スズキ スイフト スポーツ 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
新型スイフトスポーツのキモは挙動の安定化
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さて、話を峠道の試乗チェックに戻そう。コーナーが迫ったらシフトダウン。6速MT車の場合、シフトレバーが動く範囲も適度で、小気味よくギヤを変更できる。
次はハンドルを切り込むが、この時の操舵に対するクルマの動きも正確だ。機敏すぎる動きではないが、曖昧な印象はなく、ドライバーの意図どおりの角度で確実に曲がるから安全で運転も楽しめる。試乗ルートには所々濡れた路面も見られたが、ステアリングを通じて路面の状況が分かりやすく、不安なく走ることができた。
注目すべきは、前後輪のバランス良い動き方だ。前輪駆動のスポーティカーながら、積極的に走っても前輪の描く旋回軌跡が拡大しにくく、車両を曲げやすい。その一方で、後輪もしっかりと踏ん張る。コーナリングの最中、障害物を発見してアクセルを閉じたり、ブレーキングしながらハンドルを切り込む操作を強いられても、後輪の横滑りが起こりにくい。
仮に挙動が乱れても、唐突ではなく穏やかに姿勢を変えていくから、ドライバーは対処しやすい。この時には横滑り防止装置のESPも作動。4輪のブレーキを独立して自動制御することにより、挙動の安定化を図る。この安全を背景に置いたスポーティドライブが、新しくなったスイフトスポーツのキモだろう。良く曲がって積極的な気分にさせるが、危うさを伴う運転感覚ではない。
動力性能にも余裕を持たせた。最高出力は136馬力(6900回転)、最大トルクは16.3kg-m(4400回転)だから、スポーティエンジンらしく高回転指向。それでも前述のようにエンジンが改良を受けたことで、2000~4000回転付近の実用域でも力不足は感じない。
そんな新型スイフトスポーツで峠道を走った時は、高回転域まで引っ張りたい。3000回転、さらに5000回転付近に達すると、吸気の流れが切り替わってエンジンの咆哮も高まる。そして5000回転から最高出力の発揮される6900回転付近は、スイフトスポーツならではのダイナミックな回転域だ。
CVTも前述のように専用設計。ステアリングに装着されたパドルスイッチで変速操作を行えるが、CVTは無段変速だから、あくまでも疑似的な操作になる。CVTは動力性能の有効活用、燃費の向上など数多くのメリットを持つが、運転の楽しさとなれば有段式が欲しい。従ってクルマの性格にマッチしているのは6速MTだと感じる。
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