日産 新型 スカイライン ターボ 200GT-t 試乗レポート/渡辺陽一郎(4/4)

日産 新型 スカイライン ターボ 200GT-t 試乗レポート/渡辺陽一郎
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スカイライン200GT-tは少し古風なスポーティーセダン

(奥)日産 新型 スカイライン 200GT-t Type SP[2WD/ボディカラー:HAGANE ブルー M]

試乗車は「スカイライン 200GT-t タイプSP」で19インチ(245/40RF19)のダンロップSPスポーツマックスを履いていたが、乗り心地は350GTハイブリッドの17インチモデルと同等の印象だった。

コンパクトカーなどと違って、大きな突起を乗り越えた時に「ガチン!」と突き上げるピークは抑えたが、全般的には硬い。指定空気圧も前後輪ともに240kPaで少し高い。通常のLサイズセダンでは、もう少し足まわりを柔軟に動かすだろう。カーブを曲がる時のボディの傾き方は大きめになるが、その分だけ前輪のグリップを下げて安定性を確保する設定だ。

もっとも、スカイラインらしい機敏な動きまで考え合わせると、この乗り心地でもバランスが取れているように思う。

日産 新型 スカイライン 200GT-t Type SP[2WD/ボディカラー:HAGANE ブルー M]

結論として、スカイライン200GT-tは少し古風なスポーティーセダンという印象。ちょっと硬いがスパッと曲がるイメージだ。6代目のR30型、8代目のR32型などのイメージ(あくまでも筆者のかすかな記憶の中の乗り味)に近いようだ。

余談だが、今回のスカイライン200GT-t報道向け試乗会に出席した翌日、日産の広報部から感想を求められた。試乗直後に尋ねられることは多いが、翌日に改めてというのは珍しい。新型メルセデス・ベンツ Cクラスが日本で発売された直後でもあり、相当に気にしているようだ。

どうしても気になるライバル! 新型「Cクラス」と徹底比較してみた

日産 新型 スカイライン 200GT-t Type SP[2WD/ボディカラー:HAGANE ブルー M]

メルセデス・ベンツの新型 Cクラスは、最も安価な「C180」がカーナビを装着して419万円。衝突回避のレーダーセーフティパッケージ(19万5400円)、メモリー付きパワーシートなどのセットオプション(50万円)を加えると488万5400円だが、価格帯はスカイライン200GT-tの383万4000円、安全装備を充実させた200GT-tタイプPの421万2000円に近い。スカイラインの安全装備も後方までカバーできる高度な内容だから、200GT-tタイプPの価格を399万円くらいに抑えると、買い得度で十分に対抗できる。

また、タイプSPの19インチタイヤは価格が高く(オプションの単品装着が21万6000円)、ほかの装備も割高に見積られる。タイプSPはタイプPに比べて35万6400円の価格上昇で、車両価格は456万8400円に達する。なのでタイプSPはやはり15万円ほど値下げしないとバランスが取れない。

海外偏重傾向に過ぎたせいで、国内高級セダン需要をドイツ車勢に奪われてしまった!?

日産 新型 スカイライン 200GT-t Type SP[2WD/ボディカラー:HAGANE ブルー M]

最近の国産セダンは海外偏重で、国内需要を軽く見ていた。その結果、ドイツ車に入り込む余地を与えてしまった。新型メルセデス・ベンツ Cクラスは、価格を見ても売る気満々だ。日産が危機感を抱いて反撃に転じれば、日本市場へ往年のスカイラインファンを呼び戻すことも不可能ではないだろう。それだけのポテンシャルを持つニューモデルだ。

日産は今後も国内市場へ新しい軽自動車を投入する模様だが、そこはホドホドに抑えて、スカイラインなどのセダン系にももっと力を注いで欲しい。それでこそボクらの日産だ。頑張れ!

[レポート:渡辺陽一郎]

日産 新型 スカイライン 200GT-t Type SP[2WD] 主要諸元

日産 新型 スカイライン 200GT-t Type SP[2WD/ボディカラー:HAGANE ブルー M]

全長x全幅x全高:4800x1820x1450mm/ホイールベース:2850mm/車両重量:1680kg/乗車定員:5名/駆動方式:後輪駆動[FR]/エンジン種類:直列4気筒 DOHC ガソリン直噴ターボエンジン/総排気量:1991cc/最高出力:211ps(155kW)/5500rpm/最大トルク:35.7kg-m(350N・m)/1250-3500rpm/トランスミッション:マニュアルモード付フルレンジ電子制御7速オートマチックトランスミッション/燃料消費率:13.0km/L[JC08モード燃費]/タイヤサイズ:245/40RF19(ランフラットタイヤ)/メーカー希望小売価格:4,568,400円[消費税込]

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「NISSAN NEW SKYLINE 200GT-t」PHOTO GALLERY

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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