ランエボ4の海外流出が加速!? 北米“25年ルール”適用でランサーエボリューションIVの中古車価格がこの1年で2倍に高騰

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1980年代から90年代にかけて製造された国産スポーツカーが、近年アメリカやアジアなどで爆発的な人気を集めている。中でもアメリカでは右ハンドル車の輸入規制が厳しいが、製造25年を過ぎた古いクルマ(通称25年ルール)については別。90年代の名車たちも続々とアメリカに渡っているようだ。そんな25年ルールに適用する新たなクルマが現れた。ランサーエボリューションIV、いわゆる「ランエボ4」だ。

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  1. 1996年8月発売のランエボ4がこの夏、遂に25年ルール解禁へ
  2. 中古車相場は既に動きアリ!? ランエボ4はどれくらい高騰しているのか?
  3. ランエボは今後、北米で人気が出るのか?

1996年8月発売のランエボ4がこの夏、遂に25年ルール解禁へ

近年、アメリカを中心にロシアや中国、東南アジア各国で、1980~90年代に製造された日本車のスポーツカー人気が急上昇している。中でも、「25年ルール」が適用されるアメリカにおいて、それらのクルマは「JDM」(Japanese Domestic Market)と呼ばれ、とくに人気が高い。

2001年に1作目が公開された映画ワイルド・スピードシリーズに数多くの日本車が登場したことも日本製スポーツカーの人気を後押しする結果となった。

ところで“25年ルール”って、なに!?

ちなみに、25年ルールとは「製造から25年以上経過した自動車は、該当するすべてのFMVSS(アメリカの保安基準)に準拠しているかどうかに関係なく、合法的に米国に輸入することができる」制度のこと。

本来右ハンドル車は特別な用途(自動車メーカーの研究用やイベントに出展するための展示用など)ではない限り、一般オーナー向けに販売や登録をすることはできないが、25年ルールが適用されるとアメリカでの販売や登録が可能になる。

25年ルールが適用されるクルマはアメリカでの需要がイッキに高まるので日本の中古車相場も高騰する。

JDM人気の火付け役となった1989年デビューの日産スカイラインGT-R(R32)も、解禁となる2014年を前に凄まじく高騰し1000万円以上での取引もめずらしくなくなった。

昨今、中古車相場が高騰している三菱ランサーエボリューションIV(ランエボ4)も、この8月でデビューから25年を迎える。厳密にいうと25年ルールは「製造年月」がベースとなるため、1996年7月に製造されたランエボ4があればすでに解禁となっているはずだ。

中古車相場は既に動きアリ!? ランエボ4はどれくらい高騰しているのか?

1年前の2020年8月頃、記事を書くのに三菱 ランサーエボリューションIV(ランエボ4)の中古車価格を調べたことがあった。その頃から価格高騰の気配はあったものの、150万円を超える車両はほとんどなかった。80-150万円といったところで、もっとも多いのは100万円台前半だったのだ。

ところが、改めてMoTAの中古車検索で調べてみたところ、2021年7月29日現在、ランエボ4(1996~1997)は9台がヒット。価格帯は168万円~319.9万円! 価格応談も数台。昨年の今頃に比べて価格帯はおよそ2倍以上となっている。

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なお、ランエボ4は5代目ランサー(1995年10月にフルモデルチェンジ)をベースとしており、エボ1/2/3の第1世代から第2世代目に突入したモデルだ。エンジンやトランスミッションなども大幅に進化してレスポンスもさらに向上。アクティブ・ヨー・コントロール(AYC)がGSRグレードに搭載されたことで、旋回性能も大幅に向上している。また、歴代ランエボの中では最後の5ナンバーボディでもある。

トミ・マキネン選手ドライブのエボ4がWRC(世界ラリー選手権)で大活躍したことを覚えている人も少なくないだろう。

WRCでの活躍もあってか当時から非常に人気が高く販売台数は1万3134台とシリーズトップクラスの人気となった。

JDMを数多く輸出する業者も「第2世代エボの解禁は期待感も高い」と証言

海外にJDMを数多く輸出している業者に、アメリカでのランエボ4の盛り上がりについて聞いてみた。

『少し前のアメリカでは、ラリー車的なモデルはあまり人気がなかったが、昨今のJDMブームもあってか、三菱 ランサーエボリューションシリーズへの注目度が急激に上がっているという印象。

ランエボがアメリカに正規(左ハンドル)で輸入されはじめたのはエボ8以降なので、それ以前は右ハンドル車の解禁を待つしかない。ファンとしては第2世代のエボ4が解禁となるのは楽しみでしょう。』

ジャッキーチェンの映画でもおなじみ!?三菱車といえば「香港」での人気も高い!

『また、エボ人気はアメリカだけじゃないですよ。香港での人気が非常に高いです。もともと香港は三菱製スポーツカーの人気が高いですからね。ジャッキーチェンの映画などにも数多く登場しているし、エボ3/4に関して言えば香港映画の「実写版イニシャルD」にも登場したことで爆発的な人気となりました。

香港に向けて日本から中古車として輸出されるエボも増えており、価格は高騰し続けています』

ランエボは今後、北米で人気が出るのか?

北米の自動車パーツを販売するmatsulix経営の松村浩司氏(メキシコ在住)に、ランエボのこれからを聞いてみた。

『初代ランエボが25年ルールで解禁となった2018年頃から、ランエボ1〜3を購入したと言う人が出てきましたが、ほとんどがすでに三菱車(ランエボ8-9やエクリプス等)を持っていて、セカンドカーとして趣味で購入しているような感じでした。北米にはランエボ8-9が結構な台数ありますので、同じ値段なら8か9を購入、あとエクリプスとギャランVR4は、基本的にランエボ1-3とほぼ同じ性能で半分以下の値段で購入できます。』

これは大穴! ランエボのATモデルにも注目せよ!

『今後ですが、個人的にはランエボ7のAT車が人気になるのではと予想しています。アメリカは基本的にレースといえばドラッグレースで、この場合ATがMTより色々な面で有利です。エクリプスの方がランエボ8-9よりもドラッグレースで速いのは、ATがあるからです。

ドラッグレースの世界においてアメリカのトップ20位に入るようなエクリプスは95%以上がATなので、オートマのランエボが日本から入ってくるとこの図式が変わってくるのではないかと思っています。』

(注記:アメリカでのランエボ8/9はMT車のみ正規輸入)

今は90年代日本製スポーツカーの中古車相場は、アメリカでの人気によって左右されると言っても過言ではない時代。すでに1年間で2倍の価格に高騰したランエボ4に続いて、今後もランエボ人気はますます高まりそうだ。

[筆者:加藤 久美子/撮影:三菱自動車工業・NISSAN]

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加藤 久美子
筆者加藤 久美子

山口県下関市生まれ 自動車生活ジャーナリスト 大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。出版局にて自動車年鑑、輸入車ガイドブック、整備戦略などの編集に携わる。95年よりフリー。2000年に第一子出産後、チャイルドシート指導員資格を取得し、チャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 得意なテーマはオリジナリティのある自動車生活系全般で海外(とくにアメリカと中国)ネタも取材経験豊富。愛車は22年間&26万km超の916アルファスパイダー。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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