パッソ/キャスト/デミオを徹底比較 ~コンパクトカーと軽自動車の新しい関係性~(2/4)

パッソ/キャスト/デミオを徹底比較 ~コンパクトカーと軽自動車の新しい関係性~
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視界の優れた小さなボディで運転がしやすい

トヨタ パッソトヨタ パッソ

トヨタ パッソはコンパクトカーの中でも特にサイズが小さく、全長は3650mm(モーダは3660mm)、全幅は1665mmに収まる。全高は1525mmと立体駐車場も使いやすい。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2490mmで、全長の割に長く確保した。

ボディの基本スタイルは水平基調で、サイドウインドーの下端を低めに抑えたから、前後左右ともに視界が良い。右側のサイドウインドウから顔を出して後方を振り返ると後輪が視野に入り、駐車場では路面に引かれた白線の枠内に車両を収めやすい。また運転席から後輪が見えるのは、側方視界が優れている証でもある。

ボンネットも手前が少し見えて、フェンダーの左右の盛り上がりも視野に入る。なのでボディの先端位置や車幅も把握しやすい。

最小回転半径は4.6mに収まるから、コンパクトなサイズ、優れた視界と相まって狭い裏道や駐車場での取りまわし性も良好だ。

エンジンは前述のように直列3気筒の1リッターを搭載。最高出力は69馬力(6000回転)、最大トルクは9.4kg-m(4400回転)となる。JC08モード燃費は前輪駆動の2WDなら28km/Lに達するから、コンパクトカーの中でも優れた数値となった。

2WDは平成32年度燃費基準プラス10%にランクされ、エコカー減税によって自動車取得税が80%、同重量税が75%軽減される。

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長いホイールベースで車内を広げてエコカー減税は免税

ダイハツ キャストスタイルダイハツ キャストスタイル

ダイハツ キャストはSUV風の「アクティバ」、質感を高めた都会的な「スタイル」、運転の楽しさを重視するターボ専用車の「スポーツ」と3タイプをそろえる。1車種で幅広いニーズを効率良くカバーするのがねらいだ。

3タイプの中でパッソに最も近いのはキャストスタイルだろう。丸型ヘッドランプはパッソモーダに似た印象で、ロー/ハイビームの切り替え機能を備えたバイビーム(ダイハツの名称はバイアングル)LEDヘッドランプを用意する。

ちなみに従来のパッソ/ブーンでは、企画とデザインにはトヨタも加わり、開発と製造をダイハツが担当した。これが現行型では、すべてを一貫してダイハツが受け持つ。なので現行パッソはダイハツ製OEM車になった。

またダイハツがデザインを担当したから、外観がキャストスタイルに似た印象になっても不思議はない。軽自動車を参考にコンパクトカーを開発する手法とも合致する。

ボディサイズは全長が3395mm、全幅は1475mmで、軽自動車の規格枠ギリギリの大きさだ。全高は1600mmと少し高く、1550mmを超えるために立体駐車場は使いにくい。

各部のサイズをパッソモーダと比べると、265mm短く、190mm狭く、75mm高い。軽自動車とあって車内の広さを高さで稼いでいる。

注目されるのは2455mmのホイールベースだ。全長はパッソよりも265mm短いが、ホイールベースの差は35mmにとどまる。クルマの居住空間は前後輪の間に位置するから、キャストはホイールベースを長く確保することで有効室内長を拡大させた。

サイドウインドウの下端はパッソよりも少し高く感じるが、外観が直線基調で運転席から後輪も見えるから、視界は良好な部類に入る。ボンネットも少し見える。

最小回転半径は4.7m。パッソの4.6mよりも数値は大きいが、軽自動車サイズだから取りまわし性は良い。

エンジンは直列3気筒の660cc。自然吸気のノーマルタイプは最高出力が52馬力(6800回転)、最大トルクは6.1kg-m(5200回転)になる。

ターボは64馬力(6400回転)/9.4kg-m(3200回転)で、パッソに比べると最高出力が5馬力低く、最大トルクは同じ値だ。つまりキャストのターボは、排気量を1.5倍に増やしたのと同様の効果を得ている。

エコカー減税は、2WDの自然吸気エンジンが自動車取得税、同重量税ともに免税。ターボは80/75%の減税になる。

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外観は躍動的でエンジンは高効率なディーゼルを設定

マツダ デミオマツダ デミオ

マツダ デミオの外観は先代型を踏襲したところもあるが、コンパクトカーでは躍動的な印象だ。フロントウインドウの位置を後退させ、前輪駆動車でありながらボンネットが長く見えるように配慮した。サイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げ、リアゲートは寝かせている。

この外観は、CX-5以降に登場したマツダ車に通じる「魂動」デザインの考え方に基づく。獲物を追いかけるチーターからイメージされ、後輪に荷重が掛かった様子を表現している。パッソの水平基調でリアゲートを直立させた外観とは、対称的な雰囲気だ。

外観が躍動的な半面、斜め後方と真後ろの視界は良くない。ボディの後部ではサイドウインドウの下端が高まり、後端のピラー(柱)も太いからだ。パッソやキャストと違って、右側のサイドウインドウから顔を出しても後輪は見えず、ボンネットも視界にほとんど入らない。後述する後席や荷室の広さでも、有利なボディ形状ではない。

ボディサイズは全長が4060mm、全幅は5ナンバーサイズいっぱいの1695mm、全高は前輪駆動の2WDが1500mmになる。なので立体駐車場を使いやすい。

パッソモーダに比べると400mm長く、30mm広く、25mm低い。ホイールベースは2570mmだから、パッソに比べて80mm長い。

最小回転半径は15インチタイヤ装着車が4.7m、16インチは4.9mだ。16インチはパッソやキャストに比べて少し大回りだが、日本車全体では小回り性能が優れた部類に入る。

エンジンはガソリンが直列4気筒の1.3リッターで、1.5リッターのクリーンディーゼルターボも用意した。トランスミッションは、トルクコンバーターを使った有段式6速ATに加えて、6速MTを選べることも特徴だ。

1.3リッターのガソリンエンジンは最高出力が92馬力(6000回転)、最大トルクは12.3kg-m(4000回転)。クリーンディーゼルターボは6速AT仕様で105馬力(4000回転)/25.5kg-m(1500~2500回転)になる。

JC08モード燃費は、6速ATの場合で1.3リッターガソリンが24.6km/L。クリーンディーゼルターボは26.4km/Lで、6速MTは30km/Lに達する。ディーゼルでは軽油価格もレギュラーガソリンに比べて20円/Lほど安く、燃料代は大雑把にいえばハイブリッド並みだ。

エコカー減税を6速ATで見ると、1.3リッターガソリンの自動車取得税は60%、同重量税は50%の軽減。クリーンディーゼルターボは両方とも免税になる。

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デザイン・スペックの総評

軽自動車はボディサイズやエンジンの排気量が共通化されながら、大量な販売をねらって車種の数を増やした。個性化も図られ、キャストスタイルはセダン感覚の軽自動車に位置付けられる。少し背の高いボディで居住空間に余裕を持たせ、内外装は上質に仕上げた。

パッソはこの拡大版といえるだろう。「軽自動車を大きくした小型車に価値があるのか」という疑問も沸くが、視界の良いコンパクトなボディは運転がしやすい。価格はキャストスタイルとほぼ同じで、エンジンの排気量は1.5倍に増量される。優れた軽自動車の開発手法をベースに、便利で快適に使える実用的なコンパクトカーを造る方法もアリだろう。

一方、デミオは価値観が異なる。ボディを5ナンバーサイズの規格枠いっぱいに拡大させ、フェンダーやドアパネルには微妙な陰影を与えた。コンパクトカーの中でも存在感が強く、3ナンバー車のアクセラと比べてもほとんど見劣りしない。クリーンディーゼルターボの搭載も含めて、新しいマツダ車に共通する特徴を備える小型車に仕上げた。

生活のツールとして使うならパッソ、クルマ造りのユーザーがこだわりを持って買うならデミオという選び方だろう。クルマ好きがパッソを見ると、物足りない印象を受けるかも知れないが、乗降性などの細かな機能まで含めて実用性を煮詰めている。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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