THE NEXTALK ~次の世界へ~ 日産自動車 実験技術開発本部 祖父江玲奈 インタビュー(3/5)

THE NEXTALK ~次の世界へ~ 日産自動車 実験技術開発本部 祖父江玲奈 インタビュー
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女と男のクルマの見方の違い

クルマについて、それまでの経歴からすれば言わば素人ともいえた祖父江は、性別も個性という自分の思いを実現するため、日産自動車に入社してまず何から取り組んだのか?

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【祖父江玲奈】私個人がなんとなく感じてきた男女の違いが、本当に正しいことなのか?男女の違いは何処にあるのか?本当は何が違うのかを分析するところから始めました。

また私は、ドライブは好きでしたけれど、クルマそのものがとくに好きだったわけではないので、そういう感覚は、私の好みの問題なのか?男女の違いからくることなのか?・・・分析をして見えてきたのは、男性にとってクルマは、時計や靴などと同じように物としてとらえます。「かっこいいクルマに乗っていますね」とか、「性能のいいクルマですね」といった他人の目も気にします。

しかし女性にとってクルマは、自分の行動範囲を広げてくれる役割だったり、家族が楽しい時間を過ごせるものであったり、つまり、物から得られる“事”を買っているのですね。実際、子供連れで電車に乗って出かけるのは大変なことです。クルマは、好きな所へ行けるようにしてくれて、行動の自由を得られるモビリティです。このクルマで自分に何ができるかを見て女性はクルマを選び、使わない装備はいらないとハッキリしています。

女性も、アクセルを踏んだら思い通りに走れるクルマがいいとは思っています。ただ、加速が良ければ音がうるさくてもいいとは思いません。そのあたり、男性は性能を個別に評価し、その積み上げで良し悪しを言いますが、女性は、走りと同時に起こる静粛性や快適性が一緒に満たされているかどうかの総合評価でクルマを判断します。

加速が良いだけでなく、速度の上がり方が滑らかで、静かで、音楽も楽しめて…といったことが同時に満たされていないと納得しないのです。

女性は、バック(後退)しながらの駐車が苦手だと言う。縦列駐車などもってのほかで、タイヤの向きがわからなくなり、ハンドルをどちらへ回せばいいのか混乱するという声も聞く。筆者の知人も、駐車は自動運転してくれたらいいと話す。

しかし、程度の差こそあれ、それは女性全てに言えることなのかどうか?祖父江は、総合産業研究所と共同で、ある実験を試みた。

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【祖父江玲奈】それは、簡単なテストです。しょっちゅう運転する人もたまにしか運転しない人も含め、男女78人に集まってもらい、パーソナルコンピュータのマウスを使って、ランダムに表れる数字を順にクリックしてもらうテストです。

ただし、マウスの動きと画面の矢印の移動する方向が左右逆になっています。つまり、右へマウスを動かせば、左へ矢印が移動するといった状況です。その条件を全く伝えず、いきなりテストしてもらいました。そして、数字をクリックし終わるまでの時間と、ミスの数を計測しました。

結果は、男女に差が出ました。男性は、ある所に被験者の分布が集まりました。テストを始めて間もなくは戸惑いますが、習熟していくうちにクリックする時間が早まり、正確さも高くなる傾向になってきます。

女性も、男性と同じように、習熟していくと上手にクリックをできるようになるところにひと山集まるのですが、一方、何度やってもうまくいかず、最後まで時間が掛かってしまう所にもう一つ山の分布ができました。つまり、結果にふた山の違った傾向が出たのです。

そのテストのあと、今度は自動車教習所へ行き、実際に車庫入れをしてもらいました。すると、マウスのテストで男性と同じように習熟すると効率よく数字をクリックできた人は、たとえ普段クルマを運転する機会が少なくても、けっこう上手に車庫入れをします。ところが、時間の掛かった女性たちはいずれも、何度も切り返さないと車庫にクルマが入らないのです。

女性でも駐車を苦手にしない人も居ますが、苦手な人は本当に困っている状況がわかりました。

祖父江の同僚のスタッフ曰く、「隣に教官が居てくれるといいのよね」なのだそうだ。つまり、自分は何も考えずに、「曲がっても大丈夫だよ」とか、「ハイ、ここでハンドルを切って!」と、教官に言ってもらって、自分は操作をするだけに集中したいというのである。

この教官のような案内を、装備として実現したのが、マーチに採用された「タイヤアングルインジケーター」だ。シフトレバーをR(リバース、後退:筆者注)に入れると、メーター中央のディスプレイに、タイヤの向きと、ハンドルの切れ角、クルマの進路が表示される。「すべてを教えられなくても、パッと見て大丈夫と思えることが重要」だと、祖父江は話す。

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【祖父江玲奈】女性には、運転に集中できる状況を作ってあげることが大切です。前が良く見えて、車両感覚がわかりやすく、またライト点灯など、運転の他に必要な操作が少ないほうがいいので、オートライトやオートワイパー、ドアロックした際のドアミラーの自動たたみ込み機能などを、小さなクルマでも装備できるようにしています。

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御堀 直嗣
筆者御堀 直嗣

1955年東京出身。自動車ジャーナリスト。玉川大学工学部機械工学科卒業。1978年から1981年にかけてFL500、FJ1600へのレース参戦経験を持つ。現在ではウェブサイトや雑誌を中心に自動車関連の記事を寄稿中。特に技術面のわかりやすい解説には定評がある。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。また現在では電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副会長を務める。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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