ホンダ フィット、じゃなくて「シトロエン C3」|あえて選ぶ外車のススメ Vol.6

  • 筆者: 内田 俊一
  • カメラマン:内田 俊一・茂呂 幸正
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あえて選ぶ外車のススメ。この企画では「国産車、じゃなくて輸入車」をテーマに、様々なカテゴリーの車種を比較検討します。第6回のテーマはBセグメントハッチバック対決。ついに登場した待望の4代目「ホンダフィット」と、現行で台数を伸ばしている「シトロエンC3」を徹底比較してみます!

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目次[開く][閉じる]
  1. 機能価値から感性価値へ
  2. シトロエンは遥か昔から感性価値の塊だった
  3. シトロエン C3とホンダ フィットを徹底比較!
  4. 東京から仙台まで乗って行くなら…どっちを選ぶ!?

機能価値から感性価値へ

センタータンクレイアウトによる室内空間の徹底追及をはじめ、燃費、運転のしやすさなど機能価値を追求して来たホンダ フィット。その結果、競合他車を大きく引き離す技術を身にまとう優れたクルマとして成長して来ました。

機能性価値とは具体的に数値上で評価が可能なものがほとんどです。そして、技術力を集結し目標を実現した結果、その後競合他車も当然そこに追いついて来ますので、その価値は普通のものになってしまいます。すると、次はまたそこを超えていかねばなりません。

しかし、本当にユーザーはそういったことを望んでいるのか、本当にその技術解消によって嬉しいと感じてもらえているのか。その疑問はホンダの創業者、本田宗一郎の考えに基づくものでもありました。技術は人のためにある、その技術で本当に人を喜ばすことが出来るのか。そういった疑問から4代目の開発はスタートしたのでした。

ホンダ/フィット
ホンダ フィットカタログを見る
新車価格:
165.6万円274.9万円
中古価格:
15.8万円283万円

そこで4代目となった現行はその機能価値の追求から一転、これまでの機能価値を踏まえたうえで感性価値を追い求めたといいます。具体的には、“ここちよさ”とは何か。

ホンダは研究所で“人研究”を古くから行っています。そこが生み出した新たな調査手法を用い、フィットのターゲットユーザーがクルマに何を求めているのかを改めて考えました。その結果が、“ここちよさ”だったのです。

4代目ホンダフィットはその“ここちよさ”を体現するために、心地よい視界であること、乗り心地がよいこと、座り心地がよいこと、使い心地がよいことをキーに作り上げられました。ここちよさは数値で表現することは難しい感性価値であり、人それぞれの感覚もあります。

そこでフィットはその最大公約数をHOMEというグレードに込め、そこからBASIC、NESS、CROSSTAR、LUXEというグレードを展開。上下関係のないユーザーのライフスタイルに合ったここちよいグレードが選べるように設定されたのです。

シトロエンは遥か昔から感性価値の塊だった

発売から間もなく3年が経過する現行シトロエン C3。先代と比較すると3倍の月販販売台数を記録し、好調に推移しています。その理由は大きく2つ。

ひとつは機能性価値として、2015年から4年連続でインターナショナルエンジンオブザイヤーの1.5リッター以下の部門を受賞しているピュアテック1.2リッターガソリンエンジンが挙げられるでしょう。また、トルコン方式6速ATに変更されたことも大きくあります。ただし、簡単にいってしまうと、競合車たちと同じレベルになったということで、頭抜けているわけではないことは言い添えておきましょう。

もうひとつは感性価値として、座り心地の良いシートと広々として明るい室内空間があります。先代にあったゼニスウインドウ(前席の頭上近くまで広がったフロントウインドウ)はなくなってしまったものの、その代わり広々としたパノラミックサンルーフを手に入れ、前席だけでなく後席にも開放感を与えています。

そして一目でシトロエンと分かる内外装のデザインもその魅力に華を添えています。

シトロエン/C3
シトロエン C3カタログを見る
新車価格:
311.7万円320.7万円
中古価格:
25万円315.4万円

シトロエン C3とホンダ フィットを徹底比較!

このような両車の特徴を踏まえながらも、やはり比較としては数値で見るのがわかりやすいものです。C3にはハイブリッドは設定されていませんので、フィットもガソリンモデルで比較をしてみましょう。

シトロエン C3 vs ホンダ フィット スペック比較表

車種名

シトロエン C3

ホンダ フィット

グレード名

SHINE[FF]

HOME[FF]

価格(消費税込み)

252万6000円

171万8200円

全長×全幅×全高

3,995mm×1,750mm×1,495mm

3,995mm×1,695mm×1,515mm

駆動方式

FF(前輪駆動)

FF(前輪駆動)

車両重量

1,160kg

1,090kg

総排気量

1,199cc

1,317cc

エンジン最高出力

81kW(110PS)/5,500rpm

72kW(98PS)/6,000rpm

エンジン最大トルク

205Nm/1,500rpm

118Nm(12.0kgf・m)/5,000rpm

使用燃料

トランスミッション

6速AT

CVT

燃料消費率(JC08モード燃費)

18.7km/L

24.2km/L

価格以外で大きく差がついているのはエンジントルクで、C3が205Nmであるのに対し、フィットは118Nmです。これはC3が3気筒ターボエンジンを搭載しているからです。それ以上に注目したいのがその最大トルクの発生回転です。C3が1500rpmであるのに対し、フィットは5000rpmと非常に高回転なのです。とても良く出来たCVTのおかげで決して街中で乗りにくいということはありませんが、どちらかというと高回転域を好むエンジンということが出来ます。

東京から仙台まで乗って行くなら…どっちを選ぶ!?

さて、いまここにフィットとC3の2台があって、どちらか1台で仙台まで往復して来てくださいといわれたらどちらを選ぶでしょう。筆者は迷うことなくC3を選びます。その理由は、“楽”だからです。多分トイレさえ我慢できればノンストップで行き着く自信があります。

その理由はこれまで一切出てこなかった直進安定性の高さがあるからです。これはどこの数値にも表れてこない、ある意味感性価値といえるもの。さらに、シートの出来の高さも見逃せません。何時間乗っていても疲れにくい素晴らしいシートは一度腰を掛けて最適なシートポジションを得られれば、そのまま何時間でも座り続けていられます。

フィットも今回ボディスタビライジングシートを開発採用しました。耐圧を面で受け止めることで乗員をしっかり支え、疲労を軽減するというシートです。しかしC3は一切そんなことをうたっていません。なぜならこのシートが普通でカタログに触れる必要もないのです。シトロエンであればこのくらいのシートは当たり前ですから。

確かに安全運転支援システムははるかにフィットの方が充実しています。クルーズコントロールも前車追従ではありませんし、レーンキープアシストもステアリングアシストは装備されません。だからどうしたというのでしょう。疲れたら休めばいいのです。もちろん万が一の時にアシストしてくれる安心感が大きいことはその通りですが、それ以上にそういういった装備に頼らない、クルマ本来の真っ直ぐに走り、疲れにくいクルマに仕上げること。これこそが重要で、C3はそれを実現している、そこを大いに評価したいと思います。

街中で普通に走らせてみても、渋滞で長時間座り続けなければならないとき、良く出来たシートであればそれほど苦痛には感じないでしょう。

インパネ周りに目を転じれば、フィットのすっきりとしたデザインに好感を持ちますが、もう少し色気も欲しい。C3はところどころに赤を配色する(アーバンレッド内装)などでそれを感じさせています。

エクステリアも同様で、エアバンプと呼ばれるサイドプロテクションにワンポイントのカラーを配するなどの遊び心も忘れていません。

こういった感性価値は一概に評価できるものではなく、本当に好きか嫌いかで選ぶもの。C3もフィットもそういう意味では好き嫌いで選んで間違いはないでしょう。感性価値を取り入れて新たな1歩を踏み出したフィットは大いに好感が持てますし、どんどん街にあふれてほしいと思っています。

それでも筆者はC3をお勧めしたいのです。それは前述した遠くまで疲れなく走っていくことが出来るコンパクトなクルマだからです。そもそもクルマは自分の行動半径を広げてくれるもの。もちろん実行はしなくても、それが出来るんだという“夢”があると思うからです。思い立ったらすぐにどこまでも出かけていける、そう考えただけで楽しくさせてくれる、そういうものをC3は持っていますし、だからこそ所有する喜びにつながるのではないでしょうか。

[筆者:内田 俊一/撮影:内田 俊一(C3)・茂呂 幸正(FIT)]

毎週火曜日は「あえて選ぶガイシャのススメ」

消費増税の影響もあってか、最近は日本車もだいぶ価格が高くなった気がしませんか。むむむ、その値段を出すならいっそ輸入車って選択肢もあるんでは!? と感じることも多いはず。そんなワケで、毎週火曜日は「国産車、じゃなくて輸入車」をテーマに、様々なカテゴリーの車種をご紹介しています。

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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