フェラーリ カリフォルニア 30 試乗レポート/石川真禧照(2/2)
- 筆者: 石川 真禧照
- カメラマン:島村栄二
V8サウンドが突如に静まっても驚くな!?
30psアップ、30kg軽量化という「フェラーリ カリフォルニア30」のV8エンジンの始動は、まずイグニッションキーをひねり、オンにする。その上で、セルモーターはハンドルスポークに装備されたスターターボタンを指で押すというレーシングカー方式。
瞬時に目覚めたV8エンジンは、これまでのフェラーリよりも抑えられた低いビートでアイドリングする。このあたりのチューンも日常を意識している。
AUTOモードで走り出す。7速ATはまるで国産車のように2000回転以下でシフトアップを繰り返し、車速を上昇させる。60km/hで7速に入ってしまった。この時のエンジン回転は1500回転。
信号でストップすると、エンジンもストップ。周囲のクルマの人や歩行者がこちらを見る。
『違う!エンストじゃないっ!』と叫びたい。
ブレーキペダルを緩めると間髪を入れずに再始動。AUTOモードでもクリープはない。アイドリングストップでの再始動はアクセルペダルを踏んだり、パドルレバーをシフトアップしても可能だ。
ひとたびアクセルを強く踏み込めば、やっぱり・・・
ジェントルな走りは1500回転から有効なトルクで、十分に楽しめる。30psのパワーアップと30kgの軽量化の効果が体感できる瞬間だ。
一方、アクセルを強く踏み込めば、いつものフェラーリらしさを存分に味わえる。マイルドさを加えたとはいえ、カリフォルニア30はフェラーリファミリーの一員なのだ。
3000回転からの排気音は、クオーンというカン高い唸り音を周囲にまき散らしながら加速する。0-100km/hは4秒台で走り切る。恐ろしいぐらいに速い。
一気に7200回転まで上昇するV8エンジンの迫力は、やはり本物のフェラーリだ。
ライバルはメルセデスのSLクラス
フェラーリ カリフォルニア30の実用性だが、リアシートの背もたれは2分割可倒式を採用。トランクスルーになり、ゴルフバッグを収納できる。これはルーフをトランクに収納したときでも可能だ。リアシートだが、背もたれはほぼ直角に立っており、座面も小さい。足元のスペースもほとんどない。ルーフを閉じたときは身長150cmでもルーフに頭がぶつかってしまう。ここは荷物やコートのスペースと割り切ったほうが良いだろう。
トランクはルーフを収納した状態でも、310mmの高さは確保されている。 トランクのリッドはかなり重く、これは女性にはちょっと重労働かもしれない。しかし、このカリフォルニア30は本当にこれまでのフェラーリとは違うカテゴリーのモデルだ。
ライバルはメルセデス・ベンツのSLクラス。但し、価格はノーマルで2390万円、試乗車のハンドリング・スペチアーレは2480万円で、これはライバルよりも1000万円近く高い。価格に関してはフェラーリらしさを失っていなかった。
フェラーリ カリフォルニア30 主要諸元
全長x全幅x全高:4562x1909x1322mm/ホイールベース:2670mm/乾燥重量:1630 kg/前後重量配分:前後47% 53%/トランク容量:340リッター~240リッター(roof closed)/エンジンタイプ:フロント縦置き・90度 V型8気筒/総排気量:4297cc/トランスミッション:7速デュアルクラッチトランスミッション:最高出力:360 kW(490 CV)/7750 rpm/最大トルク:505 Nm(51.5 kgm)/5000 rpm/最高速度:312 km/h/0-100km/h加速:3.8 秒/0-400m加速:12 秒/0-1000m加速:21.8秒/車両本体価格:2390.0万円[消費税込み]
※数値スペックは欧州仕様
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