復活は2019年!マツダの「ロータリーエンジン」が無くなった理由

現在もマツダはロータリーエンジンの開発を継続中

その独特の回転フィールやパワー感などで今でも多くのファンを魅了し続けるロータリーエンジン。残念ながら現在では2012年にマツダ RX-8の終焉と共に新車で購入できるロータリーエンジン搭載車は消滅してしまっていますが、マツダは今でもロータリーエンジンの研究開発を続けているとアナウンスしており、復活の日を待ち望む人も少なくありません。

そこで今回は改めてロータリーエンジンについてさまざまな角度から振り返ってみたいと思います。

>>コスモスポーツからRX-8まで、ロータリーエンジンの歴史を画像でチェック

ロータリーエンジンとレシプロエンジンの違い

ロータリーエンジンとレシプロエンジンの一番の違いは、レシプロエンジンの往復動機構による容積変化ではなく、回転動機構による容積変化を利用するエンジンであるということ。また吸排気バルブやこれを開閉するカムシャフトの役割をローター自体が担うことによって、部品点数が少ないという点も挙げられます。

ちなみにマツダ車に搭載されていたロータリーエンジンはドイツの発明家、フェリクス・ヴァンケルがドイツのNSU社と共に開発した「ヴァンケルエンジン」が元になっています。ヴァンケルエンジンは1951年に開発がスタートし、1957年には初めての試作機が完成。そしてNSU社は1964年にこのロータリーエンジンを搭載したヴァンケルスパイダーを発売、1967年にはセダンの「Ro80」を発売しますが、オイル消費の過大やアペックスシールの磨耗などの問題が解決される前に発売してしまったため、発売後にクレームが続発。結果的に経営にも影響を及ぼし、フォルクスワーゲン傘下となってしまいました。その結果、この「Ro80」のレシプロエンジン版である「K70」はNSUブランドからではなく、フォルクスワーゲンブランドから発売されています。

一方、NSU社から技術提携を受けてロータリーエンジンの開発に着手したマツダは、それらの問題をひとつひとつ解決していき、1967年5月に世界初となる実用可能な量産ロータリーエンジン搭載車であるコスモスポーツをリリースするに至ったのです。

ロータリー搭載車の歴史

前述のように、ロータリーエンジンを搭載して市販された最初のクルマはNSU社のヴァンケルスパイダーでしたが、明らかに見切り発車の欠陥を抱えた車両であり、発売前に10万キロに及ぶ連続耐久テストをクリアしたコスモスポーツが“実用可能”な量産ロータリーエンジン搭載車であるとされています。

コスモスポーツをリリースしたマツダはロータリーエンジン搭載車のラインナップを拡大し、ファミリアやサバンナ、カペラといったコンパクト~ミドルクラスにも搭載車を設定しました。さらに1974年にはマイクロバスであるパークウェイにもロータリーエンジンを搭載し、さらに高級車を埋める存在としてオーストラリアのホールデンが生産していたプレミアをベースに造り上げたロードペーサーにもロータリーエンジンを搭載するなど、ロータリーフルラインナップを実現していたのです(さらに海外向けにはピックアップトラックにもロータリーエンジン搭載車が存在していました)。

なお、ロータリーエンジンはNSUとマツダだけではなく、他メーカーも採用例があり、フランスのシトロエンではコンパクトカーのGSに搭載し「GSビロトール」として1973年に800台余りが販売されました。また、日産も1972年の東京モーターショーでサニーにロータリーエンジンを搭載したコンセプトカーを出展して販売に意欲を見せていましたが、直後にオイルショックが起きたため断念したと言われています。

RX-8を最後にロータリーが搭載されなくなった理由とは?

走行性能的には魅力たっぷりのロータリーエンジンではありますが、レシプロエンジンに比べて燃費の面であったり、排出ガスの面であったりで厳しい部分もあります。

キチンとしたメンテナンスをしないといとも簡単にトラブルが出てしまうなど、メンテナンスフリーが当たり前の昨今に逆行する部分が多いのがひとつの理由でしょう。

もちろん、熱狂的なファンにとっては当然のことですが、幅広いユーザーに使ってもらうためには致し方無いともいえそうです。

今後のロータリーエンジンはどうなる?

2015年、東京モーターショーに出展され、マツダファンのみならず大いに盛り上がったコンセプトカーが「RX-VISION」。その名の通り、ロータリーエンジン搭載を想定した、それはそれは流麗なスポーツカーでした。ロータリーなしでは成立しないことが窺える、現代のモデルとしては異様なほど低いフロントノーズに、まだ見ぬ次世代ロータリー「SKYACTIV-R」の期待も高まるのでした。

しかし現時点で一番復活の可能性が高いのは、スポーツカーユニットではなく、レンジエクステンダー用の発電エンジンとしての採用と言われています。現にNSUを傘下に持つVWグループのアウディは2010年のジュネーブモーターショーでロータリーエンジンを発電用エンジンとして搭載した「A1 e-tron」をコンセプトカーとして出展しています。

ロータリーエンジンは低速域や加速時の燃費こそ悪いけれど、一定の回転数で回り続けるシチュエーションは得意であり、騒音や振動がなく小型かつ軽量なロータリーエンジンこそ発電用のエンジンとしては最適なのかもしれません。

そしてトヨタとマツダの協業が発表されたことも追い風になるハズ。すでに日産のエンジンで発電しモーターで走る「e-POWER」が爆発的ヒット車種となっていることから、トヨタが同様のハイブリッドシステムをリリースする可能性も大いにあるでしょう。

また、マツダは以前から水素ロータリーエンジンに力を入れており、すでにMIRAIを市販しているトヨタと組めば、水素インフラの拡充が加速する可能性もありそうです。

ロータリーあるある

それでは最後にロータリー乗りから聞いた「あるある」を聞きながらお別れしましょう。

・ガソリンメーターがみるみる減っていくのを目視できがち

・プラグ交換をやり過ぎてとんでもないスピードで交換できるようになりがち

・日常生活で「ピー」という電子音に反応しがち(レブリミットの音)

・常にオーバーホール貯金をしがち

・オイルチェックの頻度増えがち

・燃費走行をしようと思っても気づいたらエンジン回しがち

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小鮒 康一
筆者小鮒 康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後に急転直下でフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、実は現行車に関してもアンテナを張り続けている。また、過去に中古車販売店に勤務していた経験を活かし、中古車系の媒体でも活動中。最近では「モテない自動車マニア」の称号も獲得。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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