煽り運転等の暴力運転に遭遇した時の対処方法(1/2)

暴力運転に遭遇する機会を減らす為の行動とは

2017年にはクルマに関するさまざまなニュースが取り上げられたが、特に記憶に残るのは、同年6月5日、神奈川県における東名高速道路の追い越し車線上で発生した死亡事故だ。乱暴なドライバーによって進路を塞がれた車両が、追い越し車線上で無理に停車させられ、大型トラックが追突したことによって夫婦が死亡した。

この件について横浜地方検察庁は、進路を塞いだドライバーについて、罰則の重い危険運転致死傷罪を適用して起訴を行っている。危険運転致死傷罪は、アルコールや薬物の服用、極端な高速走行など、いわゆる暴走行為に適用されることが多い。被告人は進路を塞いで追い越し車線上に車両を停車させ、これが重大な追突事故を引き起こしたとして、危険運転致死傷罪を適用した。

このニュースは事故というよりも「事件」として扱われ、大きな反響を呼んだ。その背景には、悪質性が高く、なおかつ同様の危険が多くの人達の身近に潜んでいることもあるだろう。運転中に、後方からあおったり前方に回り込む危険な車両を見かけたり、その被害に遭遇したドライバーは少なくないと思われる。多くのドライバーが、ありふれた日常的な移動の中で、同様の事件に巻き込まれる危機感を抱いているわけだ。

そこで暴力運転に遭遇した時の対処方法を考えたい。2つのテーマが考えられる。

まずは「暴力運転に遭遇する機会を減らすこと」だ。暴力運転をするドライバーの感覚は特殊だから、その行動を予測するのは難しいが、些細な事に腹を立てて暴力運転に発展することが多い。

割り込みに対して「譲る」気持ちが大事

例えば複数の車両が合流する地点で、無理に割り込んできた車両があった場合、それを入れさせないと暴力運転を引き起こす心配がある。暴力的な運転は、自分だけでなく周囲の車両にも危険を及ぼすから、割り込ませた方が安全だ。

割り込みに対して「譲る」と考えれば損をした気分にもなるが、周囲の車両を含めて「安全を確保するため」と思えば納得できるだろう。スマートでカッコイイ運転だ。割り込みをするのは運転が下手な低レベルのドライバーだから、読者諸兄は上手な運転をすることで、危険がそれ以上拡大しないように配慮してあげて欲しい。

また逆に自分が不注意で割り込んでしまった時は、即座に手を挙げる、あるいはハザードランプを点滅させたりして「失礼しました」という意思を伝えたい。

ハザードランプについては本来の正しい使い方ではないが、速度が下がっている合流地点や市街地であれば、2回点滅させる程度なら問題ないだろう。特に自分のクルマが着座位置の高いミニバンやSUVで、後続車両がセダンの場合(あるいは自車がセダンで後続車両がトラックなどの場合)、手を挙げてもそれが見えない。ハザードランプの点滅で「失礼しました」の意思が伝わり、後続ドライバーの怒りが収まれば、その方が総合的には安全性を高められる。

一方、高速で走っている時にハザードランプを点滅させると、急激な減速をしていると誤解されるので、失礼の意思を伝える手段として使うのは控えたい。

このほかにもいろいろな場面が考えられるが、すべてに共通する対処方法は「暴力運転による車両から速度を高めずに離れること」だ。高速道路の追い越し車線は長時間にわたって走るところではないから、走行中に後方から煽られた時は、なるべく早いタイミングで左側の第2走行車線に移る。左側の方向指示機を少し早いタイミングで作動させ、第2走行車線の車列が途切れたらスグに車線を変えることを示しておく。

次のページ:暴力運転に遭遇したら安全を最優先させて回避行動

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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