日産自動車 ゼロエミッション事業本部 日本事業部 主担 有光 大 インタビュー(5/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
Cool Head but Warm Hart
新しく慣れない相手との交渉続きとなる有光大の座右の銘は、「Cool Head but Warm Hart」であると言う。
折衝の成果の一つが、神奈川県の済生会横浜東部病院で神奈川県のタクシー協会と個人タクシー協会とともに日産が今年4月からはじめた、EVタクシーシェア乗り場の実証実験にも表れているだろう。
電気自動車のタクシー乗り場を特別に設置するゆとりのない場所で、エンジン車のタクシーと電気自動車タクシーが、交互に乗り場を使うという試みだ。
【有光大】必ずしもタクシーの待機場所に急速充電器がなくても、近距離の利用者が電気自動車タクシーを選べる環境が整えば、タクシー会社としても電気自動車タクシーで利益の上がる運行の機会を手に入れやすく、儲けを出せるようになります。
病院であれば、静かに走る電気自動車に乗りたいという患者さんもいらっしゃるでしょう。また、タクシーの運転手さんも、アイドリングしないで客待ちができる電気自動車のよさを体感してもらうことができます。そのうえで、タクシー会社が儲けを出せれば、電気自動車に関わるみんながハッピーになれます。
ほかにも、秋田県の田沢湖周辺では、観光タクシーとして電気自動車が有効に働けます。そのように、電気自動車がバッテリー電力のなかで戻ってこられるループを築ける運行形態を提案できれば、じゃぁやってみようかということにつながっていきます。 提案力が、この仕事の勝負です。
インフラストラクチャー整備と言うと、すぐ物や設備の話になりがちだが、有光大の話を聞くと、実は創造力こそが重要だということになってきそうだ。
だから、イノベーティブで面白いと、有光大も話す。 課題山積ながら、電気自動車に関わる人々の誰もが意欲に満ち溢れている。有光大も、そうした一人である。
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