ホンダ 新型オデッセイ(5代目)試乗レポート/九島辰也(2/2)
- 筆者: 九島 辰也
- カメラマン:茂呂幸正
車高アップと低床フロアで乗り降りしやすい
それでもアブソルートはパドルシフトでスポーティな走りができる。コーナー手前の減速域でもそこそこエンジンブレーキが使えるのがうれしい。このエンジン、デュアルクラッチで遊べたらどんなに楽しいだろうか。
また、それを強く感じたのはシャシーの動きもいいからだ。
ホンダがツインリンクもてぎに用意した1.3キロのコースは、まさに彼ららしく良い感じのコーナーが連続する。特に終盤の長く緩やかなコーナーはリアが出そうで出ない感じを楽しむのにうってつけである。で、ここで新型オデッセイがミニバンらしからぬ動きをする。言うならばコンパクトハッチ。ハンドリングに対するシャシーの一体感は秀逸で、リアの足の粘りも感じた。う~ん、ゴーカートライクな乗り味だ。
もちろん、ドライビングが楽しいのはアブソルートのほう。
17インチのタイヤは乗り心地をキープしながらしっかり路面を駆ってくれる。コーナリングスピードは他のグレードに対して絶対的にこちらが上だ。それに多少オーバースピードでコーナーに入っても大げさなタイヤの鳴き声を響かさずにすむ。
そんなアクティブな走りと余裕の7名、8名乗車スペースというのが新型のウリとなる。低床+150mmの車高アップで、キャビンの空間はライバルと引けを取らなくなった。
セカンドシートのヘッドクリアランスは飛躍的に広がった。またスライドドアは開口部が広くて乗り降りしやすく、低床フロアがさらにそれを手助けする。スッと足を出したところが地面なのだからこいつは楽。高齢者の方にもやさしいパッケージングと言えそうだ。
ただひとつ言わせてもらうと、ドライブトレインのバリエーションが寂しい。追ってラインナップされるのか知らないが、ハイブリッドモデルがあっても不思議はないのだが。
個人的にはコンパクトカーよりもこういったモデルの方がハイブリッドやクリーンディーゼルの必要性を強く感じる。大きくて人がたくさん乗れるクルマこそ、好燃費を欲するからだ。
それはともかく、新型オデッセイは大胆に生まれ変わった。マーケットのニーズを反映しての進化である。となるとヒットは必至。新型オデッセイが街にあふれる日も近いかも……しれない。
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