ガソリン価格高騰の今狙いたいEV! EVとガソリン車のコストパフォーマンスは比べるまでもなくEVが圧倒的だ!

  • 筆者: 山本 晋也
  • カメラマン:日産自動車/MOTA編集部
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2021年の年末頃にはガソリンの実勢価格も落ち着いていたが、年明けから価格上昇を続けている。すでにレギュラーガソリンで170円/L前後となっているところが多いだろう。

実際、毎週月曜日の店頭現金小売価格を資源エネルギー庁が調査した結果では、レギュラーガソリンが170.2円/Lとなっており、3週連続で値上がりとなっている。急騰ともいえるガソリン価格は、燃費の悪いクルマに乗っているドライバーの財布を直撃していることだろう。

こうなってくると電気自動車のランニングコストが気になってくる。はたして、電気自動車はガソリン価格の高騰に対して、どれほどアドバンテージを持っているのだろうか。

目次[開く][閉じる]
  1. EVの電費計算で注意すべき点とは?
  2. 電気料金は月の使用量によっても変わるが、使うほど高くなる
  3. 電気自動車で100km走るコストは350~500円!
  4. 170円のガソリンだと燃費50km/L相当で電気自動車と同等レベルになる

EVの電費計算で注意すべき点とは?

過去に3年以上、電気自動車に乗ってきた経験も含めて、結論から言ってしまえば電気自動車のランニングコストはハイブリッドを含めたガソリン車では太刀打ちできないレベルにある。

最初に電気自動車の消費電力、すなわち電費の話からしていこう。電気自動車に触れていないと感覚的にわかりづらいだろうが、ユーザーレベルではkm/kWhという単位を用いることが多い(交流電力消費率)。

一方で、カタログのモード電費の部分には、交流電力量消費率すなわちWh/kmという単位を使っている。前者は、1kWhで何km走れるかということを表現しており、後者は1kmを走るのに何Whが必要なのかということを示すものだ。

厳密にいえば、充電時に使った電力についても考慮する必要がある。

カタログのモード電費では充電のために消費した電力も含めて計算しているのだ。ランニングコストの元となる電気代を計算するには交流電力量消費率のほうを用いることがベターといえるだろう。

電気料金は月の使用量によっても変わるが、使うほど高くなる

ただし充電のために消費する電力というのは、ゆっくりといれる普通充電と急速充電では異なるものであって、そこまで均して計算するのは難しい。そこで、今回は充電時のロスが最小限の普通充電(単相200V)だけを利用するという前提で試算してみることにしよう。

また、家庭で使う電気代については一定ではなく、通常は多く使うほど高くなっていく。一般的に考えるとたくさん消費するほうが安くなるような気もするが、kWhあたりの単価については逆の計算となる。

たとえば東京電力の従量電灯Bの価格体系は次のようになっている。

最初の120kWhまで(第1段階料金) 19円88銭

120kWhを超え300kWhまで(第2段階料金) 26円48銭

上記超過(第3段階料金) 30円57銭

※価格はいずれも1kWhあたり

そのほか様々な電力サービスはあるが、どれも使うほど高くなるという設定は共通で、1kWhあたり20~30円という価格帯もさほど変わらない。

電気自動車で100km走るコストは350~500円!

ここからが本題だ。前述したように筆者は電気自動車をマイカーとして3年以上使った経験がある。所有していたのは日産の初代リーフ(後期型)だった。カタログ燃費で話をしてもナンセンスだろうから、あえて実電費でいえば7~10km/kWhの範囲に収まっていた。

この走行すべて家庭での普通充電でまかなったとして、高いほうの30円で考え、さらに充電ロスを考慮すると7~10kmを走行するのにかかるコストは高く見積もっても35円に届かないレベルになる。

簡単にいえば100kmを走るコストが350~500円というわけだ。正直、家庭での普通充電を多用しても月の電気代が万単位で跳ね上がるなんてことはなかった。平均的な走行距離であれば電気自動車を使うと電気代が倍増するということはない。

170円のガソリンだと燃費50km/L相当で電気自動車と同等レベルになる

電気自動車が100kmを走るのに必要な電気代が350~500円だとして、170円/Lのガソリン代では同様のコスト感で走るには、どのくらいの燃費である必要があるだろうか。

350円というのは170円のおよそ倍である。つまり2Lで100kmを走ることができなければいけない。50km/Lの燃費でなければ、リアルワールドでの電気自動車と同等のランニングコストにはならないのだ。

はっきり言って、この数字はカタログレベルでもまだまだ不可能なレベルだ。冒頭で書いたように『電気自動車のランニングコストはハイブリッドを含めたガソリン車では太刀打ちできない』というのは、そういうことだ。

仮に、500円で計算したとしても34km/Lの燃費で走ってはじめて電気自動車と同等のコスト感になる。たしかにトヨタ ヤリス ハイブリッドのWLTCモード燃費は35.4km/Lであるので、不可能な話ではないが、それでも平均的にモード燃費で走るというのは無理な話だ。もっとも燃費のいいハイブリッドカーをもってしても、リアルワールドで電気自動車と同等のランニングコストとするのは難しいといえるのだ。

ただし、これだけの差が生まれる背景には、ガソリンにはリッター当たり53.8円ものガソリン税がかかっていることも無視できない。もしガソリン税がない世界だったとすれば、ガソリンの価格は115円/L程度になる。

それを前提に100kmあたり350~500円というコストで考えると、23~33km/Lくらいの燃費であれば電気自動車と同等のランニングコストになる。もしガソリン税がなかったとしても、Cセグメント級の電気自動車のランニングコストは、かなり燃費のいいハイブリッドカー並みというわけで、純ガソリンエンジン車では大差をつけられてしまうレベルなのである。

【筆者:山本 晋也】

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山本 晋也
筆者山本 晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ1969年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、雑誌編集長などを経て、2010年代からWEBを舞台に自動車コラムニストとして活動している。タイヤの数や有無にかかわらずパーソナルモビリティの未来に興味津々。「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることもポリシーのひとつ。個人ブログ「クルマのミライ」やYouTubeチャンネルでも情報発信中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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