日産 新型 スカイライン ターボ 200GT-t 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:小林岳夫
ダイレクトアダプティブステアリング&アクティブレーンコントロールは現時点で未装着だが・・・
ステアリングの操舵感はどうだろう。スカイライン 350GTハイブリッドには、ハンドルの動きを電気信号に変換して伝えるダイレクトアダプティブステアリング(DAS)&アクティブレーンコントロール(ALC)が標準装着されるが、200GT-tは一般的な電動油圧パワーステアリングだ(2014年秋には200GT-tにもDAS&ALCがオプション設定される予定)。
そのため200GT-tで「ドライブモードセレクター」のスポーツモードを選んでも、DAS&ALC装着車のように操舵感をクイックにしたり、路上の白線に合わせて自動的に修正操舵を行う機能はない。カーブを曲がっている時に路面の凹凸を乗り越えれば、ハンドルにその動きが伝わる。
つまり「普通のステアリング」だが、操舵感は350GTハイブリッドよりも自然な印象だ。
そして200GT-tのステアリングフィールは、ハイブリッドモデルよりも安心感も高いと感じた。カーブを曲がっている時に路面状況の変化でステアリングの反力が強まったりするのは、「今は路面の状況が悪いですよ」という車両からの警告でもあるからだ。ダイレクトアダプティブステアリング&アクティブレーンコントロールでは、前輪が細かく自動調節されて快適性が高まる半面、警告も発せられない。
特に日産 スカイラインは、運転の楽しさを重視したクルマだ。路面状況の変化を知ることも、運転する楽しさのひとつだろう。
となればハンドルとステアリングは連結させ、ボディやサスペンションの取り付け剛性、ステアリングシステムの支持剛性を高めることで、角の立った不快なショックだけを取り除くのが好ましい。
安心感も高くナチュラルなスカイライン 200GT-tのステアリングフィール
現時点におけるダイレクトアダプティブステアリング&アクティブレーンコントロールは、低速域でゆっくりと操舵した時の反応に微妙な遅れが生じたり、手応えがゴムを捩るような感覚だったりして違和感が目立つ。スポーツモード選択時の、過剰にクイックな設定もやや子供っぽい。開発者は「普通のステアリングとの違いを明確に表現したかった」と言うが、同じ傾向が1990年代の電子制御式パワーステアリングやアクティブサスペンションにも見受けられた。いわば初期のセッティングに位置付けられる。
だから好感度は200GT-tが勝るが、ダイレクトアダプティブステアリング&アクティブレーンコントロールにも大きな価値がある。これから安全性を高める上で、欠かせない技術になるからだ。
例えば走行中に障害物が飛び出してきた時、自動的に急制動と急転舵を行って衝突を回避するには、前輪とハンドルを切り離しておかねばならない。普通のステアリングでは、ドライバーがハンドルを握っている状態で、車両側が勝手に急転舵をすることはできないからだ。そこに到達する前の段階として、市販車に搭載し、可能性を探ることは大切だろう。
これらは主にソフトウェアの進歩だから、ダイレクトアダプティブステアリング&アクティブレーンコントロール装着車を購入したユーザーには、パソコンのようにアップデートの無料サービスをすると良い。初期段階だから最初は違和感も多いが、アップデートを重ねるに連れて不満も解消されていく。それはユーザーにとって今までのクルマとは違う満足感で、クルマの技術進歩を実感する貴重な経験にもなるだろう。
ドライブモードは「スタンダード」がベスト
スカイライン 200GT-tの操舵感はおおむね満足できるが、もう少し反力の変化を滑らかにして欲しい。ドイツ車などに比べると、少し角が立っている。
走行モード「ドライブモードセレクター」の切り替えは、スポーツ/スタンダード/スノー/パーソナルの4段階。350GTハイブリッドと違ってステアリングをクイックにする設定はないが、エンジンとAT、ステアリングの重さ、コーナリングスタビリティアシストは変化する。
スポーツモードは玩具性が強いというか、スタンダードとの違いを分かりやすくした。スポーツモードに切り替えると、駆動力が高まり、エンジンノイズも大きくなり、操舵感はけっこう重くなる。日常で使う分にはスタンダードがベストだ。
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