スズキ スイフト スポーツ 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
さて、ライバルとは!?
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デザインは外観を含めて派手な印象はなく、さほど気恥ずかしさを感じない。イエローのボディでは、ブラック塗装されたフロントマスクとのコントラストがハッキリするが、シルバーやブラックのボディカラーを選べば、中高年齢層のユーザーにも受け入れられると思う。
内装もベース車のスイフトと同様、上質に仕上げられている。フロントシートはサイズを十分に確保。座面には適度なボリューム感があり、バックレストは腰の付近を少し硬めに仕上げたから、長距離移動にも適する。サイドサポートの張り出しも適度。体をしっかりと支えつつ、乗降性を妨げない。
リアシートは頭上や足元の空間が狭めだが、フロントシートの下に乗員の足が収まりやすく、意外と窮屈に感じない。複雑なシートアレンジを行わない半面、座面が固定されて十分な厚みがあり、座り心地は数あるコンパクトカーの中でも優れた部類だ。座面の前方が適度に持ち上がり、大腿部が離れない点も注目される。長身の同乗者がいなければ、ファミリーカーとしても充分に機能し得る。
購入時に注意したい点は乗り心地。サスペンションの伸縮性が優れ、粗さは感じないが、時速50km以下では少し硬い。ボディ剛性を高めたから重厚感が伴い、クルマ好きには受ける乗り心地だが、ファミリーカーとして使うなら家族の意見も聞いておきたいところ。タイヤが路面の上を転がる時に発生するノイズも若干目立つ。
サイドウインドーの下端が高めに設定され、外観に塊感を持たせたが、側方や後方の視界はコンパクトカーとしてはあまり良くない。最小回転半径は5.2mに収まるものの、車庫入れや縦列駐車を試しておくと安心だ。
同じ価格帯に属するライバル車としては、ヴィッツRSとフィットRSがある。
ヴィッツRSは居住性や荷室の広さが新型スイフトスポーツとさほど変わらず、乗り心地には突っ張った印象が伴う。走行性能も含めてスイフトの方が商品力は高い。
フィットRSとの比較は難しい。動力性能、走行安定性、乗り心地で選ぶなら新型スイフトスポーツだが、フィットRSはリアシートの頭上や足元の空間が広く、荷室の使い勝手もスイフトスポーツを大きく上まわる。走りの楽しさを追求するならスイフトスポーツ、多用途性も考慮に入れるならフィットRSを検討したい。
それにしても、先に触れたように運転の楽しい5ナンバーサイズのスポーティカーは、今の日本車では貴重な存在。スイフトスポーツの進化に刺激され、ほかの車種も活性化して欲しい。エコも大切だが、クルマ好きとしては、やはり日本の峠道で運転を楽しみたい。クルマの楽しさが見失われたら、エコカーも成り立ちにくくなってしまう。
日常生活の中で、肩肘張らずに運転を楽しむなら、新型スイフトスポーツはちょうど良い選択肢だと思う。
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