トヨタ クラウン、発案者の願い通り登場から60年過ぎても王座に!

【1955年】トヨペット クラウン|各社が愛称を設定するきっかけになったクルマ

トヨペットクラウン(左ハンドル)

クラウンが1500ccエンジンを搭載した乗用車として、トヨタの車両計画に初めて登場するのは1949年夏ごろのこと。

以後、トヨタはドッジラインによる深刻な不況、人員整理、朝鮮特需などの荒波を経て、51年にすべての部品を新規設計する本格的な乗用車の具体的な検討を行い、52年1月から開発がスタートした。1.5リッター OHVのR型エンジンは先行して開発が進められ、52年3月に設計が完了している。

当時、日産やいすゞ、新三菱重工、日野など国産各社は欧米メーカーとの提携を行い、技術の吸収を図ろうとしていた。トヨタはフォードとの提携も考えたが、あえて厳しい純国産・自主開発の道を選び、豊田佐吉以来のスピリットを体現して見せた。

>>トヨペット クラウンを写真で見る

トヨペットクラウンとトヨペットマスターを並行開発

トヨペットクラウン

52年春には、1500cc/車両重量1200kg/最高時速100km以上、小型車規格いっぱいのボディサイズを持った明るく軽快なアメリカンスタイル、乗り心地と運動性能に優れ、堅ろうで悪路に耐え、タクシー用として格安なクルマという設計方針が決まった。

乗り心地を重視して、前輪はウィッシュボーン式の独立懸架を採用したため、すでに実績があるリジッドの足まわりを持った兄弟車(後のトヨペットマスター)を並行開発した。クラウンは従来のトヨペットスーパー(SF型)に代わる本格的な乗用車である。

車名の「クラウン」は喜一郎氏の発案だった?

トヨペットクラウン(RS21)

開発段階では新型車は「RS」と呼ばれ、その計画は「RS計画」だった。エンブレムの制作もあるので、車名を選ぶことになり、小型車“トヨペット”の愛称を受け継いだ「トヨペット クラウン」とした。

『創造限りなく トヨタ自動車50年史』では、『首脳陣は、つぎはいよいよ自家用乗用車の王座を確保するとの願いをこめて、開発中の新型乗用車のネーミングを「クラウン」(王冠)と決定した』と記載している。

さらに、『トヨタ自動車75年史』では『豊田英二最高顧問の回想によると、車名の「クラウン」は、新車開発の指示と同時に、喜一郎の発案で決まっていたとのことである』と説明している。

豊田喜一郎氏は50年6月に労働争議の責任をとって社長を退任し、52年3月に急逝。新型乗用車の晴れの舞台を見ることはなかった。

こうして1955年元旦に、挙母(ころも)工場からの初出荷を祝う完成記念式典が開催され、クラウン、マスターの各1号車が販売会社に渡された。格式を重んじたイベントで、参加者はモーニングの着用が義務づけられるほどだったという。

日本の名車となったクラウン、2015年で発売から60周年を迎えた

トヨペットクラウン(RS21)

クラウンは「王冠」という意味の英語だが、王冠は比喩的に「王座」や「帝王」の地位を意味している。発売後、日本の名車としての地位と誇りを持ち続け、国産車をつねにリードし続ける役割を果たす “王座の象徴”となった。その伝統は60年以上も続いている。

戦後からの脱却という意味で画期的なクルマとしてクラウンは評価されているが、じつは、個別の愛称を設定するという流れを決定づけたのは、間違いなくこのクルマの功績であるといえよう。

[著者:吉川雅幸]

「車名博物館」には目からウロコの車名の由来が沢山!

車名博物館 PART1

タイトル:車名博物館 PART1

著者:吉川雅幸

発行:八重洲出版

定価:1,500円+税

体裁:四六判・164ページ(カラー16ページ)

発売:2016年11月17日

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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