アウディ、シートベルトもエアバックもいらないクルマ!?「アイコン」を発表【フランクフルトショー2017】

  • 筆者: オートックワン 編集部
  • カメラマン:Audi AG
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  1. 自動車進化の分岐点
  2. クルマとは何か?を再考したラグジュアリーな部屋としてのキャビン
  3. 他の交通との円滑なコミュニケーション技術
  4. 技術革新による自動車本来の目的の回帰
  5. アウディ アイコン技術概要

アウディは、2017年9月12日から開幕したフランクフルトモーターショー(IAA)で「アウディ アイコン」の発表を行った。

アウディアイコンは、自立運転車が普及した将来の交通インフラを想定して設計されたDセグメントサルーンの自動運転EVコンセプトカーで、自立走行可能なラグジュアリセダンの可能性を追求したクルマである。

アウディアイコンには、高度に進化したセンサーシステムと情報ネットワークにより、事故は過去のものとなり、シートベルトもホールド性の高い内装も必要としない。

アウディは、技術革新により自動車の「原点回帰」を行おうとしている。

自動車進化の分岐点

シートベルトやエアバックは、本来の「自動車」の「移動する部屋」という目的とは外れていた進化であるといえる。

乗員や他者の安全を追求した結果、必要とされた装備だ。現代の車社会ではこの「安全面」をとても重視された車の開発が行われている。

しかし、アウディ アイコンではシートベルトやエアバックを必要としない。それをサスペンション、ドライブトレーンの進化によって実現している。

アウディ アイコンは、クワトロ(4駆)ならではの優れた走行性能を備え、天候や路面状況にかかわりなくいつでも、自立的かつ安全に乗員を目的地に送り届けることができる。

サスペンションは快適性に主眼を置いた設計になっており、エアを使ったスプリングとダンパーユニットにより、荒れた路面でもスムーズな乗り心地を提供する。バネ下重量の削減により、路面の凸凹にダンパーが素早く反応する。

4輪それぞれに設置された電気アクチュエーターは走行状態に反応し、コーナリング、ブレーキング、加速時のボディの傾きを最小化する。この電気アクチュエーターは完全なアクティブサスペンションシステムとして、アダプティブエアサスペンションの働きを最適化する役割も果たす。

こうした技術により、路面に大きな窪みがあっても、何事もなかったように走り続けることができるのである。

また、アウディアイコンは、ブレーキディスクの位置を従来よりもドライブトレインに近い場所に移動したことによりホイールをエアで冷却する必要がなくなり、空気抵抗の少ないホイールデザインの採用に成功している。

さらに完全左右対称になったアクスル、ドライブユニットにより4輪操舵システムができ、3.47mというホイールベースを備えながら前後アクスルを操舵により、市街地でも機動力を発揮する。

効率的な電気駆動システムによる走行により、1ホイールにつき1つのモーター、計4つの電気モーターが配置され、260kWのパワーと550Nmのトルクを発生する。

クルマとは何か?を再考したラグジュアリーな部屋としてのキャビン

自動車は、プライベートな移動手段である。

安全装備から解き放たれた車内は実に開放的で、自由な空間へと進化する。

もちろん、最高の空間は外観の美という形で乗り込む前から魅せてくる。

アウディ アイコンのデザインは、フロントおよびリヤエンドを最小のラインでまとめ、大きく流れるようなキャビンを強調されている。この美しさが、機能に特化した自動運転タクシーとは一線を画す。

力強い造形のホイールアーチがクワトロのDNAを強調し、アウディ市販最新モデルと関係の深い26インチのホイールが存在感を演出する。

グリルは、eトロンスポーツバックコンセプト同様、今後のアウディのEVの特徴の一つとなる上下逆向きの六角形シングルフレームグリルを採用。鋭く傾斜したフロントエンドのシルエットはスポーツカーのボディラインのように力強く前進するイメージを演出する。

そして、Bピラーは存在せず、前後別々の方向に開く観音開きドアを採用することで、乗り込むときは車内空間が大きく開かれる形となる。

車内に乗り込むと、広々とした自由を感じられる。

開放感の秘訣は、前後の大きなガラス面と透明のルーフ、低いウエストライン、上半分が外向きに曲がったサイドウインドーだ。車内は明るく、乗員の目線の高さが車内で一番幅の広い部分となる。

車内を明るくしているルーフパネルの透明度を電圧によって調整し、内臓OLED照明エレメントにより状況に応じて明暗を変更できる。

また、色の使い方を工夫することにより、視覚的にも広さを強調している。

暗色のサイドシルがリヤに向い上昇させることで、車が前傾しているように見せ、車内インテリアは、装飾パネルで覆われた面と操作類のラインを水平基調に配置し、車内を下から上にいくにつれ明るい色を使ている。

乗員の快適さを作り出す大きな要素であるフロントシートは、2座の独立したラウンドチェアになっており、高いパイルカーペットで覆われたプラットフォームごと500mm前後にスライドさせることができる。乗員からすると床ごと動く印象となる。このプラットフォームは高さ調整も可能で、足を置くスペースとして使うこともできる。また、無段階調整可能なシートクッション、バックレストが付き、最適なポジションを設定できる。

フロント独立シートは15度回転することができ、乗降を助け、乗員同士のコミュニケーションにも貢献する。

向きを変えた際には、ヘッドレストを折り返し、アームレストとして使うことができる。リヤの2座はリヤパネルと一体化したベンチシートとなっている。

ハンドル、ペダル、ボタン類の代わりにフロントウィンドウの下に設置されたディスプレイがあり、人の気持ちを察する能力を備えたエレクトリックアシスタンスシステムのPIAが、搭乗と共に車内(エアコン、シートポジション、照明の色)を最適な設定にする。搭乗者の認識はスマートフォンによって行われる。ナビに目的地を設定することでネットワーク接続をし、最適なルートでの走行が行われる。

車内に置かれたコントロールインターフェイスは、指や声を使って重要な設定や細かい設定を行うことができ、乗員は現代の通信エレクトロニクスの提供するサービス全てを享受し、デイスプレイを大型画面として使い、フロントウィンドウにバーチャルヘッドアップイメージを映せるという。

また、長距離移動に対応しラゲッジ容量は660Lだ。キャビン内にも様々な収納機能を装備することができる。

さらに、車内にライトコンパニオンと呼ばれるフラッシュライトを持ったミニドローンを備えている。ライトコンパニオンは、暗い道で降りたユーザーの足元を明るく照らす。

他の交通との円滑なコミュニケーション技術

アウディ アイコンの持つ魅力はクルマ自身がコミュニケーションを行う自律運転車であるというという点である。

グリルの周囲には600を超える3Dピクセルを並べられており、これらはヘッドライトやテールライトの代わりにフルデジタルディスプレイとなっている。

このデジタルディスプレイでグラフィック、アニメーション、情報を運転状況や乗客の状況に合わせ表現することができる。シングルフレームの両側にある照明セグメントは目のように、瞳を広げる、細めるといった表情を表現することが可能で、他の交通に対しアイコンタクトを送る、周囲にアニメーションで危険を知らせるなどのコミュニケーションを行うことができ、加速、減速、といった運転モードをビジュアルに示すことができる。

また、未来の自律運転車が必要とするものの一つが長い照射を可能とするヘッドライトである。

アウディアイコンは、プロジェクターモジュールを使い、解像度の高い光を道路に照らし様々なサインを映すことができる。例えば対向車に、警告や車の情報を伝えることができる。

レーダー、レーザーセンサーシステムが暗い道路で障害物を確実に見つけ事故を防ぐもう一つの「目」役割を果たす。

技術革新による自動車本来の目的の回帰

アウディアイコンの最大の目的は長距離移動の間、乗員に最高の快適性、最新の通信テクノロジー、最大の自由を提供することである。

都市環境における自立走行と、電気駆動により高速道路を長距離移動できる能力を両立するアウディ アイコンは、自動車本来の目的であったドアトゥドアのパーソナルな移動手段であり、豪華な部屋であるというコンセプトを目に見える形で体現している。

アウディ アイコン技術概要

全長:5444mm

全幅:2100mm

全高:1506mm

シート:独立式フロント2座シート+リヤ2座ベンチシート

ホイールベース:3.47m

ラゲージ容量:660L

航続可能距離:800km

バッテリー:ソリッドボディバッテリ全固体電池(従来のリチウムイオン電池よりも大幅にエネルギー容量大)

最大出力/トルク:260kW/550Nm

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筆者オートックワン 編集部
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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