レクサス RX 試乗│レクサスの進むべき道が解りやすく表現された一台

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2019年5月30日に「高級車×SUV」のパイオニアであるレクサス RXが初の大幅改良を発表した。各部のデザイン変更、ヘッドライトの小型化、ボディと足回りの剛性を高め、新構造のショックアブソーバーや新ブレーキ制御を採用するなど、注目ポイント目白押しな1台を自動車研究家 山本シンヤ氏がレポートする!

 

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目次[開く][閉じる]
  1. 初の大幅改良となった「高級車×SUV」のパイオニアRX
  2. 新世代レクサスに近い雰囲気がプラスされたエクステリア
  3. インテリアは機能性は向上したが、マイナーチェンジならではの悩みも…
  4. 自然に曲がるハンドリング、快適性も大きくレベルアップ
  5. 新世代レクサスが提唱する「すっきりと奥深い」乗り味に近づいた
  6. レクサスの進むべき道が解りやすく表現された一台

初の大幅改良となった「高級車×SUV」のパイオニアRX

今年2019年でレクサスは30周年を迎える。欧米のプレミアムブランドを震撼させた「LS」の影響は非常に大きいものの、その一方でビジネスを大きく支えるモデルは「RX」だ。

昨今、世界的なクロスオーバーSUVブームだが、このRXこそが「高級車×SUV」がコンセプトとなるプレミアムクロスオーバーSUVを開拓したモデルなのだ。近年ではセダンのエースであるESの販売台数を超え、新たなエースとしての顔も持っている。

現行モデルとなる4代目は2015年に登場。レクサスの“Always on”の精神により毎年進化・熟成を重ねてきたが、今回は初の大幅改良である。その変更内容はデザイン/走り/新アイテムの導入と多岐に渡り、まさにビックマイナーチェンジと言っていい。

レクサス/RX
レクサス RXカタログを見る
新車価格:
666万円901万円
中古価格:
88万円1,230万円

新世代レクサスに近い雰囲気がプラスされたエクステリア

エクステリアはエッジを効かせたアグレッシブなデザインはそのままに、力強さを強調させたフロントバンパー、ワイド感を強調したリアバンパー、L字モチーフのブロックメッシュパターン採用のフロントグリル、より薄目になったヘッドランプ、L字モチーフのテールライトなどの採用により、従来モデルよりもキリッとした精悍な印象に。個人的にはそれに加え、LS/LCなどの新世代レクサスに近い雰囲気もプラスされていると感じた。

ヘッドランプには世界初の技術、ブレードスキャン式AHSを採用

ちなみにヘッドランプには仕掛けがあり、世界初となるブレードスキャン式AHS(アダプティブ・ハイビーム・システム)が採用されている。似たシステムはこれまでも存在するものの、ブレードスキャン式は光源であるLEDからの光を高速で回転するブレードミラーに照射。ブレードミラーに反射した光がレンズを介して高速移動しながら前方を照らす新機構のAHSだ。従来のシステムよりも細かい遮光が可能で、対向車や先行車を眩惑することなく幅広い認識が可能となっている。実際にデモを見たが、「これならハイビームのままで大丈夫」だと思う精度を持つ。これはRXだけでなく、他のレクサスにもすぐにでも水平展開すべきだと思う。

インテリアは機能性は向上したが、マイナーチェンジならではの悩みも…

新型RXのインテリアは、ドライバーズカーらしさを演出する水平基調のインパネなど基本的なデザインに変更はないが、マルチメディアシステムを一新。12.3インチに拡大されたモニターは、従来のリモートタッチ(マウス式→タッチパネル式に変更)だけでなくタッチパネルでも操作可能に。それに伴いモニターの位置が従来モデルに対し14cm手前にレイアウト。確かに機能性は上がったが、視線移動時にその大画面が逆に目障りに感じることも。

また、充電用USBソケットの増設やスマートフォン収納箇所の増加など利便性アップは大歓迎だが、いかにも「空いているスペースを使いました」と言ったレイアウト方法にはガッカリ。この辺りは基本レイアウトの変更ができないマイナーチェンジならではの悩みだと思うが、プレミアムブランドだからこそ、細かい部分にもっと気を使ってほしい。

更に3列シート仕様のRX450hLは、サードシートに2種類のシートポジション(足元スペースを+95mm)の設定とセカンドシートキャプテンシートのOP設定により、使い勝手/居住性向上が行なわれている。

自然に曲がるハンドリング、快適性も大きくレベルアップ

走りに関しては、ボディへのスポット打点追加(14点)、構造用接着剤に範囲拡大(+2.3m)増加により、基本素性をアップ。これに加えて、ハブベアリングの剛性アップ、リアスタビライザー径の拡大、フリクションコントロールダンパーの採用、アクティブコーナリングアシスト(ACA)の採用、EPSの再チューニングなどが行なわれる。

実は走りの進化は見た目以上に大きい。ステア系はアシスト量の変化はないが、まるで支持剛性が高くなったような感じのカッチリとしたフィーリングに。従来モデルはコーナリング時にいきなりグラッと来る動きが気になっていたが、新型はロールスピードが一定で、コーナリング時の一連の動作に連続性が出ている。素直に自然に曲がるハンドリングはワインディングでも楽しめるレベルだ。

一方乗り心地は、細かい凸凹に対して神経質でヒョコヒョコとした動きが気になっていた従来モデルに対し、新型RXでは決してソフトな印象はないものの、無駄な動きが減ったのと細かいショックの吸収性が上がったことで目線がぶれにくくなり、結果的に快適性も大きくレベルアップしている。

新世代レクサスが提唱する「すっきりと奥深い」乗り味に近づいた

パワートレインは公式には変更のアナウンスはないものの、V6 3.5L+モーターのハイブリッドはこれまで気になっていたエンジン回転と車速上昇のズレやラバーバンドフィールは改善されているように感じた。この辺りは制御の深化によるものだろう。

このように新型の走りは旧世代シャシーを使いながらも、新世代レクサスが提唱する「すっきりと奥深い」乗り味に近づいた。この辺りは「何を今さら」と言う気持ちがあるものの、レクサスは確実に何かを掴んだと思う。

Fスポーツは今後、立ち位置/方向性を改めて明確にする必要がある

ちなみにFスポーツは、パフォーマンスダンパーや電動アクティブスタビライザー、専用チューニングのサスペンションなどを付加。ノーマルより姿勢変化を抑えたスポーティな仕立てだ。スポーティなモデルにしては快適性も決して悪くはないのだが、どこか物足りなさが残るのも事実だ。もちろん、Fスポーツの方向性はリアルFとは異なり「ライトなスポーツ」なキャラクターなのは解るのだが、ノーマルとの差はもう少し明確にしたほうがいいと思う。

これはRXだけの問題ではないのだが、今後Fスポーツの立ち位置/方向性を改めて明確にする必要があるだろう。間違っても「単なる意匠違い」、「ちょっとスポーティ」ではダメだと思っている。

先進安全装備機能は進化したものの、操作系は古い

今回は試す事はなかったが、予防安全パッケージ「Lexus Safety System+」の機能も進化。単眼カメラとミリ派レーダーの性能向上により昼間の自転車や夜間の歩行者も検知可能なプリクラッシュセーフティ、進化したレーダークルーズコントロールやレーントレーシングアシストなどは嬉しいものの、肝心な操作系は古いレバー式のままだったのは残念な部分である。操作系に関してはモデル関係なく統一したほうがいいのだが……。

レクサスの進むべき道が解りやすく表現された一台

いくつか気になる所はあるものの、総じて言えば、今回の変更はRXにとって非常に大きな進化だと思う。新規ユーザーにとってはレクサスの進むべき道が解りやすく表現された一台、旧モデルのオーナーであれば、思わず“箱替え”したくなる魅力が備わる一台に仕上がっていると言っていい。

[筆者:山本 シンヤ/撮影:小林 岳夫]

主要スペック比較表

グレード名

450h バージョンL 4WD CVT

300 バージョンL 4WD AT

価格(消費税込み)

756万円

642万円

全長×全幅×全高

4890mm×1895mm×1710mm

4890mm×1895mm×1710mm

ホイールベース

2790mm

2790mm

駆動方式

4WD

4WD

車両重量

2140kg

2010kg

乗車定員

5名

5名

エンジン種類

V型 6気筒 DOHC

直列 4気筒 DOHC

総排気量

3456cc

1998cc

エンジン最高出力

193kW(262PS)/6000rpm

175kW(238PS)/5600rpm

エンジン最大トルク

335Nm(34.2kg・m)/4600rpm

350Nm(35.7kg・m)/1650rpm

トランスミッション

フロア CVT

フロア 6

使用燃料

ハイオク

ハイオク

燃料消費率(JC08モード燃費)

18.2km/L

11.2km/L

燃料消費率(WLTCモード燃費)

--km/L

--km/L

燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード)

--km/L

--km/L

タイヤサイズ

235/55R20

235/55R20

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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