いっそ「e-POWER」と名乗らせてみては!? 三菱 新型アウトランダーPHEV 2019年モデル試乗

  • 筆者: 国沢 光宏
  • カメラマン:原田淳・三菱自動車工業株式会社

日産のe-POWERよりアウトランダーPHEVの方がよほど”e-POWER”らしい

少し大ゲサながら、日本車の歴史で三菱 アウトランダーPHEVほど過小評価されているモデルは思いつかない。

例えばエンジンで発電機を回しモーター駆動するというパワーユニットについて言えば、大人気となっている日産 ノートやセレナのe-POWERと同じシステムである。

いや、プラグインハイブリッドのアウトランダーPHEVの方が、e-POWERに加え、巡航用にエンジン直結モードを持つためワンランク上だ。

なのに皆さんe-POWERの方が新しいと認識してます。一般紙の記者さんなどにアウトランダーPHEVの方が先に出ている旨を説明すると、皆さん「そうなんですか!」と驚く。

>>これまで以上にEVらしくなった!三菱 アウトランダーPHEVの画像を見る

アウトランダーPHEVこそが「発電機を搭載した電気自動車」だ

私は中期型のアウトランダーPHEV(2015年7月マイナーチェンジモデル)に乗っているけれど、このクルマこそ「発電機を搭載した電気自動車」だと思う。e-POWERって、単なるシリーズハイブリッドですから。

SUVとしての経済性だって、アウトランダーPHEVは世界TOPクラス。なにしろ電気自動車モードだと50km走るのに必要な電気代は、安価な夜間電力なら100円!

電気無くなったら普通のガソリン車より燃費の良いハイブリッド車に切り替わり、その時の燃費は15km/L程度とトヨタ ハリアーのハイブリッドと良い勝負なのだ。

なにより電気自動車モードの時の走行フィールが素晴らしい! モーター駆動のため静かだし、アクセル開けた時のレスポンスときたらどんなSUVより優れている。それでいて価格はハリアーハイブリッドと同等なのだ。

なぜ売れないかといえば、三菱自動車のイメージがイマイチというだけだと思う。いっそこちらもイメージ一新でe-POWERと名乗ってみては!?

アウトランダーPHEVがビッグマイナーチェンジ

前置きが長くなった。2018年8月に発売を予定するアウトランダーPHEVの大きなマイナーチェンジを紹介したい。

三菱自動車によれば「駆動系の90%を見直しました」。

エンジンは2リッターから2.4リッターになり、後輪モーターの出力を上げている。搭載される電池容量だって15%増し。外観も変えればフルモデルチェンジになったほどだ。

このあたりが三菱自動車の厳しい台所事情なんだろう。それでも可能な限り改良していくという姿勢は素晴らしいと思う。早速プロトタイプモデルの試乗と行きましょう。

EV走行できる速度域が拡大

コクピットに座りプッシュボタンでシステム起動。Dレンジをセレクトしてアクセル踏むと、走行用電池残量ある限り完全な電気自動車と同じ走行フィールである。

今回のマイナーチェンジにより、時速135kmまではエンジンがかかることなく、電気だけで走れるようになった。今までは時速100km以上になると電池残量あってもエンジン掛かっていたので、それだけ電気自動車としての性能を高めたのだろう。マイナーチェンジ後のモデルなら、登り坂を100km/hで走ったってエンジン掛からないと思う。

ハイブリッドモードでも静かで滑らかに

電池残量無くなると自動的にハイブリッドモードに切り替わりエンジン始動となる。この時のエンジン音、私の中期型でも十分静かで解りにくいものの、2.4リッターになって一段と静か&滑らかになった。100km/h巡航時のエンジン音は、同じクラスのガソリン車やハイブリッド車よりずっと静か。

カタログ燃費は落ちたが動力性能・静粛性はアップ

今回、カタログ上の燃費は若干下がっているが、実用燃費で”ほぼ”同等。それでいて10%ほど動力性能高くなり、静粛性を増しているのだから嬉しい。

ちなみに電気自動車としての実用的なEV航続距離は、中期型が45~50km。三菱の説明ではEV航続距離がマイチェンの前後で60kmから65kmに延びたということだが、新型モデルだと実際には50~55kmくらい走ると思う。

車体とサスペンションも改良されている。接着構造を大幅に取り入れ剛性感を上げたボディと、容量アップして乗り心地の奥行きを出した標準仕様のダンパー(ビルシュタインは今回仕様変更無し)がなかなか良い仕事をしている。

今回の試乗会はクローズドコースで開催されたため公道を走れなかったけれど、乗り心地が良くなっているとのことだ。

燃費が良くて環境にやさしいSUVが欲しいならアウトランダーPHEVがオススメ

さらに、今回のマイチェンでは、ランエボ10にも搭載されていた車両運動性能統合制御システム「S-AWC」が進化した。

新たに追加された「SNOW」モードでは雪が降ったときでも安定して走ることができるし、こちらも新設定の「SPORTS」モードでは、アクセルレスポンスを向上させることでEVならではの走りの楽しさを味わえる。

私が紹介しても三菱自動車のブランドイメージは良くならないけれど、アウトランダーPHEVは良いクルマだと思う。

燃費良くて環境にやさしいSUVを考えているなら、とりあえずディーラーで試乗してみたらいかがだろうか。

[TEXT:国沢光宏/PHOTO:原田淳・三菱自動車工業株式会社]

三菱 アウトランダーPHEV 2019年モデルの主要スペック

三菱 アウトランダーPHEV 2019年モデルの主要スペック

モデル名

Gプラスパッケージ

全長

4695mm

全幅

1800mm

全高

1710mm

ホイールベース

2670mm

トレッド(前/後)

1540mm/1540mm

最低地上高

190mm

車両重量

1890kg

乗車人数

5人

エンジン

DOHC 16バルブ 4気筒

排気量

2359cc

エンジン最高出力

94kW(128PS)/4500rpm

エンジン最大トルク

199Nm(20.3kgm)/4500rpm

モーター最高出力 前/後

60kW(82PS)/70kW(95PS)

モーター最大トルク 前/後

137Nm(14.0kgfm)/195Nm(19.9kgfm)

駆動方式

4WD

JC08モード燃費

18.6km/L

EV航続距離(JC08モード)

65km

WLTCモード燃費(平均)

16.4km/L

WLTCモード燃費(市街地)

15.4km/L

WLTCモード燃費(郊外)

16.8km/L

WLTCモード燃費(高速道路)

16.8km/L

※燃費は車両認可前のため参考値

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国沢 光宏
筆者国沢 光宏

1958年生まれ。ベストカーガイド編集部員を経て自動車評論家に。空気を全く読まず言いたいことを言い、書きたいことを書くので自動車メーカーから嫌われている。現在所有しているクルマは日産 リーフやトヨタ MIRAIなど多数。趣味はラリーに出場すること。人気のない(本人談)Webサイトを運営中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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