学生カーソムリエ達の新鮮な視点に“本気”で感動!ジュネーブショー2014 現地レポート/今井優杏(2/2)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:茂呂幸正
学生カーソムリエ達の視点は、実に新鮮で鋭い!
特別招待を頂いたフォルクスワーゲングループの前夜祭では、会場にみっちりと集結した世界中の報道関係者に気圧される場面も見受けられたが、ショーに先駆けて招待客にのみ公開されるニューモデルの数々を観ているうちにどんどん彼らの瞳が輝き始めたのだ。
それは翌日、待ちに待ったプレスデーの幕開けでしっかりと開花する。
彼らにとって産まれて初めてのプレスカンファレンスは前夜祭同様、ゴルフGTIをベースにしたPHV(プラグインハイブリッド)・ゴルフGTEや、同じくPHVを搭載するコンパクトSUVのコンセプトモデル・T-ROC(テイー・ロック)を公開したフォルクスワーゲンとなったのだが、気圧されていた前夜祭とは一転、メモを取ったりカメラを撮ったりと、そのジャーナリストぶりは実に堂々たるものだった。
日本のモーターショーではほんの数台しか展示されないプレミアムブランド、それはたとえばマセラティや、日本では展示さえもされないブガッティやマクラーレンにガッツリ食いついて貪欲に写真を撮り、報道関係者向けに配布されるプレスキットもしっかりと受け取り、プレスカンファレンスが始まる時間を綿密にチェックする。
そんな姿を見ると“姐さん風”吹かせたくなるのも当然のことで、訪ねた先々で技術者や広報の方、またはジャーナリストとのインタビューの場を力の限りセッティングしたのだが、学生ならではの新鮮な視点からの質問の数々は私から見ても鮮やかな新鮮さを持つ鋭さを備えていて、本気で感動したものだった。
熱意はおそらくインタビューを受けて下さったメーカー・インポーター、または技術者・デザイナー氏、ジャーナリスト諸兄からしても同様に感じていただけたのだろう。
相当な熱意でお答えいただけたことは、きっと彼らの心に強い印象を残すものだったと、突撃インタビューに答えて下さった関係者諸兄にはこの場をお借りして御礼を申し上げたい。
ジュネーブモーターショーにおいても、エコ=オシャレという図式が成立する
さて、学生それぞれのレポートはすでに公開されているのでそちらも楽しんでいただきつつ、今年のジュネーブショーに関して個人的な感想を少し述べたいと思う。
冒頭に述べた通り、ジュネーブショーと言えばスーパーカーやスポーツカーなど、ラグジュアリーだったり、また常軌を逸して高額だったりするようなクルマが多く発表されるのが常だ。
今年も実に60を越えるコンセプトカーを含むニューモデルが発表されたが、その中にはかのブガッティ ヴェイロン 16.4グランスポーツ VITESSEの「レンブラント・エディション」やマクラーレン650Sなど、錚々たるモデルが発表され、“らしさ”溢れるモーターショーであった。
と同時に、VWは新型ポロや今後大きなキーを握るPHV車の数々、メルセデス・ベンツは新型CクラスやこれまたEV技術、シトロエンは軽量コンパクトクロスオーバー・カクタス、ルノーはトゥインゴ、次期デミオのデザインスタディと噂される『跳』、さらに日本未発売ではあるがトヨタの日本未導入マイクロカー・アイゴのフルモデルチェンジなど、現実的な価格帯であったりコンパクトカーだったり低環境負荷だったりする、いわゆる“市民カー”のアツさ(力の入れようという意味の熱さも、その層の厚さも両方を意味する)が印象に残った。
単に「世界的に注目度の高いモーターショーだから有力な主要モデルの発表の場として選んだ」という以上に、世界的な環境負荷に関する意識の高まりからくるダウンサイジング志向の風が、今や世界最大のエコカーショーとも言えるIAAフランクフルトモーターショーや、環境技術の宝庫・東京モーターショーだけでなく、ジュネーブにも吹いて来たと考えていいと思う。
言い換えれば、この感度の高い顧客の集まるジュネーブショーでそれらのモデルがフィーチャーされるということは、ダウンサイジングカーや低環境負荷カーを選ぶことが特権階級からしても最先端のトレンドになり得ている、つまりエコ=オシャレという図式が良しとされているということでもあるのではないかと、それぞれのセグメントを越えた質感の高さをみて感じた。
今やコンパクトカー=廉価車ではなく、小ささはひとつの価値として評価され得る時代になったのだということを強く意識する結果となった。
それから、アップルの発表したCarplay(カープレイ)はじめ、本格的にクルマにコンピューターがシンクするという意味で、このジュネーブショーはマルチメディア化宣言元年となるだろう。
これを皮切りとした壮大な拡大にも今後注目していきたい。
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