メルセデス・ベンツ E300 4MATIC ステーションワゴン 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/2)

メルセデス・ベンツ E300 4MATIC ステーションワゴン 試乗レポート/渡辺陽一郎
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「レーダーセーフティパッケージ」が選べるのは大きなメリット

メルセデス・ベンツ E300 4MATIC STATIONWAGON

幅広いグレードで「レーダーセーフティパッケージ」が選べることにも注目したい。

特徴は5個のレーダーセンサーと1個のカメラを併用すること。レーダーセンサーは前方が3個(近距離用が2個/長距離用が1個)、後方が2個になり、左右方向も検知している。

衝突の危険が生じた時にはドライバーに警告を与え、衝突不可避と判断するとブレーキを働かせる。さらに、側方の車両に気付かずに車線変更を行おうとすると警告を発し、衝突の危険が迫ればブレーキを働かせて回避操作を助けてくれる。

ほかにも、車線を逸脱しそうになるとハンドルを微振動させてドライバーに危険を知らせてくれる。車間距離を自動調節するクルーズコントロールとして使うことも可能だ。

レーダーセーフティパッケージは様々な働きをするが、オプションで装着しても19万円と安い。

スバルのアイサイトは10.5万円の低価格だが、レーンの逸脱時にハンドルに微振動を与える機能はなく、警告にとどまる。斜め後方も検知しない。トヨタの場合はレーダー機能だけなら15万円ほどで装着できるが、カメラ付きのレーンキーピングアシストを加えると30万円を超える。レーダーセーフティパッケージを割安に選べることは、Eクラスの大きなメリットだから必ず装着したい。

Eクラスに相応しい、粗さを感じず実に安定した乗り心地

メルセデス・ベンツ E300 4MATIC STATIONWAGON

E300ブルーエフィシェンシー4マチックワゴンに試乗した。ちなみに、4マチックとは“4WD”を意味している。4WDの採用に伴って車両重量は1,900kgを超えるが、動力性能に不満はない。

3,500~4,500回転で最大トルクの34.7kg-mが発揮され、ATがギヤ比の割り方が細かい7速だから、動力性能を有効に活用できる。新開発のエンジンとあってノイズも小さく、Eクラスの性格に合っている。

コーナリング時の動きは、ボディの重いワゴンとあって機敏な印象は受けない。それでも走行安定性は高く、ハンドル操作に対して比較的忠実に回り込む。

車両の挙動が穏やかだから、旋回軌跡を拡大させる性格に思えるが、実際には前輪が踏ん張って良く曲がる。

 装着されるタイヤは17インチだが、約2トンの重いボディにはピッタリ。低い速度域では少しコツコツした乗り心地だが、粗さを感じさせず、どっしりした印象でEクラスに相応しい。

居住性は前後席ともに快適。座面は日本車に比べると硬めだが、体をしっかりと受け止めて、バックレストの腰が当たる部分のサポート性も優れている。長距離の移動でも疲れにくい。

気になるのはボディサイズ。全長が4,900mm、全幅が1,855mmでは、日本で使うには少々大柄だ。それでも最小回転半径は5.4mに収まり、ボディの四隅も分かりやすいから、サイズの割には扱いやすい。

伝統のモデル「Eクラス」は、メルセデス・ベンツが大切にしている安全装備も充実し、説得力の強い、まさに王道を行くバリエーションとなった。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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