個性際立つミドルクラス輸入車クーペSUV対決! BMW X4/メルセデス・ベンツ GLCクーペ/アウディ Q5スポーツバック

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なだらかで流麗な形状のルーフを持つクーペは、今やスポーツに特化したモデルだけではない。高い最低地上高で大き目のタイヤを履くSUVでありながら、スタイリッシュな装いのクーペSUVが多くのメーカーから発売されている。今回はミドルクラスSUVでクーペモデルの「BMW X4」と、そのライバルとなる「メルセデス・ベンツ GLCクーペ」、「アウディ Q5スポーツバック」を比較し、それぞれの特徴を見ていこう。

目次[開く][閉じる]
  1. 4ドアなのにクーペ? 今や当たり前となりつつある新たな解釈
  2. 百花繚乱!いまやSUVジャンルで欠かせないクーペモデル
  3. X3をベースとしたクーペSUV「BMW X4」
  4. 流麗さ際立つ「メルセデス・ベンツGLCクーペ」
  5. 実用性とスタイリッシュさを両立した「アウディQ5スポーツバック」
  6. 新ジャンルのクーペSUVもメーカーごとの個性を色濃く反映

4ドアなのにクーペ? 今や当たり前となりつつある新たな解釈

クーペというボディスタイルは、一般的に2人乗りもしくはそれ以上が乗れる2ドア車と言えるだろう。しかし、ルーフ形状がトランク部に段のあるノッチバック・スタイル。また、流れるようなファストバック・スタイルだったり、テールゲートが開くので実際は3ドアだったりと、クーペにもさまざまな形状と解釈がある。

さらに2000年代から、なだらかなルーフを持ち、シルエット的には流麗なクーペ型で、ドアが4枚あれば「クーペ」と名付けるクルマが登場した。しかも実態的には、「5ドアハッチバックじゃないの?」という車種も含まれる。例としては、「メルセデス・ベンツ CLS」「BMW 6シリーズ グランクーペ」などだ。居住性を多少犠牲にした背が低い4ドア…ということでは、日本において80年代からすでに「トヨタ カリーナED」「マツダ ペルソナ」などで先鞭をつけており、ようやく世界が追いついてきたという見方ができるかもしれない。

百花繚乱!いまやSUVジャンルで欠かせないクーペモデル

閑話休題。そして最近では、SUV+4ドアクーペのクロスオーバーモデル「クーペSUV」なるクルマも増えている。その名の通り、下半分は、高めの地上高に大きなタイヤを履いたSUV、上半分がクーペルックというハイブリッドスタイルを採る。今やSUVはクルマの基本形とでもいえる存在になったが、それでもやはりスペシャリティ・カーの需要は少なからずあり、それがSUVの姿に乗り移ったものだ。

クーペSUVの元祖は、2007年の「BMW X6」である。同社のSUV「X5」をベースに、ルーフをなだらかに整えたモデルだった。BMWではクーペSUVを、SAC(スポーツ・アクティビティー・クーペ)と称する。スポーティカーとSUV の融合を図った。無駄ともいえるそのコンセプトに、当初は懐疑的な声もあったと記憶するが、X6に追随するように、「レンジローバー イヴォーク」、「MINI ペースマン」などがデビュー。2014年にはBMW自身も「X4」を登場させたほか、メルセデス・ベンツも「GLEクーペ」を発表するなどして車種が急増し、現在ではSUVのジャンルで欠かせない存在になった。

X3をベースとしたクーペSUV「BMW X4」

導入が少し長くなったが、BMWのX6がかなり大柄なクルマだったのに対し、「X4」はミドルクラスの「X3」をベースにしているため、手頃なクーペSUVとして認知度を得ることに成功。2018年には、X3のフルモデルチェンジに合わせて2代目へと発展を遂げている。

BMW X3同様、SUVでは珍しくFRベースのX4も、車高の高さを感じさせないハンドリングの素晴らしさには定評がある。一方で、荷室が箱型ではないためトノカバーから上に荷物が積みづらく、フルフラット状態ではX3よりも200リッターも容積が減る。また後席のスペース(特に頭上)も、X3に比べればやや劣る面もある。とはいえ、ラゲッジスペースは500リッターと必要十分以上の容量を確保。X4では後席頭上でもルーフ高をあまり下げていないこともあって、リアシートで大人が快適に移動できる空間を持つことも補足しておきたい。

全高はX3比で約50mmマイナスの1620mmである。2021年10月28日には、X3と同じくマイナーチェンジが施され、エクステリアの変更、予防安全・運転支援システム・安全支援装置の充実、コネクティビティ機能の強化が行われた。

エンジン構成も基本的にはX3に準ずるが、2リッター直4ガソリン版とPHEV版は設定がなく、2リッター直4ディーゼルターボ(190PS)をメインとし、BMW Mのチューニングが施された「M40i」は3リッター直6ガソリンターボ(387PS)エンジンを積む。BMW M開発の高性能モデル「X4 M」ではさらにパワーを高めており、3リッター直6ガソリンターボは480PSもしくは510PSという高出力をマークする。トランスミッションはいずれも8速AT、駆動方式は4WD(xDrive)のみだ。価格は、695万円から924万円(X4 M除く)。

流麗さ際立つ「メルセデス・ベンツGLCクーペ」

BMW X3に対抗する、メルセデス・ベンツのSUV「GLC」にも、2017年から日本でも発売を開始した「GLCクーペ」が存在する。なおメルセデス・ベンツでは、2015年にX6のライバルとなる「GLEクーペ」を投入し、クーペSUV市場に乗り込んでいる。

無骨さが残りSUV風味が強いX4と、後述のQ5スポーツバックに比べると、キャビン部分が小さく、ルーフの丸さ・流麗さが際立っている。元のデザインが曲面主体なこと、サイドウィンドウが小ぶりなこともあって、よりクーペらしいルックスなのだ。数値的には、GLCよりも40mmほど全高が低い。ぱっと見では、GLCのクーペというより、少し厚みを増したCクラス、という印象さえある。

リアシートの居住性は、X4ほどではないが見た目以上には高い。ラゲッジ容積もX4とまったく同等の数値が確保されている。総合的なクルマの仕上がりもGLC譲りで、操縦性の安心感、固めながらも良好な乗り心地などは、大いに満足できるポイントだろう。

パワートレーンはGLCに則したもので、2リッター直4ディーゼルターボ(194PS)、2リッター直4ガソリンターボ(258PS)、2リッターガソリンベースのPHEV(320PS)、AMGでは3LV6ツインターボ(390PS)、そして4LV8ツインターボ(510PS)が設定される。全車トランスミッションは9速AT、駆動方式は4WD(4MATIC)。価格は、740万円~975万6000円(AMG除く)。

実用性とスタイリッシュさを両立した「アウディQ5スポーツバック」

メルセデス・ベンツ、BMWと覇を競うプレミアムブランドのアウディでは、X3に対抗したミドルクラスSUV「Q5」を用意する。現行型は2017年登場の2代目だ。そしてこのQ5にも「Q5スポーツバック」がクーペSUVモデルとして2021年8月に追加された。

こちらもQ5のクーペといえるモデルのため、駆動方式はフルタイム4WDの「quattro」となるが、エンジンのラインナップからは2リッター直4ガソリン版を用意せず、2リッター直4ディーゼルターボ(249PS)+7速ATのみを載せる。高性能版「SQ5スポーツバック」も、SQ5と同じく3リッターV6ツインターボエンジン(354PS)+8速ATが選ばれている。

ベース車をクーペ化するにあたり、前述のようにX4ではX3よりも約50mm、GLCクーペではGLCより約40mm屋根が削られているが、Q5スポーツバックでは、その数値は15mmほどに抑えられており全高は1660mmもある。そのためリアの頭上空間はほぼQ5と同じで、リアシートの居住性もほとんど変わらない。ラゲッジも、数値上では510リッター(リアシートを倒したら1480L)と、X4・GLCクーペよりも容積がある。価格は729万円~837万円(SQ5除く)。

新ジャンルのクーペSUVもメーカーごとの個性を色濃く反映

X4・GLCクーペ・Q5スポーツバックは、X3・GLC・Q5というベースのSUVから生まれている。そのため、メーカーやクルマ自体の個性が、色濃く反映されているのは言うまでもない。

一方では、クーペ化にあたり、各社で方向性が少しずつ異なっているのも事実で興味深いポイントだ。X4はSUVらしさと実用性・クーペのスタイルを両立したモデルで、GLCはよりスペシャリティ感を高めている。Q5スポーツバックは、Q5の実用性を残しつつ、傾斜したハッチを与えたようなイメージだ。

ライフスタイルやファッションなど、自分に合うクルマかどうか、という判断基準で選んでも面白いのではないかと思う。

【筆者:遠藤 イヅル】

BMW/X4
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新車価格:
852万円990万円
中古価格:
136.8万円922.9万円
メルセデス・ベンツ/GLCクーペ
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新車価格:
898万円976.3万円
中古価格:
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アウディ/Q5スポーツバック
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新車価格:
753万円866万円
中古価格:
447.1万円744.1万円

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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