燃費性能を大幅に向上させた軽自動車の売れ筋3モデルを徹底比較チェック(3/4)

燃費性能を大幅に向上させた軽自動車の売れ筋3モデルを徹底比較チェック
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大人4名が快適に乗車できる室内空間を備えて内装も上質な仕上げ、FXリミテッドなら装備も充実

スズキ 新型ワゴンRスズキ 新型ワゴンR

新型ワゴンRは、2011年1月に登場した現行MRワゴンをベースに開発された。2,425mmのホイールベースを持つ軽量プラットフォームも、MRワゴンで実現している。MRワゴンエコXの車両重量は820kgで、JC08モード燃費は27.2km/L。これをさらに改善し、790kg・28.8km/Lとしたのが新型ワゴンRだ。

前後シートの間隔もMRワゴンと同じで、先代ワゴンRに比べ25mm拡大した。特にリアシートは快適。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ分になる。前後方向については、Lサイズセダン並に余裕ある空間となった。

シートサイズはフロント・リアともに大きく、座面のボリューム感も十分。軽自動車でありながら大人4名が快適に乗車できる。

インパネなど、内装の造りも上質。中央にはシルバーのパネルが備わり丁寧に作り込まれている。助手席の前側には、上下2段にフタの付いた収納ボックスが備わる。中間部分はトレイとして活用することもできる。助手席の座面の下側には、容量の大きなバケツ状の収納ボックスが備わり、車外に持ち出すことも可能。これは初代ワゴンRから採用される伝統の装備だ。

リアシートは、バックレストを前に倒すと座面も連動して下降。フラットで広い荷室に変更できる。リアシートのスライド機能はフロント側と同じく左右独立式。座り心地を損なわずに、多彩な機能を与えた。

FXリミテッドは装備も充実。エアロパーツ、アルミホイール、キーレスプッシュスタートなど20万円相当の装備をFXに加えながら、価格の上乗せは約14万円に抑えられている。

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軽自動車の中でも最大級の室内空間を備えており、リアシートを畳むと大容量の荷室に発展

ホンダ N BOXホンダ N BOX

N BOXの一番の特徴は、先の項目でも触れた広い荷室が生み出す優れた使い勝手だ。燃料タンクをフロントシートの下に搭載して、荷室の床を低く抑えた。リアシートは床面へ落とし込むようにコンパクトに畳めるので、ボックス状の大容量空間となる。

路面から荷室床面までの高さも480mmと低い。自転車を積み込む時も、前輪を大きく持ち上げる必要がない。シートアレンジも多彩で、フィットと同じようにリアシートの座面を持ち上げられる。フロントシートの後部が1,400mmの室内高を持つ広い空間になり、背の高い荷物も積みやすい。子供が着替えをする時なども便利に使える。

スライドドアの開口幅は640mmを確保。床を低めに抑えたから、子供から大人まで身長を問わず乗降性は良好だ。

インパネの質感は、特に高くはないが不満も感じない。フタの付いた収納設備はあまり多くないが、トレイは豊富に備わる。ATレバーやエアコンのスイッチは比較的高い位置に装着され、使い勝手を向上させた。

シートのサイズは前後席ともに十分。特に注目されるのがリアシートの広さだ。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシ4つ分。ワゴンRよりもさらに広く、日本車全体で見ても最大級のスペースとなる。

装備の充実ぶりにも注目したい。横滑り防止装置やスマートキーは全車に標準装備。G・Lパッケージについては左側スライドドアの電動機能、エアコンのフルオート機能なども標準装備している。サイド&カーテンエアバッグについてはオプションだ。

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天井を低めに抑えたボディで徹底的な軽量化を図りつつ、4名が乗車可能な居住空間を備えて実用装備も充実

ダイハツ ミライースダイハツ ミライース

ミライースは全高が1,500mmに抑えられており、車両重量も730kgと軽い。燃費の向上が図りやすく、立体駐車場を利用しやすいこともメリットだ。

居住性は全高の割に余裕がある。フロントシートに身長170cmのドライバーが座っても、頭上空間は握りコブシ1つ少々空いている。座り心地のボリューム感はいまひとつだが、座面の長さは十分で運転操作には支障をきたさない。

また、やや低めに座らせる運転姿勢は小柄なドライバーに優しい。身長が160cmを下まわる場合、ワゴンRやN BOXでは着座位置が高すぎて運転席を前寄りにスライドさせる必要が生じる。その点、ミライースであれば自然に座れるのだ。今の軽自動車はその多くが背の高いボディを持ち、着座位置も高めだ。小柄なドライバーが適切な運転姿勢を取れる車種は、貴重な存在になった。

リアシートは、ワゴンRやN BOXに比べると狭めだが、窮屈には感じない。ホイールベースがコンパクトカーと同等の2,455mmで、リアシートを後ろ寄りに装着したからだ。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ少々。頭部が天井に触れることもなく、大人4名が不満なく乗車できる。

ただし、荷室の奥行は乏しい。リアシートの取り付け位置が後ろ寄りで、スライド機能も付かないからだ。バックレストを前に倒せば荷室を拡大できるが、左右分割式ではないのもやや使いづらいところだ。3名で乗車して、大きな荷物を積むニーズには対応しにくい。

装備は、売れ筋のX(99.5万円)でも電動格納式ドアミラーなどが備わる。最上級のG(112万円)になれば、横滑り防止装置、サイドエアバッグ、アルミホイールなども標準装着。装備の水準はコンパクトカーと同等かそれ以上だ。

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内装・装備の総評

車内が最も広くて快適なのは、全高が1,700mmを上まわるN BOX。リアシートの頭上や足元の空間は全ての国産車と比較しても最大級だ。座り心地も良く、大人4名が快適に長距離を移動できる。スライドドアの装着で乗降性が優れており、リアシートを畳めば大容量の荷室に発展する。リアシートの座面を持ち上げる機能も備わっており、実用性は高い。

唯一、注意を要するのはリアシートにスライド機能が付かないこと。

その点、ワゴンRであればリアシートが左右独立してスライドする。チャイルドシートを装着した側を前に寄せ、もう一方は最後部にセットすれば、大人3名と子供1名の乗車にも対応しやすい。リアシートを畳んだ時の荷室容量などはN BOXが圧倒的に上まわるが、ワゴンRにもメリットはある。

一方、ミライースもヘッドレストをオプション装着すれば(GとGfには標準装着)、大人4名が窮屈感を伴わずに乗車できる。ワゴンRやN BOXと異なるのは、荷室が狭く、シートアレンジも乏しいこと。

その代わり価格が安く、XはワゴンRのFXと比較しても11万円ほど下まわる。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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