コペン GR SPORT 徹底解説&試乗|トヨタとダイハツのコラボで誕生した軽スポーツの新しいかたち

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トヨタが展開中のスポーツモデル“GR”。同シリーズ初となる軽2シーターオープンのコペン GR SPORTが2019年10月に発売された。TOYOTA GAZOO Racingとダイハツというメーカーの垣根を超え開発されたGRのエントリーモデルを早速テスト。コペン GR SPORTの全てについて、山本 シンヤ氏が徹底解説する。

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目次[開く][閉じる]
  1. ダイハツとトヨタ、それぞれが抱えていた課題を一気に解消
  2. デザインからパワートレインまで…コペン GR SPORTの特徴を徹底解説
  3. 走らせてみてどうだったか|試乗した印象は!?
  4. コペン GR SPORTはズバリ“買い”か!?

ダイハツとトヨタ、それぞれが抱えていた課題を一気に解消

ダイハツの幅広い軽自動車ラインアップの中でフラッグシップとなるのが「コペン」だ。初代は2002年に登場、現行モデルとなる2代目は2014年にフルモデルチェンジした。電動オープントップの2シーターというキャラクターを継承しながら、エクステリアは新たな提案が行なわれており、ベースの“コペン Robe(ローブ)”、クロスオーバールックの“コペン XPLAY(エクスプレイ)”、そして初代をオマージュした“コペン Cero(セロ)”の3タイプを用意。実は2代目コペンの外板は取り外し可能で、「クルマを着せ替えできる」ことも話題となった。

ダイハツ/コペン
ダイハツ コペンカタログを見る
新車価格:
188.9万円243.7万円
中古価格:
32万円304.1万円

ダイハツが抱えていた課題

初代と同じく2代目コペンも「コペン愛」に溢れるファンに受け入れられているものの、それとは裏腹に台数は伸び悩んでいた。更にユーザー調査によると、ライバルの出現やスポーツカー市場の活性化が行なわれたことで、コペンのスポーティなイメージは相対的にダウン。市場からコペンの商品強化に期待する項目のトップは「走行性能」のレベルアップだったと言う。

トヨタが抱えていた課題

その一方で、ダイハツの親会社であるトヨタもある悩みに直面していた。東京モーターショー2015でお披露目されたエントリースポーツモデルの提案「S-FR」は量産に向けて開発が進められていたものの、最終的には採算が合わないと言うことで開発は凍結……。

コペンの更なる拡販/イメージアップを行いたいダイハツと、GRラインアップの強化のためにエントリースポーツラインアップが欲しいトヨタの考えが一致。メーカーの垣根を越えて企画・開発が行われたのが、今回紹介する「コペンGR SPORT」だ。

トヨタとダイハツ、各社の強みを最大限に生かした開発

コペン GR SPORTの開発に関してはトヨタ/ダイハツの合同企画によるプロジェクトで、両社の人材交流や知見の融合を図りながらダイハツが設計・製造、トヨタガズーレーシング(TGR)が知見提供やデザイン&性能確認を担当した。

走りの味付けはトヨタのGR SPORTを担当する凄腕ドライバーの評価をフィードバック。GRのバッジを付ける以上、見た目はもちろん走りの部分に関しても、他のGR SPORTとの共通性を持たせている。

ちなみにコペン GR SPORTはトヨタ/ダイハツどちらでも販売される。車両型式はトヨタ版がLA400A、ダイハツ版がLA400Kと異なるが、トヨタ86/スバルBRZのように仕様違いではなく、共通スペックとなる。

デザインからパワートレインまで…コペン GR SPORTの特徴を徹底解説

コペン GR SPORT ~内外装の特徴~

まずコペン GR SPORTのエクステリアだが、フロントはGRモデルのアイコン、ファンクショナル マトリックスグリル採用のフロントバンパー周り、ディフューザー形状を盛り込んだリアバンパーの採用により、低重心/ワイド&ローを強調。これらのアイテムは、意匠性のみならず空気の整流効果により走行性能をサポートする機能部品である。BBS製鍛造ホイールホイールはGR専用のマットグレー仕様だ。

インテリアは加飾も含めてヒカリモノを抑えたブラックのモノトーンで、専用デザインのメーターに加えてレカロシート/MOMO製ステアリングを装着。ノーマルに対してカラーコーディネイトの違いがメインだが、思った以上にGRの世界観に仕上がっている。

コペン GR SPORT ~パワートレイン・足回りの特徴~

GR SPORT=入門編スポーツと言うこともあり、パワートレインはベースのコペン同様に64ps/92Nmを誇る直列3気筒DOHCターボエンジンと変更はない。ちなみにトランスミッションは5速MT/CVT(7速スーパーアクティブシフト付)どちらも設定。

シャシー系はボディの剛性アップはもちろん剛性バランスを整えることを目的に、フロントブレースの追加とセンターブレースの形状を変更。体幹を鍛えた車体と組み合わせるのは専用チューニングのサスペンション(KYB製)と電動パワーステアリング。ちなみに5速MTにはスーパーLSDも採用される。ただしタイヤサイズはノーマルと同じ165/50R16、銘柄もポテンザRE050Aのままだ。

走らせてみてどうだったか|試乗した印象は!?

スラローム体験でしっかり体感出来た良質なステアリングフィール

今回は一般道の試乗に加えて、クローズドコースでのパイロンスラロームで「ノーマル(ショーワ製ダンパー仕様)」とスポーティな「S(ビルシュタイン製ダンパー仕様)」との比較も行なうことができた。

まず、乗り始めて即座に感じたのはステアフィール。ノーマル/S共に気になったのは、ステアリング中立付近が曖昧かつ操舵時にワンテンポ遅れて立ち上がる応答性。GR SPORTはアシスト量こそ変わらないが、直進時のシッカリ感が増しているのと、ステアリングを切り込んだ際の応答性が高まっている上に自然。これは他のモデルにもすぐにでも水平展開すべき部分だと思う。

ハンドリングは穏やかで柔らかいが頼りなさが残るノーマルのコペン、逆にキビキビ感はあるも足が硬すぎて動かず荷重移動がしにくいSに対して、コペン GR SPORTは絶妙なバランス。ブレース類で引き上げられたボディ剛性とサスペンションのバランスが良く、その上しなやかな足さばきと適度なロールで接地性も高く、4つのタイヤを効果的に使っている印象。

試しにパイロンスラロームで同じ速度で進入してみたが、ノーマルのコペンは速い操作にリアが追従しきれず、逆にSは硬すぎてタイヤを使い切れずプッシュアンダーが気になる。コペン GR SPORTは、クルマの動きこそマイルドだが一体感はSよりも高い上、クルマの動きに連続性あるため、コントロール幅が広いのだ。

軽のレベルを超えた! 絶妙な足さばきと収まりの良さ

快適性については、アタリの優しさなどはノーマルに近いが、ギャップを超える際の足さばきや収まりの良さなどは軽自動車を超える質感を備える。直進性も良くなっているので、高速クルーズも今までよりも楽にこなすだろう。

ただ欲を言えば、もう少し路面からの入力を抑えたい。コペン GR SPORTには16インチタイヤ(165/50R16・ブリヂストンPOTENZA RE050A)が装着されている。幅が狭い上に偏平のタイヤでエアボリュームが少なく、吸収性もイマイチな16インチを15インチにダウンさせれば改善されると思うが、この辺りはルックスとの兼ね合いなので非常に難しい……。

ちなみにオープンとクローズドでは若干乗り味が異なり、クローズドはボディ/ステアリング含めて全体的なシッカリ感はある一方で、オープンでは重量バランスの関係かリアの足の動きがより自然でシットリ感が増している。ただ、本音を言えばもう少し根本的なボディ剛性を上げることでオープン/クローズド時の差がないようにしてほしい。

コペン GR SPORTはズバリ“買い”か!?

ノーマル同等なトータルバランスの良さがあるコペン GR SPORT

このように細かい部分で気になる部分はあるものの、総じて言えばコペン GR SPORTが目指す、クルマ好きなら「これがノーマルだよね」と感じるようなトータルバランス重視のセットアップ。最小限の変更で最大限の効果は出ていると思う。

コペン GR SPORTの価格は5速MTが243万5000円、CVTが238万円と高め。だがローブSにオプションのレカロシート+BBS製鍛造ホイールを装着したモデルと比較すると、コペン GR SPORTとしての実質価格アップ分は約8万円程度。実は非常にリーズナブルだ。

トヨタ全店とダイハツ店、それぞれで販売するのも特徴

トヨタ店とダイハツ店、どちらで買っても同じだが、トヨタではコペン GR SPORTのみの販売でGR SPORTの末っ子という扱い。一方ダイハツではローブ、エクスプレイ、セロに続く「第4のコペン」と立ち位置は若干異なる。しかしコペンの可能性をより広げたモデルである事は間違いない!!

[筆者:山本 シンヤ/撮影:小林 岳夫・DAIHATSU]

コペン GR SPORT 関連記事

トヨタ/ダイハツ コペン GR SPORT 主要スペック

車種名

コペン

グレード名

GR SPORT

価格(消費税込み)

2,435,000円(MT)/2,380,000円(CVT)

全長×全幅×全高

3395mm×1475mm×1280mm

ホイールベース

2230mm

駆動方式

FF

車両重量

850kg(MT)/870kg(CVT)

乗車定員

2名

エンジン種類

直列 3気筒 DOHC

総排気量

658cc

エンジン最高出力

47kW(64PS)/6400rpm

エンジン最大トルク

92Nm(9.4kg・m)/3200rpm

トランスミッション

5速MT/7速スーパーアクティブシフト付CVT

使用燃料

無鉛レギュラーガソリン

燃料消費率(WLTCモード燃費)

18.6km/L(MT)/19.2km/L(CVT)

燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード)[MT]

14.2km/L/20.0km/L/20.4km/L

燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード)[CVT]

15.2km/L/20.5km/L/20.6km/L

タイヤサイズ

165/50R16(ブリヂストンPOTENZA RE050A)

サスペンション形式

前:マクファーソンストラット式/後:トーションビーム式

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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