリング)は剛性感や正確性がなかなか良く、マーチやキューブがかつて搭載した初期型EPSに比べるとフィーリングが格段にアップ。ただし、切り始めからわずかに動いた時点で操舵力が急激に増す感触は個人的にはやや違和感を抱く事に。どうやら、「しっかり感を増して欲しい」というヨーロッパ市場からの声に応えたチューニングであるようなのだが。

そもそもヨーロッパの市場に照準を合わせて企画・開発されてきたこのモデル。それもあり、率直なところ日本で爆発的なセールスを記録、とはなりそうにない。一方で同時にそれは、そうした“ストーリー性と希少性”にも支えられ、長期に渡って着実な売行きを示す事になりそうとも思えるもの。そんなキャシュカイは前述のように『デュアリス』と名前を変え、2007年夏に日本上陸だ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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