ホンダ 新型シビック タイプR 燃費レポート|ホンダのスーパースポーツモデルの燃費を徹底検証!(5/6)

  • 筆者: 永田 恵一
  • カメラマン:和田 清志・永田 恵一
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総合評価・新型シビック タイプRとは

ホンダ 新型シビックタイプR 平均実燃費12.5km/L

ホンダ シビックタイプR実燃費レポート|総合平均
車種名パワートレイン実燃費

ホンダ 新型シビックタイプR

2WD/2.0Lガソリン

12.5km/L

ホンダ 新型シビックハッチバック

2WD/1.5Lガソリン

14.9km/L

新型シビック タイプRは、サーキットでの速さや楽しさだけでなく、何度も書いた通り普通に乗っていても良さや楽しさ、FF世界最速の雰囲気を存分に味わえる車に仕上がっていた。

これだけ素晴らしい車であれば欲しい人にはすぐに購入することを勧めたい。ただ1つだけ注文を付けるなら、新型シビック タイプRには自立自動ブレーキに代表される安全装備、運転支援システムが一切付かないことが残念である。

この種のスーパースポーツモデルでも、VW ゴルフRやメルセデス・ベンツA45 AMG 4MATICには自立自動ブレーキはもちろん、先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール(ACC)やレーンキープシステム、斜め後方を監視し進路変更の際などの事故防止に大きく貢献するブラインドスポットモニタリングは標準装備され、スバルWRX STIにもブラインドスポットモニタリングの設定がある。

さらに、新型シビック タイプRの本国となるイギリス仕様のカタログをインターネットで閲覧してみると、性能は不明ながら自立自動ブレーキ、ACC、レーキープシステム、ブラインドスポットモニタリングが標準装備となっており、日本向けもこの仕様にして欲しいところだ。筆者としては、そのタイミングが新型シビック タイプRの買い時ではないかと思う。

また「先代モデルからシビック タイプRは400万円を超え、買える人が限られる遠い世界の車になってしまった」という意見もよく聞かれる。筆者も新型シビック タイプRの内容やライバル車の価格を考えれば約450万円も許容できる値付けだとは思いながらも、その意見ももっともだと感じる。

その点に関しては、新型シビック タイプRの素晴らしい仕上がりのほかにも、国産コンパクトスポーツモデルでは競合メーカーにおいて、トヨタがヴィッツGR、日産がマーチとノートのニスモ、スズキがスイフトスポーツ、マツダもモータースポーツベース車両という形の安価なデミオ15MBをラインナップし頑張っているのを考えると、ホンダにはフィットに現在あるRSだけでなく、新型シビック タイプRの弟分的なフィット タイプRも250万円までの価格で加えて欲しいところだ。もし実現すればそういったユーザー層の受け皿になるだけになく、ホンダのスポーツイメージの向上という意味でも有意義なのではないかと、新型シビック タイプRに乗って強く思った。

ホンダ 新型シビック タイプRとは

2017年7月に発表、9月末に発売された新型シビックの概要は(「シビックハッチバック燃費レポート」)を参照していただき、ここではシビック タイプRの概要を記する。

「タイプR」という名前は、ホンダの車種の頂点となるスーパースポーツモデルに名付けられるグレード名で、簡単に言えば「ノーマル状態のままでサーキットをガンガン走れる性能、ラップタイムに代表される速さ、運転する楽しさを備える」というコンセプトを持つ。

「タイプR」は1992年に初代NSXの追加モデルで初登場し、以来、インテグラやシビックにも設定された。特に車への情熱を持つ人が多くいた90年代に現実的な価格で販売された、インテグラ(DC2型)とシビック(EK9型)のタイプRが絶大な人気を集めた。

そして、2015年に750台限定で日本でも販売された、欧州で販売されるイギリス生産のシビックをベースにした先代シビック タイプRに続き、今回もイギリス生産なのは変わらないもののカタログモデルになった新型シビック タイプRのコンセプトも、先代シビック タイプRと同じ「FF世界最速」である。

どういうことかというと、ドイツにニュルブルクリンク北コースというサーキットがある。ニュルブルクリンク北コースは1周20kmを超える距離があり、約300mの高低差を持つだけでなく、車がジャンプする地点が何か所かあるほど路面が荒れているという世界一の難コースである。

車にも人にも大変厳しいニュルブルクリンク北コースであるが、それだけにニュルブルクリンク北コースを走れば得られるものも多く、日本車では日産 スカイラインGT-RやGT-R、ホンダ NSXなどがテストに使い、ニュルブルクリンク北コースのラップタイムがその車の速さや進化の目安となったことで、日本でも有名になった。

ニュルブルクリンク北コースのラップタイムはスーパーカーを代表とするハイエンドのスポーツモデルで公表されることが多かったが、「FF世界最速」争いの火付け役となったのはルノー メガーヌRSだった。ルノー メガーヌRS以来、300馬力前後の2リッター級ターボエンジンを搭載するFFスポーツモデルは、特にヨーロッパには数多くあることもあり、セアトやVWなども続き、ホンダも先代シビック タイプRでこの争いに参入した。

先代シビック タイプRは2015年の登場当時、ニュルブルクリンク北コースで7分50秒63というタイムを記録し、FF世界最速の座に立った。

※7分50秒63というタイムは2002年に3.2リッターNAエンジンを搭載する先代NSXタイプRが記録した7分56秒733を上回るもので、これだけで先代シビック タイプRのとてつもない速さが分かるだろう。

しかし、2016年にVWがゴルフGTIクラブスポーツSで7分47秒19を記録し、先代シビック タイプRはFF世界最速の座を失った。そんな事情もあり、新型シビック タイプRは、FF世界最速奪還という重大な命題を持ちながら開発された。

ホンダが新型シビック タイプRで行った「FF世界最速」のための手法を挙げてみよう。

まず車の土台となるボディは、これまでの歴代シビックタイプRでは、ベースとなるシビックにタイプR化のためにかなりの補強を加えるということが多かったことに対し、新型シビック タイプRでは、ベースとなるシビックにもタイプR化を想定した強固なボディを使っているため、タイプR化のためのボディ補強というのはそれほど行われていない。

また、ボディといえば全幅1800mmのベースとなるシビックに対し、75mmワイド化された1875mmという全幅に加え、リアスポイラーを代表に空気抵抗の低減や走行安定性の向上に大きな効果を持つ各種空力デバイスも装備される。

サスペンションは300馬力を超える大パワーと20インチというタイヤの強力なグリップ力を受け止めるべく強化が施され、ショックアブソーバーは幅広い可変幅を持つ「アダプティブ・ダンパー・システム」と呼ばれるタイプを使う。

エンジンは、先代シビック タイプRと同じ4気筒の2リッターVTECターボを搭載。だが、排気系の見直しなどにより、先代シビック タイプRの最高出力310馬力&最大トルク40.8kgmから最大トルクは変わらないものの最高出力は10馬力増しの320馬力に向上。なおこのエンジンはアメリカ製で、イギリスで車体に搭載される。

トランスミッションも先代シビック タイプRと同じ6速MTを使うが、ファイナルギア(最終減速比)は7%ローギヤード化され、加速性能を向上している。

トランスミッションといえば、新型シビック タイプRにはレブマッチシステムと呼ばれる、日産 フェアレディZのMTに付くものと同じような、シフトダウンの際のブリッピング(回転を合わせるための空吹かし)を行う機構も装備される。

このような改良・チューニングにより、新型シビック タイプRはニュルブルクリンク北コースで7分43秒80を記録し、FF世界最速の座を奪還。7分43秒80というタイムは現行日産 GT-Rの一番初期のモデルの7分38秒54の約5秒落ちというもので、FF世界最速レベルのニュルブルクリンク北コースのラップタイムが、スーパーカーの領域に入ってきたという技術の進歩の速さを痛感する。

スポーツモデルにとっては操作性という意味で性能の1つと言えるインテリアは、かつてのタイプRのモモ製ステアリング、レカロ製シート、チタン製シフトノブという3点セットは装備されていないが、シートなど赤を随所に使いステアリングはイタリア製スムースレザーを使うなど、ドライバーの気分を高揚させる雰囲気作りが施されている。

ホンダ 新型シビックタイプRの主要スペック

ホンダ シビックタイプRの主要スペック
車種名ホンダ シビック

グレード

TYPE R

駆動方式

FF

トランスミッション

6MT

価格(税込)

4,500,360円

JC08モード燃費

12.8km/L

全長

4,560mm

全幅(車幅)

1,875mm

全高(車高)

1,435mm

ホイールベース

2,700mm

乗車定員

4人

車両重量(車重)

1,390kg

エンジン

水冷直列4気筒横置

排気量

1,995cc

エンジン最高出力

235kW(320PS)/6,500rpm

エンジン最大トルク

400N・m(40.8kgf・m)/2,500~4,500rpm

燃料

無鉛プレミアムガソリン

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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